日本では殆ど暴動は起こっていないが、似たようなものとしてヘイトデモが挙げられる。
しかも、いつも同じ人間が差別に満ちた言葉を振りまいて歩いていて、警察は何もしない。
カザフスタンは北大西洋条約機構(NATO)の新しいフロンティアか? クーデター未遂か? ―「カラー革命」の歴史と分析
カザフスタンは北大西洋条約機構(NATO)の新しいフロンティアか? クーデター未遂か?
―「カラー革命」の歴史と分析
<記事原文 寺島先生推薦>
Kazakhstan: NATO’s New Frontier? Attempted Coup? History and Analysis of “Color Revolutions”
ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)著
グローバルリサーチ、2022年1月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2022年1月21日
カザフスタンの暴動で思い出されるのは、これもエネルギー価格の上昇から始まったアルメニア(2015年9月)の暴動と、親ロシア大統領ミハイル・サーカシヴィリを政権から追い出そうとする野党の試みであったジョージア(2009年4月)の暴動です。さらに2014年のウクライナの暴動のことも少し頭に浮かびます。当時ウクライナでは、ヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領がEUとの連合協定のためにヨーロッパとの交渉を持つよう迫られていました。そしてマイダン暴動は、おそらく、その背後に他の誰か、つまりNATOがいました。ウクライナ人の大多数は、これらの進行中の交渉とその背景については何も知りませんでした。だから、暴動はもっと深いところで計画されたものであり、EUとの交渉とは何の関係もないものでした。EUとヤヌコビッチの協議が中断されたのは、ヤヌコビッチがロシアから「もっといい取引」を持ち込まれたときでした。
そのような状況下で、2014年2月21日に大混乱が発生し、マイダンの虐殺が起こったのです。その激しい破壊は、その集会の目的とは不釣り合いでした。欧米が雇った傭兵が、無慈悲な殺害の背後にいました。マイダンの虐殺で、約18人の警官を含む約130人が殺害されました。そのことが明らかになったとき、この暴動が欧米によって引き起こされたもう一つの「カラー革命」であると判明しました。そしてこのような欧米によるカラー革命には、常に、背後にNATOが控えているのです。NATOの目標は、ウクライナに一つまたは複数の基地を設置することでした。そのような基地はモスクワに近ければ近いほどいいのです。
ちなみに、ヨーロッパと新しいロシアの間の1991年の合意は、(ベルリンの)東に新しいNATO基地は作らないと規定していましたが、欧米によってその規定は決して守られることはありませんでした。プーチン大統領が「赤い線(越えてはならない一線)」を引いているのはそのためです。
おそらく、最近の歴史の中で最初のそのようなカラー革命の一つは、2000年の初めのセルビアでの革命でしょう。その革命が起こる前は、セルビアの若者が"スロボ[スロボダン・ミロシェビッチ], セルビアを救え! スロボはセルビアを救う!”と叫んでいました。その年の後半、親ミロシェビッチだったそのセルビアの若者たちのグループに外国から援助や訓練を受けた「改革志向」の若者のグループが潜入し、大多数のセルビア人に敬愛されていたミロシェビッチ大統領は2000年10月に倒されました。彼はすぐにハーグのICC(国際刑事裁判所)刑務所に送られ、彼は、彼が犯していない最大の反逆罪と人道に対する罪で裁判をうけることになりました。
