投信メモ

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・『AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(愛称:日本AI(あい))』03314172:JP

クオンツファンドの選び方:「クオンツのセンス」を見る

2018-08-24 | 「運用会社の質」について

 

以前、アクティブファンドや運用会社を選別する時のポイントについて、以下のような記事を書いていました。

  ☞ 「バフェットからの手紙」に学ぶ、投資信託選びで失敗しないための注意点 / 『“投資信託”文学』にご注意を

  ☞ ダメな「アクティブ・ファンド」の見分け方 / 日経新聞が「AI日本株式オープン」に見せた“忖度”!?

 

 

そこでの視点は「担当者には、少しでもファンドを良く見せかけようとする、非常に強いインセンティブが働く」という事実に注目して、

 ・ファンドの説明等に『不誠実な対応』(騙すような行為)が1つでもないか?(ゴキブリ理論)

 ・ファンドの良し悪しを判断するための情報を過不足なく、明瞭に提示してくれているか? 出来ないのなら、何かある。(背理法的推論)

が、チェックポイントとして重要ではないかと指摘していました。

 

 

今回は、それとは違った視点で、アクティブファンド、特に、クオンツファンドの良し悪しを判別するポイントについて書いてみようと思います。

最初に注目するポイントは「クオンツのセンス」を見るというものです。

 

ところで「クオンツのセンス」とは、何でしょうか?この点について、少し詳しく思う所を書いてみたいと思います。

クオンツは、運用に定量的なアプローチを採用していますが、変な話、そういう“テクニック”を使うだけなら、

その流行りの分野の研究室にいる学生さんを連れてくれば、簡単に出来てしまいます。運用なんてまったく知らない子でも出来てしまいます。

ですが、それでうまくパフォーマンスが出せるほど、運用の世界は簡単ではありません。

『高度で先端的な理論や技術を運用に採用している。理論や技術そのものを先駆的に研究している(流行りの研究室の学生さんを最近採用した)』っていう謳い文句だけでは、なんの価値もないのです。

重要なのは、そういった技術を使って、優れたパフォーマンスを出すファンドを多く提供してきたという実績があるかどうか、

ただ、その一点に集約されます。

実績(良好なパフォーマンス)を伴わない「クオンツ・アピール」は、無視して問題ありません。

というのも、クオンツというと、しばしば、頭の良さそうな人たちが出て来て、数式だとか難しそうなものがたくさん並びたてられます。

中には、そういうものに面食らってしまって、正しい評価が出来なくなってしまう人がいるのも事実です。

実は、そうなることを狙って、まるで詐欺師のように、冷静な判断をさせないよう、いろんな言葉を畳みかけている、という面もあります。


ですが、重要なことは、運用の世界での大原則は「結果がすべてである」ということです。

私たちは、芸術作品を買うのではありません。

仰々しい雰囲気の中、それっぽい評論家が出て来て、「素晴らしい芸術作品だ!美しい。人間離れした超絶的技巧だ!!」なんて言ってきたら、

「それで腹は満たされるのかね?」と、さも当然のように言える“場違いさ”が必要です。


私たちが注目すべきなのは『(高度で先端的な)理論や技術』を『パフォーマンス』に変換できるチカラです。

そして、これこそが「クオンツのセンス」なのだと思います。

 

 

 

さて、「クオンツのセンス」を見るときに、注目すべき点はなんでしょうか?

私は、その運用会社が作っている『予測モデル』(リターン予測や局面予測)の作り方・使い方をみると、だいたい判別がつくのではないかと思っています。

なぜなら、「予測」というのは、そもそもが、とても難しいことであり、単に、理論や技術をパッと持ってきてすぐに実用化する、なんてことが出来ないからです。

実用性のあるモデル(=「結果(リターン)が出せる」モデル)を作れる“センス”の有無、

つまりは、クオンツファンドとしての実力の程度が、そこには、如実に現れてくると思います。

 

 

 

簡単な事例で例えると、「円建てS&P500のリターン予測モデル」がイメージしやすいと思います。

円建てですから、素直に予測モデルを作ると

  • 現地通貨建てのS&P500のリターン予測モデルを作る
  • ドル円のリターン予測モデルを作る
  • これらの予測結果を合成して、円建ての予測値を作る

となります。

ですが、これは、非常に難易度の高い予測をしようとしています。「株価予測」+「為替予測」というそれぞれ単独でも難しいことをしているのです。

各モデルの予測誤差を考えただけでもため息がでるのに、それらをさらに掛け合わせるのです。まともな予測値が出るとは、想像し難いと言えます。

そこで、工夫が必要になってきます。

 

 

では、どうすればいいのでしょうか?

