投信メモ

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・『AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(愛称:日本AI(あい))』03314172:JP

語録:AI日本株式オープン、この一言(no.3)『最大の売り』

2019-01-12 | 語録:AI日本株式、この一言

 今回の「AI日本株式オープン、この一言」は

「つまり、投資リスクが5分の1程度に収まっているということです。これがAIファンドの最大の売りです」

です。

これは、2017年10月10日マイナス金利時代にAIがもたらす価値~三菱UFJ信託銀行の挑戦[前編]」からの一節です。

あまり値動きせず、面白みがないと思う人もいるかもしれないが、「利回りの高さより、安定性を重視して設計しているので、シミュレーションの結果は狙いどおりともいえます」と染谷氏は言う。
同行国内株式クオンツ運用課の岡本訓幸氏も、利回りが大きく変動しないところがAIファンドの商品価値だと説明する。
「市場全体が右肩上がりに成長している状況だと、AIファンドのリターンは物足りなく思われるかもしれません。しかしこの商品は、リーマンショックのようなマイナス局面でも収益を確保できる可能性があるのです。
特に注目していただきたいのが、収益のばらつきを示す標準偏差です。
TOPIXはだいたいプラスマイナス20%のぶれがあるといわれていますが、AIファンドでは4%です。
つまり、投資リスクが5分の1程度に収まっているということです。これがAIファンドの最大の売りです」(岡本氏)


 

 

 

ただし、リスク(ボラティリティ)を抑えるだけなら、現金比率を高めればよいだけのことです。

例えば、下図は、現金比率80%(±2%の乖離を許容)の下で、日経225のETFに投資した場合のパフォーマンスを見たものです:

※ 過去5回、リバランスを実施。

 

この時のヒストリカル・ボラティリティは、3.2%(年率)となっています。これは、日経225ETFの16.1%(年率)の1/5程度になっています。

なお、AI日本株式オープンのヒストリカル・ボラティリティは3.5%(年率)でした。

 

 

 


現金のまま保有することは(全体の80%、例えば100万円なら80万円もが現金のまま)、せっかくの投資資金を遊ばせているような感覚になって、
何かに投資しなくていいのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、それは、売る側の論理でしかありません。
顧客の手元にある現金は、そのままでは何の手数料収入も産んではくれない「放置された資金(“投資されていない資金”)」です。

ですが、投資家にとっては、現金保有もまた、立派な投資先なのです(ex. 100万円の内、20万円だけ投資して、残り80万円は現金のまま保有)。

 

 

現金保有を「投資先」と見なせない、運用会社や販売会社のエゴ(投資家との利益相反)が、

  「利回りが大きく変動しないところがAIファンドの商品価値

  「投資リスクが5分の1程度に収まっているということです。これがAIファンドの最大の売りです

などという発想を生んでいるように思います。

例えば、以下のようなセールストークを聞いたら、どう思われるでしょうか? 

『投資資金を用意したけれど、日経平均やTOPIXではリスクが高すぎて、投資が出来ない』とお困りの方も多いことでしょう。

興味はあるのに、なかなか「投資」に踏み出せないと、ご相談を受けます。確かに、日経平均などでは、リスクが高すぎてお勧めできません。

しかし、AI日本株式オープンであれば、リスクは1/5程度に抑えられています。こちらの商品は、そんな方に、自信をもってお勧めできます。

ex. 2月のAI日本株式オープン(絶対収益追求型)は、本当に『スペシャル』だった? 