ミロシェビッチのために彼の弁護士は、欧米がこのカラー革命の背後にいたことを示すしっかりした証拠を集めていました。そして欧米の最終目的は実は、旧ユーゴスラビアの総解体であるという証拠も手にしていました。これらの文書が裁判所(この場合は国際刑事裁判所)の知るところになっていたならば、この事件は一国に対する近代史上最大規模の干渉と破壊の一つとして、当時クリントン大統領らによる欧米の犯罪に、ぬぐい去れない光を当てることになっていたでしょう。だから、ミロシェビッチは「無力化」されなければならなかったのです。2006年3月11日、彼は刑務所の独房で死亡しているのが見つかりました。2001年6月以来、彼は自殺をしないよう絶えず監視されていたという事実にもかかわらずです。
さて、これらはアルメニア、ジョージア、セルビアの話ですが、カザフスタンの話に戻ると、これ以前のいわゆるカラー革命と多くの点で似ています。NATOは、ロシアが設置した厳しい「レッドライン(越えてはならない一線)」のせいで、モスクワに向かって進撃することはずっと失敗に終わっています。それは、ウクライナでも、それよりも前のベラルーシでも上手くいきませんでした。そしていま南部国境のカザフスタンにおいて同じような試みが行われているのです。
これは明らかにクーデター未遂であり、もはや単なるガス価格引き上げに対する抗議ではありません。それは欧米によって工作されたものです。以下の、ケヴォルク・アルファシアン(Kevork Almassian)とマーカス・パパドプロス(Marcus Papadopoulos)博士のカザフスタン危機に関する対談動画(2022年1月6日の46分間の動画)を参照ください。
この新しいクーデターの試みが成功する見込みはありません。欧米のためのあふれるプロパガンダがあるだけです。
プーチン大統領は、これらの旧ソ連共和国がNATOの西側の権力基盤に入ることを決して許しません。これらの旧ソ連共和国の人口の90%以上がロシア圏にとどまりたいと考えていることはよく知られているからです。
セルビア、アルメニア、ジョージア、ベラルーシ、そして現在カザフスタンで繰り返される抗議行動のパターンは、ロシアを不安定化させるための欧米・NATOの圧力であることを明らかに示しています。欧米・NATOの望みは、第二次世界大戦以来変わっていませんが、 「西側の影響下」にロシアを持って来ること、つまりロシアを隷属化することなのです。これらの諸国の暴動のいくつかは、大規模なエネルギー価格の引き上げを理由に起こされた暴動でしたが、それはNATO指導下の欧米の傭兵による激しい暴力的な干渉の口実に使われたに過ぎませんでした。
決して忘れてはいけないのは、このような暴動の背後にある勢力基盤がNATOであることです。そしてNATOの最終的狙いは、NATOが政権転覆しようとしている一国あるいは複数の国にNATO基地を置くことです。しかし、欧米は、それほど賢くないようです。これら旧ソ連共和国のどの国もロシアを裏切らないことを知るべきです。キエフは例外でした。第二次世界大戦以来、キエフはナチスの拠点であったため、キエフで起こったことは他の地域には当てはまりません。
カザフスタンの暴動は、当初は一地域で起こったかなり平和的な暴動でした。その後、暴力的な集団が、「外部」から導入されました。その集団はよく訓練され、人を殺害するためのほとんど準軍事的抗議者の形をとっていました。それが、未遂の「カラー革命」として知られるようになったのです。
カザフスタンでは、18人の警官を含む死者数が30人をはるかに上回り、そのうち少なくとも2人が首を切られ、数百人が負傷しました。カザフスタンのトカエフ大統領によると、憲法秩序は先週の金曜日、1月7日に大部分回復しましたが、混乱は続き、4000人近くが逮捕されました。極端な暴力集団が政府建物を乗っ取り、それらを焼き払いました。空港は占領されました。暴力の激しさは、ガス価格の引き上げ抗議行動には不釣り合いでした。明らかに他の動機が関わっています。