これが正解というわけではありませんが、例えば、以下のような対応が考えられると思います。

  • ドル円のリターン予測は止めて、足元の局面判断(トレンド判断)をするモデル(=将来予測ではない)を作る
  • ドル円の足元の局面判断に基づき、それが、今後もしばらくは継続すると予測する(ホワイトノイズ・モデル的な予測)
  • ドル円の局面に応じて、ドル建て資産のウェイトへの反映度を調整するパラメータを導入
  • 各モデルの予測精度を評価し、精度が低下している局面では、ウェイトへの反映度を低下させられるよう、調整パラメータを導入

 

ポイントとしては

  • 何を予測しようとしているのかを正確に把握し、見た目のカッコよさなどは無視して、その難易度を出来るだけ下げるような設計をしている
  • 予測がそもそも上手くいかない場合への対応を用意している

という点になります。(個人的には、「良い予測モデルの設計」とは、出来るだけ予測をしないようにしているモデルである、と考えています)

 

予測モデルについては、こういった辺りを注視してみると、センスの有無について、掴めることが多いように思います。

(ここから、さらに具体的にどう作り込んでいくかでパフォーマンスに差が出てくると思いますが、その部分についてまでは細かく検討はしなくて良いと思います。その辺の良し悪しが判別できるだけのノウハウがあるのなら、むしろ自分でモデルを作った方が良いです。普通はそうではないので、後は、実働実績のあるファンドをいくつかみて、実際のパフォーマンスを評価してみると、だいたい、この辺の細かい部分の作り込みが上手そうかどうかは判別出来ると思います(運用結果は、ある意味で、本当に正直です)。上手ければ、検討中のモデルも信頼してよいと思います。)

 

 

そうではなくて、何の工夫もなく、単に、先進的で高度な技術を活用すれば解決できる、なんて簡単に言ってくる人は、センスを疑います。

なぜなら、今、目の前にある「先進的で高度な技術」が登場する以前には、その当時の「先進的で高度な技術」が存在し、

その当時の目新しい技術を使えば、問題は解決できるはずだと、まったく同じことを言っていたような、当時から何の進歩もしていない連中だからです。

 

予測モデルの設計(何をどう予測し、それをどうリターンにつなげるのか。上手く行かないときはどうするのか)が良く考えられているかどうか、

ここが何より重要だと思いますし、まさにセンスが問われる部分です。

予測の肝は「どんな技術を使ったのか」ではありません。「どう活用したか」です。

そして、実績というのは、こういう所に現れ、差を生んでくるものです。

 

小手先の技術論ばかりを目くらましのように並びたて、肝心の「予測モデルの設計」については、その意義と目的をきちんと説明しないファンドなら

最初から、検討の対象外にして問題ないと思います。

 

 

 

例えば、「AI(人工知能)技術を導入することで、高い精度での株価予測が可能となる」などという“学生レベル”の主張をするところは、

往々にして、過去のシミュレーション結果で右肩上がりのきれいな図を作ることだけに集中して、オーバーフィッティングを起こしてしまっています。

(人工知能を使っているのに?と思われたかもしれませんが、インプットデータの与え方などを変えることで、チューニングすることは可能だと思います。

また、以前、収束条件の精度をチューニングしている人を見かけて驚いたこともあります。一般にはあまり気にかけないところで、悪さをして来る人もいるのです)

 

 

そして、オーバーフィットさせているので(さらに、手癖が悪ければ、上手くいっていない局面自体を分析期間から除外する)、

シミュレーション上は、上手くいっていない局面がありません(高度な先端技術を導入した効果である!と主張するためです)。

 

そのため、逆に、モデルがワークしない局面になった時の対応が、システムに組み込まれていなかったりします。

結果として、実運用では、パフォーマンスが悪化してくると、その場その場での改良が頻発することになります。

それも本質的な改良ではないため(その場しのぎの対応に終始)、パフォーマンスの改善には繋がらないケースがほとんどです。

これは、実用性という視点が欠けているところが商品開発を行ったときに、よく起こる“症例”と言えます。

 