 

 

投資家の立場からすれば、これは、「最大の売り」などと言えるものではありません。

繰り返しになりますが、単にリスクを抑えたいだけであれば、現金比率を高めれば良いだけなのです。

(投資資金が100万円ある人がいたら、100万円分の投資信託を購入してもらわなければならないのは、運用会社や販売会社の都合でしかありません)

強調されるべきポイントは、もっと他にあります。




そして、AI日本株式オープンの直近1年間のシャープレシオ(2018年12月末時点)は ▲2.33 となっています。

絶対収益追求型のファンドであるにもかかわらず、このパフォーマンスであるということは、
如何に危機的な状況にあるかを端的に表している
と思います。


語録:AI日本株式オープン、この一言(no.2)『AIですから』

2019-01-06 | 語録:AI日本株式、この一言

 

今回の「AI日本株式オープン、この一言」は

「AIですから、学習させていくことで、より予測精度は上がっていくと思います」

です。

これは、2017年9月7日Yahoo!ニュース:「AIファンド」は、人間のトレーダーを駆逐するのか」からの一節です。

日本AIは2017年3月末時点ではプラスの実績。岡本氏は、「まだまだこれからです」と期待を隠さない。
「AIですから、学習させていくことで、より予測精度は上がっていくと思います」
 

 

しかしながら、囲碁のように対戦をこなしていくことでプロ棋士のように強くなるのとは異なり、
現実の株式市場の予測は、あたかも、一部の碁石が突然「白」から「黒」に変わったり、白でも黒でもない黄色の石が登場したりするような世界です。

過去に通用していた経験則・解釈が変質することは、しばしば起こります。

それっぽいデータを用意して、分析ツールを回せば、意味のある答えが出て来るほど簡単ではありません。
ましてや、それっぽい結果を得るために、分析期間などを恣意的に選択するなど愚行(オーバーフィッティング)以外の何物でもありません。

 

 「彼らなら、“AIですから、ロト7の過去の当たり番号を学習させていくことで、見事に予測できるようになりますよ” と本気で言いそうだ

あたかも、ロト7の当たり番号を予測するという行為が、そもそも、どういうものなのか、理解すらもしていないかのように、
「最先端の高度なAI」を活用すれば、それで“問題”が解決すると思えてしまえたことの愚かさ(ただの詭弁)を象徴するセリフであったと思います。

 

 

※ 累和日次リターン:日次リターンを単純に加算したもの

 


語録:AI日本株式オープン、この一言(no.1)『次世代の資産運用』

2019-01-06 | 語録:AI日本株式、この一言

 

今回の「AI日本株式オープン、この一言」は

次世代の資産運用

です。

これは、2017年2月24日「MUFG Innovation Hub:三菱UFJ信託銀行が運用する、人工知能を活用した投資信託とは」からの一節です。

ディープラーニングなど高度な技術による運用はベンチャー企業の専売特許ではない。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の、AIによる資産運用の現場を追いかけてみよう。

今回、AIによる資産運用についてインタビューしたのは、三菱UFJ信託銀行ならびに三菱UFJトラスト投資工学研究所(MTEC)。
「次世代の資産運用」として、飛躍的に向上してきたコンピュータの処理能力とビッグデータ、そしてデータから価値ある知見を導き出すためのAI技術を組み合わせて、新たな形での資産運用を広めていこうとする構えだ。
  

 

AI日本株式オープンは、最先端の高度な技術を使って実現した「次世代の資産運用」であるという華々しい謳い文句とともに登場しました。

そして、その謳い文句と現実のギャップに多くの人が落胆し、現在では、本当に、話題にすら上らなくなってしまいました。

 

 

関連記事:日経新聞(2018.8.30)AIも手を焼く日本株 経験則通じず成績低迷

現在、国内で公募で販売しているAI投信はおおよそ10本ある。これらのファンドのパフォーマンスを見ると、ある一つの事実に気づく。
日本株を運用対象とするAIファンドだけが全般に苦戦しているのだ。

なぜ日本株の運用にだけAIは苦戦しているのか。

三菱UFJ国際投信が昨年2月に設定した「AI日本株式オープン」は、三菱UFJ信託銀行と同行傘下の三菱UFJトラスト投資工学研究所(MTEC)が投資助言するAIファンドだ。設定来の運用成績はマイナス3%だ。