高知ファンクラブ

“高知をもっと元気にする”ボランティア集団、「高知ファンクラブ」のブログです。

連載第2回 若草幼稚園・すくすくの森で育まれるもの・・・とぎすまされる感性(その3)

2011-01-21 | 2011年1月の記事

少々の雨でも週に一度は行くすくすくの森。三歳の時、バスを降りて森に差し掛かるだけで圧倒されて泣いていた子どもや、坂道が恐い、大きな木が恐いといって泣いていた子どもも、回を重ねる毎に幼稚園のどの場所よりもすくすくの森が大好きになっていきます。

この森で、子どもたちは何を育んでいくのでしょうか。

2 とぎすまされる感性と

      美しいものを美しいと感じる心

 

                             若草幼稚園 岡林道生

 森は私たちに様々な感動を与えてくれます。目に触れるもの、耳に届いてくるもの、どこからか漂ってくる匂いや香り、肌に触れるもの、子どもたちは全身で自然の息吹を感じながら感性を磨いていきます。

(3)森の香り、森の匂い

森には香りや匂いもいっぱいあります。子どもたちは、その香りや匂いを敏感に感じ取り、「梅の花の匂いがする。」と言ったり、センダンの木の下で「いい香りが上から下りてきた。」と言って紫の花を頭上に見つけて教えてくれます。

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草や葉っぱの匂い、すっぱい梅の匂い、柚木の実の匂い、びわや桃、蜂の群がる花の甘い匂いにも色々ある、と言い出します。キンモクセイの花もヒイラギの花も、その花の放つ芳香で見つけます。また匂いでカメムシの仲間はすぐわかるようになります。 

森は臭覚を鍛えてくれます。いい匂い、嫌な匂い、美味しそうな匂い、腐った匂い、さまざまな匂いをかぎ分けることは、命を守る力になっていくでしょう。 

(4)触れて感じること

森での遊びは、自らが働きかけないと楽しい所ではありません。足を使い手を使って、そこにあるものに働きかけてこそ楽しい所になるのです。 

だから子どもたちはよく動き、色々なものを手に取ります。固い強い、柔らかい、ふんわり気持ちがいい、ぐにゃりとして、ぬるぬるとして気持ちが悪い、トゲがあって触ると痛い、摘んで引っ張ると血が出て痛い、木の幹だけとってみてもゴツゴツ、ザラザラ、ツルツル、スベスベ、色々です。

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興味や関心を持って、ちょっと触ってみようと思えば、森には何でもあって、どんな感覚でも味わえます。先生や友だちの刺激を受けて、子どもたちは色々なものに触れて遊びます。 

季節によって、感触の違うものもたくさんあります。夏の水は気持ちよく冬は冷たい、太陽は夏暑く、冬は暖かく気持ちいい、風も夏は涼しいけれど冬の木枯らしは冷たくて寒い、と様々です。 

夏は、木陰を探して遊び、水遊びをし、冬は陽だまりの中で身体を良く動かして遊びます。自分たちで、季節に応じて心地よい場所を見つけ、遊びます。

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子どもたちは、森の中であらゆる感覚器官を駆使して遊びながら感性を磨いていくように思われます。 

磨かれていく感性とは、子どもたちの全身にアンテナが張り巡らされていくことを言うのでしょう。 

あるものに着目し、そこで展開されている出来事を敏感にキャッチして、そこで感じたことを表情に出し、身振りに出し、言葉にするようになるのです。 

そしてそれを先生や友だちに伝え合い、喜びを共有していきます。その経験は、生命あるものを慈しみ大切にする心を育んでいきます。 

また森は、季節の変化が生む様々な出来事を通して、子どもたちに美しいものを美しいと感じる心を育みます。森は子どもたちの感性を豊かにする宝庫なのです。

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次回は引き続き、森が育むものとして、子どもの知的好奇心から述べていきたいと思います。 

(文中の画像は、若草幼稚園より提供していただいたものを中心に、編集者が選んで挿入したものです)  

〔『保育の実践と研究』(第15巻第2号)より転載〕 

 

第1回の連載ほか、

かしこくて、たくましい子どもに育てる」コーナーを作成しました。  

 

 

HN:ちるどれん

 

かしこくて、たくましい子どもに育てる(高知市・若草幼稚園の実践)

 

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