 

 

 

さて、では、この視点でみた時に、AI日本株式オープン(絶対収益追求型)は、どう評価できるのでしょうか。

これをテストケースとして、「クオンツのセンス」の有無についての見方を、次回、考えてみたいと思います。

 

注目したいポイントは『足元での「安定配当モデル」によるパフォーマンス悪化、及び、その対応方法』です。

この点にフォーカスすると、モデル構築時の設計のちぐはぐさ(=センスのなさ)が浮かび上がってくるのではないかと思います。

また、パフォーマンス悪化時の対応方法にセンスが感じられない理由も明らかになってくると思います(=運用システム全体としてのセンスのなさ)。

 

今回は触れませんが、日次予測モデル(前日終値から当日終値の変化予測)で、日本のマクロ指標(主に月次データ)をインプットデータに採用している点、
逆に言えば、予測期間のタームを『日次(東京時間)』に設定している点(トレンドを予測するわけでも(このタームではノイズが大きすぎて、そもそもが無理)、新たな情報(ex. 当日夜間の海外指標の発表)が出た瞬間の織り込みを予測するわけでもない)、
つまりは、「AIは短期予測が得意なイメージがある。検証用のデータベースの最小単位が日次だった。そこで、日次予測をすることにした」と考えたとしか思えない程度の思慮のなさ。
これも「センス」の有無(よく考えてモデル設計されているかどうか?)を見る上での評価ポイントになると思います。

  ☞ 予測精度評価の不誠実さ:AI日本株式オープン(絶対収益追求型)

     三菱UFJ信託資産運用情報 2016年6月号 (pdf)


 

 

 

批判的な事ばかり言っている面もありますが、

ただ、私は、ダイエットサプリ商法のような、ダイエット出来ない人の心理を利用して銭儲けしようとする類のビジネス・スタイル

最新の研究で判明した驚愕のダイエット成分を含むサプリメントをご提供します!』と大々的に宣伝して、
仮に“ダイエット成分”を含んでいたとしても、それを摂取することで、ダイエットに成功するだけの実用性はないサプリを堂々と売りつける商売。

つまりは、今のような投信ビジネスのスタイルではなく、ただただ、実用性のある投資信託を開発し、販売することに注力して欲しいと思っています。

そして、それこそが、健全な資産運用ビジネスの発展につながることだと考えています。


2018年8月20日(月) ~ 8月24日(金):AI日本株式オープン(絶対収益追求型)の週次パフォーマンス

2018-08-24 | 週次モニタリング:AI日本株式

 

今週のパフォーマンスは、前週末比▲0.12%とマイナスとなりました。

なお、今週火曜日(2018.8.21)には、基準価額(分配金再投資)は9,585円まで悪化し、設定来最安値を更新しています。


これに対して、インデックス投資(日経225ETF:25% + 現金:75%)は+0.37%のプラスでした。

そのため、リスクを抑制したインデックス投資の場合と比べて、▲0.49%とアンダーパフォームしました。

 





なお、AI日本株式オープンは、7月に『安定配当モデル』に改良が実施されています。

これは、5月以降に生じた急激なパフォーマンス悪化への対応と思われます。

しかしながら、8月以降、同種の投資戦略を取っている「はいとう日本」がやや持ち直す一方で、AI日本株式オープンはパフォーマンス悪化が止まらない状況にあると言えます。

残念ながら、足元では、改良効果が出ていないと言えそうです。


図の出所:楽天証券 https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/comparison/?codes=JP90C000EHZ8_JP90C000E040
  ※ 図は、データがまだ更新されていないため、8/23時点までをプロットしたもの。






この結果、設定来のパフォーマンスは以下のようになりました:

  • AI日本株式オープン:▲5.92%(購入時手数料:2.16%)
    • 購入時手数料考慮前:▲3.76%
  • インデックス投資(日経225ETF:25% + 現金:75%):+5.43% (購入時手数料:0.0%)

  • 超過リターン:▲11.35%のアンダーパフォーム
 
※ 購入時手数料は、設定時にカブドットコム証券で一括購入したと想定
※ インデックス投資(日経225ETF:25% + 現金:75%)とは、例えば、設定日にAI日本株式に500万円投資している場合、日経225ETFに125万円投資して残りの375万円は現金のまま保有することに対応したもの。リバランスはなし。






