日本共産党松原市会議員団のブログ

日本共産党松原市会議員団の活動をお知らせするブログです。

シリーズ 動き出す番号制度 -その8-

2015-12-02 10:42:24 | 連載
「弊社は今年、マイナンバーに傾注しています。中小企業の方から『どう対応したらいいのか、わからない』と多くの問い合わせをいただいております」

東京ビッグサイトで7月に開かれた企業向けのマイナンバー対策商談展。システム開発会社の男性社員は。「番号特需」に張り切った様子で語りました。

マイナンバー導入で事業者は従業員と扶養家族、取引先などの番号を集める必要があります。給与の源泉徴収票や健康保険の書類などに記載しなければならないからです。

番号を集めるときは本人確認が必要で、番号は厳格な管理が求められます。書類管理から不正侵入対策、アクセス記録保存など多岐にわたります。番号を漏らすと最高4年以下の懲役や200万円以下の罰金が科されます。

先の商談展では、書類を廃棄する場合、復元できないようにすることが求められるとして、①投入したら取り出せない金属製の専用箱で廃棄書類を保管②現金輸送車と同じ仕様のトラックが箱を回収③完全機械化の無人工場で書類を破砕処理―という大がかりなシステムを売り込む企業までありました。しかし、中小零細企業には過大な負担です。

「マイナンバーにかけられる費用はゼロです。手間だけで大変なのに、出費が増えるなんてとんでもない」こう語るのは、従業員7人の運送業を営む50歳代の女性。営業マンからマイナンバー対応パソコンのリース契約を勧められました。しかし、リース代が月2万円と言われ、書類で管理することに決めました。「顧問の社会保険労務士からは、番号を利用するたびに記録するように指導されていて、実務量とかさむ書類の管理が大変そう。負担ばかり増えてメリットは全然感じません」

日本情報経済社会推進協会が6月に発表した企業調査では、マイナンバー対応に「既に取り組んでいる」(3%)「計画中」(28%)が計31%で、大半が未着手となっているのが実態です。

全国商工団体連合会(全商連)の遠藤強常任理事(64)は「消費税が8%になって地域経済が疲弊し、後継者がいない〝廃業予備軍〟の業者が増えている。マイナンバーが追い打ちになって廃業を早めさせることは間違いない」といいます。自身も山形県内で社員10人未満の土木工事会社を営んでいます。「インターネットに接続しないパソコンを購入し、事務員を1人新たに雇わないといけない。対応費用だけで100万円はかかる。今でも経営はぎりぎりなのに大打撃です。中小業者の営業を破壊するマイナンバーの本格運用は延期し廃止するしかない」

(つづく)しんぶん赤旗より転載
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シリーズ 動き出す番号制度 -その7-

2015-12-02 10:41:00 | 連載
「日本だけ取り残されるのは許されない。日本以外の国はマイナンバーをほぼすべて導入している」との甘利明特命担当相の発言は事実とはまったく違います。G8(アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア)でマイナンバーと同じ「全員強制・生涯不変・官民共通利用」の番号制度を導入している国は日本のほかにありません。

「共通番号いらないネット」世話人の白石孝氏は「日本が目指しているのは、行政と民間の多くの分野で同じ番号を使う官民共通番号制です。米国の社会保障番号も官民共通番号ですが、あちらは任意付番。官民共通利用で強制付番という点では、日本のマイナンバーは韓国の住民登録番号に近い極めて危険な制度です」韓国の制度はもともと1960年代に国防・治安対策として導入されたものです。その後、民間分野も含め生活のあらゆる場に浸透してきました。いま韓国ではネットショッピングでも住民登録番号の入力が必要なほどですが、ネット社会になり急速に被害が広がっています。私の集計では2008年からの7年間で累計2億人分以上の個人情報が流出しています」と言います。

とくに14年1月には韓国の大手クレジットカード3社からのべ約1億人分の顧客情報が流出していたことが明らかになり、社会に大きな不安と衝撃を与えました。アメリカでは年間900万件を超える共通番号関連のなりすまし犯罪が起こり、国防総省は11年、独自の限定番号に転換しました。最近では、お年寄りのメディケア(公的医療保険)の番号を独自番号に切り替えるかどうかの議論が行われています。英国では労働党政権下の06年に国民IDカード法が成立。英国ID登録簿を作成することになりましたが、10年に誕生した保守・自民両党連立政権が恒常的な人権侵害装置だと廃止し、収集した個人情報を廃棄しました。白石さんは「日本が導入しようとしているのは世界では見直しが行われているとんでもない制度だ」と警鐘を鳴らしています。

(つづく) しんぶん赤旗より転載
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シリーズ 動き出す番号制度 -その6-

2015-12-02 10:39:37 | 連載
国民健康保険料(税)の滞納差し押さえは13年度が26万件で935億円、5年間で件数・金額とも1.4倍化。基礎年金では、14年度(1万5千件)までの5年間で件数は4.4倍にもなっています。マイナンバーはこれに拍車をかけることになります。

中央社会保障推進協議会の山口一秀事務局長は語ります。「マイナンバーは個人情報を〝丸裸〟にするもので、低所得者からも徴収を徹底的に強化し、給付を抑え込むことをねらっています。人権として保障されるべき社会保障を、お金がない人はサービスが受けられない自己責任に変質させてしまうものです。社会保障を壊す道具にするのがマイナンバーです」

(つづく)しんぶん赤旗より転載
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シリーズ 動き出す番号制度 -その5-

2015-12-02 10:37:09 | 連載
マイナンバー導入でねらわれている「社会保障個人会計」は、個人単位で、納めた税・社会保険料と、給付を受ける社会保障サービスを明らかにするものです。

年度ごとに納めた税・社会保険料と受けたサービスが明らかになり、平均的数値をもとに負担と給付の水準を見直していくことも可能になります。徴収強化とサービス抑制につながるものです。

財界は、税と保険料に対する企業負担を軽減するため、「社会保障個人会計」を導入して負担と給付を見直すよう求めてきました。

04年9月には経団連が、「負担と給付を統合的に把握し、個人ごとの会計を整備すべきである」と主張。「給付額の2割程度の削減が必要だ」などと求めてきました。

自民党も14年の政策で、「サービスを自らの状況に応じて組み合わせ、利用できるようにする」と表明。健保組合などで福利厚生の枠内で各人がサービスを選択する「カフェテリアプラン」について「普及を図る」と明記しました。必要に応じて受ける社会保障を、負担に応じた給付に変質させるものです。

強権的な徴収やサービス抑制はすでに全国で広がっています。千葉県松戸市で塗装業を営む一人親方の30代男性は昨年12月、大口の取引先から入金された売掛金のうち、国民健康保険料の滞納分74万円を市に差し押さえられました。収入が不安定で、所得が14万円しかない月もあり、2万~4万円かかる国保料は高すぎて払えずにいました。

「これじゃあ支払いも何もできない。2人の子どもをひとりで育てていて大変なのに、強引すぎる」

(つづく)しんぶん赤旗より転載
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