1900万人のカザフ国民の大半は、ガス価格の上昇のための街頭行動には参加していません。大多数は農村部に住んでおり、暴力を避けています。
これらの最新のカザフスタンの暴動は、NATOがウクライナで失敗して以来繰り返している、ロシアを不安定化させる卑劣なNATOアプローチとも言うことができます。言い換えれば、ウクライナに対するロシアの立場を損なうためです。
週末、中国の習近平国家主席はカザフスタンのトカエフ大統領に電話し、米国の干渉をほのめかし、中国がロシアを支持していることをトカエフに保証しました。彼はまた、カザフスタンへの直接支援を約束しています。「習近平はカザフスタン大統領トカエフに電話して、米国の干渉をほのめかし、ロシアを支持し、支援を誓う」という記事を参照ください。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は金曜日、集団安全保障条約機構(CSTO)の加盟国と会談を行いました。アルメニア、ベラルーシ、キルギス、ロシア、タジキスタンの平和維持部隊が先週初めにカザフスタンに配備されました。トカエフ大統領は、CSTO部隊が地元の治安部隊を支援するために「期間限定」でとどまると語りました。
ロシア国防省は後に、CSTO軍も重要な施設と主要インフラの保護を任務としており、「戦闘」活動に参加すべきではないことを明らかにしました。典型的に優柔不断で偽善的な回し者であるEUはまた、抗議側と政府軍の両方に暴力を控えるよう求め、いくつかの国との危機の解決するために自分たちが支援する用意があることを申し出ました。
はい、そのとおりです。暴力を控えるよう両当事者に呼びかけたのです。暴力的な集団はNATO加盟国によって送り込まれたのは明白なのに、です。そのNATOのほとんどはヨーロッパ諸国です。このことによって、もう一度、ヨーロッパの信頼はがた落ちです。こんな呼びかけは、主にヨーロッパ市民をなだめるためだけのものです。親欧米プロパガンダをたっぷり浴びた無知な欧米人をなだめるためだけのものなのです。
わからないのは、なぜ、ロシアとカザフスタン政府の特務機関が、ウクライナに「レッド・ライン」を引いた後にも関わらず、この種の「カラー革命」を予見できなかったのかということです。西側がベラルーシでクーデターの試みに失敗した後だったのになぜでしょう?西側メディアによって核の第三次世界大戦のシナリオが絶えず喧伝されたウクライナの騒動が、カザフスタンのような他の脆弱な攻撃地域からプーチン大統領の注意をそらしたからでしょうか?そして、おそらくベラルーシもプーチン大統領の注意からそれていたのでしょうか?ベラルーシ動静は、今は静かです。しかし、外から見れば、それは一時的な落ち着きのように見えます。そして、ウクライナの混乱の終結はほど遠いです。
ロシアが先制攻撃的な対応を取るのではなく、事象の後追いをしている限り、プーチンは守勢的な窮地に追い込まれるかもしれません。プーチンは、事前に対策を講じるのではなく、ことが起こった後対応する、という戦略を採っていますが、それでは状況は常に不利な方に動いており、この戦略を考え直す必要があるのではないでしょうか。
先制攻撃的な奇策にはどんな作戦があるか想像してみてください。例えば、ロシアがメキシコに軍事基地を設置するのはどうでしょう?不可能ではないでしょう?そんなことが実現できるくらいメキシコと友好的な関係を結ぶ力も、地位もロシアにはあります。そうなれば状況は逆転します。世界の地政学に異なる回転軸を与えることになるでしょう。メキシコのロペス・オブラドール大統領との会談を開始して、この作戦を試してみてはいかがでしょうか?