参考資料

三菱UFJ国際投信:『AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(愛称:日本AI(あい))』
https://www.am.mufg.jp/fund/252629.html

 

 

 

 

※ 週次モニタリングでは、『基準価額(分配金再投資)』の日次データ(時系列)は、三菱UFJ国際投信のサイトに掲載されている値(丸め処理にバグ有)を使用しています。
  データチェックのための比較対象がないことから、このような対応にしています。なお、これによって、設定来のパフォーマンスには若干の誤差が生じる場合があります。

  ☞ 三菱UFJ国際投信のサイトで『基準価額(分配金再投資)』(日次データ)を取得する場合の注意点

    cf.  投信の「基準価額(分配金再投資後)」の値、SBI証券と三菱UFJ国際投信でちょっと違うのはなぜ? / 三菱UFJ国際投信の基準価額チャートのバグについての補足:他のネット証券の場合は?


『“投資信託”文学』にご注意を

2018-08-18 | 投信メモ:AI日本株式オープン

 

タイトルを読んで、「何だろう?」と思われたかもしれませんが、まずは、以下の月報を読んでみてください:

これは、AI日本株式オープン(絶対収益追求型)の2018年7月の月報から、一部を抜粋したものです。

 三菱UFJ国際投信『月報(2018.07):AI日本株式オープン(絶対収益追求型)』:https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201807.pdf

 

 

これによると、『ニュースピックモデル』は、寄与額が▲1円であったことが分かりますが、パフォーマンス評価では「ほぼプラスマイナスゼロ」と表記しています。

▲1円≒0円との評価でした。

 

 

 

 

次に、2017年3月の月報を読んでみてください:

これによると、『ニュースピックモデル』は、寄与額が+1円であったことが分かりますが、パフォーマンス評価では「小幅にプラス」と表記しています。

+1円 > 0 との評価になっています。

 

 

 

このように『+1円』と『▲1円』の評価が非対称になっています。“投資信託独特の表現・言い回し”(皮肉を込めています)だと言えます。

以前、同ファンドが出した運用状況レポートを『×のない世界』だと揶揄していましたが、それとまったく同じです。

少しでも良く見せようとする心理が、客観性を欠く、このような“文学的”表現を生んでしまうように思います。

 

ちなみに、この『ニュースピックモデル』は、各モデルの中で最もパフォーマンスが悪く、特に、15ヶ月連続(2018年7月末時点で)でプラス寄与になった月はありません。月次の戦績は3勝13敗2分けという惨状です。(なお、2018年4月にはモデル改良も実施されていますが、未だに改善効果が出ていない状況にあります)
 

 

 

 

 

くどいようですが、運用会社には、ファンドが上手く行っているように、少しでも良く見せたいとする、非常に強いインセンティブが働いています。

それは、とても注意し、警戒すべきことです。

 ☞ 日経新聞が「AI日本株式オープン」に見せた“忖度”!?

 

 

 

そんな風に言っても、もしかしたら、ピンとこない方もいるかもしれません。

 

 

 

ただ、そんな方でも

企業経営者は、数値目標の達成に対して強いインセンティブがあると、経営が上手く行っているように見せかけようと、

会計数字をいじってしまうことがあります。

ですから、経営者が信頼できるのかどうか、この見極めが、株式投資ではとても重要になります。

と、このように言った場合は『変なことを言っているぞ!』なんて思われないのではないでしょうか。

(中には、最近起きた「国内自動車メーカーによる燃費偽装」や「国内素材メーカーによる品質偽装」をイメージされた方もいらっしゃるかもしれません)




運用会社も、実は、これと全く同じなんです。

にもかかわらず、経営者のようには(性悪説の視点では)、まったく警戒も監視もされていないのです!!(ある意味で、やりたい放題なんです)

 ☞『「バフェットからの手紙」に学ぶ、投資信託選びで失敗しないための注意点

 

 

冒頭の「言い回し」だけ見ると、1円ぐらいで、なんだか随分と大げさに感じられるかもしれません。

ですが、問題の本質は「良く見せかけようとする非常に強いインセンティブ」が存在することにあります。

そのインセンティブに抗って、『誠実な表現』を使うことが出来るのか、出来ないのか、この点は、実は、結構重要だと思います。

「誠実さ」は、些細なところで現れてくることが多いように思います。

『誠実な表現』が使えいない所が商品開発を行うと、検証期間を恣意的に設定するなどして、モデルの有効性を意図的に偽るような悪質なことを平然と行う可能性が非常に高いと思います。

