日経新聞・電子版に次のような記事が出ていました:
日経新聞(2018.3.18)『為替・株予測AIに挑戦状(10周年記念特集)[日経ヴェリタス2018年3月18日号]』
主なAIファンドの運用成績を調べたところ、基準価格(分配金再投資ベース)は総じて下落したものの、日経平均株価(マイナス4.5%)やダウ工業株30種平均(同4.3%)といった市場平均を上回る成績を出したファンドが目立った。
AIのデータ分析をもとに銘柄の買い(ロング)と東証株価指数(TOPIX)先物の売り(ショート)を組み合わせ、相場全体が下落する局面でも一定の利益を確保することを目指すファンドだ。
2月上旬、米国株の予想変動率であるVIX指数や米長期金利の上昇を受けて、AIが株価下落を予測するシグナルを多く発したため、先物の売り比率を高めて現物株の買いを減らした。その結果、基準価格の大きな下落を免れることができたという。
2月のAI日本株式オープン(絶対収益追求型)は、「先物アロケーション戦略」がうまく機能して、
基準価額の大きな下落を避けることが出来たというのですが、
本当でしょうか?
下の図は、「AI日本株式オープン(絶対収益追求型)」と「eMAXIS 最適化バランス(マイ ゴールキーパー)」とを
2017年8月末(ちょうどTOPIXが上昇し始めた付近)~直近までの期間で、パフォーマンス比較したものです。
出所:楽天証券 https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/comparison/?codes=JP90C000EHZ8_JP90C000D1X7
※ マイゴールキーパーは、株価変動リスクを6%程度(年率)に抑えることを目標に運用しているリスクコントロール型の低リスクファンドです。
こうしてみると、AI日本株式オープン(絶対収益追求型)は、「2月上旬の相場環境の変化」に的確に反応してリスクを抑えたのではなく、
それ以前から、ずっと、リスクを抑えていたと言えるのではないでしょうか。
2月に何か特別なことをしていたわけではないと思います。
だからこそ、
「17年9月末と18年2月末で比べるとAI日本株式オープンの基準価格は小幅なマイナス(その他のファンドは3~9%のプラスを確保)」
でしかないのだと思います。
cf. 現金比率20%制約の存在について:AI日本株式オープン(絶対収益追求型)
ある特定の時期だけを取り出して、「なにか特別な意味があったような解釈」を与えてはいますが、明らかに間違っているように思います。
(人間がやりがちなことではあるのでしょうが)
これは、テスト運用時に「トランプ・ショック」を回避できたと主張していたのと同じ「こじつけ」で、
結局のところ、「たまたま」(特別なことは何もしていない)でしかなかったのではないでしょうか。
cf. 「トランプ・ショック」は本当に回避できたと言える?:AI日本株式オープン(絶対収益追求型)
ちなみに、「AI日本株式オープン(絶対収益追求型)」と「他のファンド」との比較チャートは、以前、こちらの記事でまとめてみました。
参考になりそうであれば、うれしいです。
投資信託の比較チャート:AI日本株式オープン(絶対収益追求型)