1990年代から欧米・NATOの意図は、カザフスタンを旧ソ連圏や、今日のロシアの勢力圏から切り離すことでした。これまでのところ、先ほど指摘した理由のために、うまくいってはいません。カザフスタンは、輸出量の3割、輸入量の6割を中露に依存しています。今日、カザフスタンはユーラシア同盟に加盟しています。この同盟は事実上の統合国家であり、緊密な連携関係を保っています。
ロシア国民とカザフスタン国民はウクライナから学びました。カシムジョマルト・ケメレビチ・トカエフ( Қасым-Жомарт Кемелұлы Тоқаев)大統領がロシアに支援を要請するのに長い時間はかかりませんでした。さらにプーチン大統領が集団安全保障条約機構(CSTO – ユーラシア安全保障機関)を通じて対応するのに時間はかかりませんでした。CSTOのメンバーはロシア(事実上の指導者)、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンです。
ロシア軍の第1陣はすでにアルマトゥイに到着し、状況をコントロールするのに役立っています。CSTO部隊に加えて、ロシアは武装勢力に対抗するために空軍部隊を派遣しています。おそらく、ロシアの意図は、もう一つのキエフにならないようにすることでしょう。キエフの暴動の際、ビクトリア・ヌーランド米外相補佐官が、「ヨーロッパなど糞食らえ!」と言い放ったのは、米国がこのクーデターを準備するために過去数年間にすでに1000万ドルを費やしていたからでした。
カザフスタンで見られている勢力は、ガス価格の上昇をめぐる抗議行動が始まったときのような、平和的な抗議者ではなく、非常によく訓練され武装した勢力です。平和的な抗議者だったら、政府の建物や空港を乗っ取ることはせず、警察官を撃って殺さないことは明らかです。これは明らかに外国の介入です。
CSTO部隊が暴力を止めることができるのか、それともロシア軍を派遣する必要があるのか、そして新しい「レッド・ライン」をモスクワが描く必要があるのかが、時がたつにつれて分かるでしょう。
驚くべきことでもあり、悲しむべきことでもあるのは、ヨーロッパ各国が何も手出ししていないことです。このままでは、NATO軍がヨーロッパの領土を破壊してしまうことになるでしょう。ロシアがNATO軍の攻撃に干渉すればそうなってしまいます。NATOが戦争ゲームをけしかけ、それが「熱戦」に変わってしまう状況を作ってしまうのは、ヨーロッパ各国のノータリンの指導者(ママ)のせいだけなのです。ヨーロッパの領土での三度目の熱戦が繰り広げられることになってしまいます。
欧州連合(EU)が作られた所以はそこだったのです。EUは、選挙で選出されていない女性ウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen:元ドイツ国防大臣)によって率いられていますが、より重要であまり知られていないことなのですが、彼女は世界経済フォーラムの理事会のメンバーなのです。我々は、欧州連合(EU)に命令をする人を知っています。そしてEU加盟国の悪質な独裁的指導者(ママ)のほとんどは、ヨーロッパ諸国の主権を剥奪している、クラウス・シュワブの「ヤング・グローバル・リーダーズ」の特別コース出身の学者たちです。このような状況は、世界中で最もコロナ専制的な国家の指導者たちに対しても当てはまります。
彼らを栄えさせてはいけません。
カザフスタンの話に戻りましょう。単離されず、特定されていないウイルスで西洋人を怖がらせている同じ人々が、ロシアと中国を背後で破壊しています。
もし彼らがカザフスタンで成功したならば、彼らはロシアをかなり弱めることができるでしょうし、次のステップはおそらく、NATOがウクライナでモスクワの「レッド・ライン」を無視し、ウクライナを武装させることであり、最終目的はウクライナをNATO加盟国にすることでしょう。
しかしそうなる可能性は低いでしょう。というのもそんな事態になれば、プーチンはドンバス地域からウクライナに侵入することを躊躇せず、ロシアの利益を守ろうとするでしょうから。NATOと米国は、ロシアの最新の防衛システムに対して勝機がないことを知っています。NATOや米軍は、100年あまりの間で、ヨーロッパを3度消滅させることになる行為をとるでしょうか?
カザフスタン、ウクライナ、ベラルーシのための戦いは、重要な戦略的チェスゲームです。間違いなく、ロシアはそれに勝利します。しかし、ヨーロッパにとって、そしてユーラシアは、どんな犠牲が払われなければならなくなるのでしょうか。西側が課すCOVIDの制限が厳しければ厳しいほど、ヨーロッパの主権を維持または取り戻すための代価は高くなります。
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