 

 

 

運用内容について、投信購入者への情報提供が、とても、ともて、そして、とても、不誠実なファンドがたくさんあります。

微妙な言い回し、独特な言い回しを駆使して、ファンドが実態以上に優れていると見せかけようとしてきます。

大抵、そのようなファンドは、投資すべきではない「ダメファンド」だと思います。

 ☞ ダメな「アクティブ・ファンド」の見分け方

 

 

 

『運用会社は平然と嘘をつく(まるで、企業経営者のように)』

 

そんな風に思って資料を読むと

 「あれ、なんでこんな回りくどい言い方をしているんだろう?」

 「なぜ、ファンドのリスク属性など、重要な情報を開示しないのだろう?」
 「なぜ、ベンチマークがこれなんだ?これで、ファンドを正しく評価できるの?」

 「高度な・・、高度な**、とやたら言うけれど、その“高度さ”がどの程度役立つのか、具体的な数字が出てこないのはなぜだろう?」(株でいう『IR芸』)

など、客観性を欠く“文学的”な文章の存在に、気付かれるようなると思います。

 

 

この独特の『投信文学』の存在を意識するだけで、投資信託選びは随分と違って来るように思います。

 


2018年7月末時点:現金比率 [AI日本株式オープン(絶対収益追求型)]

2018-08-18 | 現金比率:AI日本株式

 

AI日本株式オープン(絶対収益追求型)の2018年7月末時点の現金比率は、28.91%となっています。

設定以来、20%を超える高い現金比率が、引き続き維持されていると言えます。

 

投信のコスト

  • 信託報酬等:1.296%(年率)
  • 購入手数料:2.160%(カブドットコム証券の場合)

 

 

 

cf. 現金比率20%制約の存在について:AI日本株式オープン(絶対収益追求型)

AI日本株式オープン(絶対収益追求型) は、低リスク型の高コスト投信であるにもかかわらず、現金比率20%の下限制約を設けているようです。

そのため、例えば、この投信を500万円分購入した場合、最低でも100万円は必ず「非常に高コストの預金口座に預けたままの状態で放置されている」と言えます。

つまり、100万円は、「預入手数料:2.16%(2万1600円)」を支払った上で、「信託銀行に預金」し、「年率1.296%の口座維持手数料」を取られるだけの状態にあります。

このことは、当ファンドのパフォーマンスが、劣後している原因の1つであると考えられます。

 

 

 

 

 

● 三菱UFJ国際投信「月報:2018年7月末時点」
 https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201807.pdf


2018年7月末時点:AI日本株式オープン(絶対収益追求型)の月次パフォーマンス

2018-08-18 | 月次モニタリング:AI日本株式

 

月間パフォーマンス:サマリー

当月のパフォーマンスは、前月末比+0.56%とプラスとなりました。

また、インデックス投資(日経225ETF:25% + 現金:75%)は+0.28%のプラスでした。

そのため、リスクを抑制したインデックス投資の場合と比べて、+0.29%とアウトパフォームしました。

アウトパフォームするのは4ヶ月ぶりのことです。これで、インデックス投資(リスク抑制)に対する月間の勝敗は、6勝12敗となっています。

 

要因分解によると

 ● AIモデル(実運用ベース):+0.66%のプラス寄与
 非AIモデル(転換点予測):0.00%でゼロ寄与
 信託報酬によるコスト負担:▲0.11%のマイナス寄与
 誤差:+0.01%
 トータル:+0.56%

となりました。
 
今月は、AIモデルはプラス寄与となっています。
 
 
 
 
 
なお、今月の月報によれば、『安定配当モデル』に対して改良が実施された模様です。

ちなみに、4月に実施された『ニュースピックモデル』の改良については、ホームページの「ファンド関連のお知らせ」でアナウンスがありましたが(pdf)、
今回については、月報の中で触れられるのみでした。おそらく、『AI(人工知能)』とは無関係な部分での改良であったためではないでしょうか?
 

改良の詳細は不明ですが、5月以降、安定配当モデルのパフォーマンスが著しく悪化しており、それに対応したものと考えられます。
どうやら、懸念していたように、対応が必要となるだけの、なんらかの問題が顕在化していたと言えそうです。

元々、このファンドがモデル構築のために実施した実証分析は、検証期間が短く、相場局面の一部しか含んでいなかったため、足元の環境には対応できなくなっていたのかもしれません。
つまり、いわゆる、オーバーフィッティングの問題が生じていた可能性がありそうです。
もし、今回、足元の環境に合わせるために、急遽、近視眼的な改良(フィッティング)を行ったとすれば、再び同じ問題が発生する可能性が高いと言えます。これは、実証分析力のないファンドではしばしば起こる事態です。
できれば、なぜ、このタイミングで、高配当戦略に、『成長性分析』の視点を“強化”する必要があったのか、そして、どのような“強化”を行ったのか、具体的な説明が欲しい所です(そして、変更は、その部分だけだったのかも確認したい点です。「改良」と称して、その他の問題個所もこっそりと修正することも実はよくあることです)。
説明がない状態では、継続して投資しても問題ないか、判断は難しいと言えるように思います(実際、過去に作ったモデルは、今まさに問題が起きているのですから、残念ながら、口だけでは、今回は大丈夫だとは信じられません)。

 

ところで、7月末前後に、パフォーマンスが、従来には見られなかったレベルで不安定になっていましたが、
その原因が、7月に実施された、この改良に起因するものであった可能性も考えられます。なお、8月に入ってからはパフォーマンスがさらに悪化しています
 
 
 
 
 
なお、4月に改良が実施された「ニュースピックモデル」については、今月もプラス寄与となることが出来ませんでした。
これで、15ヶ月連続で、プラス寄与となった月がない状態が続いています。未だに、改良効果が出ていないと言えそうです。
 ※ 日次予測モデル・月次予測モデルがプラス寄与となっていますが、これだけで、予測力が高かったと判断することは出来ません。
   同期間のTOPIXはプラスとなっているため、「ロングオンリー戦略」では、予測力のない「コイン投げモデル」でもプラスのリターンを獲得することは十分にあり得るからです。
 
 
 
 
 
 
 
 
この結果、設定来パフォーマンス(当月末時点・累積日次リターン%)は、以下のようになっています。
 
 ● AI日本株式オープン:▲1.78%
   ☆ 除く、非AIモデル要因(=AIモデルのみの実力):▲3.63%
 
 ● インデックス投資(日経225ETF:25% + 現金:75%)5.37%
 
 
 

また、購入時手数料を考慮すると、設定来パフォーマンスは以下のようになります。
 
 AI日本株式オープン:▲3.94%(購入時手数料:2.16%)
 
 インデックス投資(日経225ETF:25% + 現金:75%):+5.37% (購入時手数料:0.0%)
 
 超過リターン:▲9.31%のアンダーパフォーム
 
※ 購入時手数料は、設定時にカブドットコム証券で一括購入したと想定。リバランスはなし。
 
 
 
 
 

月間パフォーマンス[前月末比%]

 
 
 

要因分解:月間パフォーマンス[前月末比]

※表では、各要因のパフォーマンスを単純に合計した値を掲載している。そのため基準価額の変化額とは若干誤差が生じ得る。
 モデル以外要因(その他)は、モデルと実運用の乖離を表したもの。この値をAIモデル要因に加えたものが、実運用ベースでのパフォーマンスとなる。
 モデル以外要因(その他)は主としてAIモデルによって生じているため、便宜的に上記のような対応を取っている。

 
 

要因分解:月間パフォーマンスの累和 

 
 
 

要因分解:設定来パフォーマンス(累積日次リターン%)  

 
 
 

設定来パフォーマンス(購入時手数料考慮、累積日次リターン%)  

 
 
 

参考資料

月報(2018年7月末時点)『AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(愛称:日本AI(あい))』 
https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201807.pdf

 

 

 

 

 

※ AI日本株式オープン(絶対収益追求型)の『基準価額(分配金再投資)』(日次データ)について:
三菱UFJ国際投信のサイトで公表されている値は、丸め処理にバグがあるため、この値を使うと設定来パフォーマンスに誤差が生じる場合があります。
そのため、
月次モニタリングでは、『基準価額(分配金再投資)』の値を自分で算出しています。

  ☞ 投信の「基準価額(分配金再投資後)」の値、SBI証券と三菱UFJ国際投信でちょっと違うのはなぜ?