みちのくレースのおたのしみ

岩手競馬にまつわるあれこれ。とか。

マイクロチップ

2005年11月30日 | 岩手競馬
 本題の前に、先週月曜日に落馬負傷した坂口騎手の事。鎖骨骨折ということです。おそらく今シーズンは騎乗せず、治療に専念する事になるでしょう。
彼らは鉄人ですので、あっという間に治って乗り始める可能性はなきにしもあらずですが・・・。



 今回は岩手競馬を離れてちょっと変わったネタを。

 皆さん、馬の身体に埋め込む「マイクロチップ」というものを聞いた事がありますか。鉛筆の芯の先くらいの小さなもの(写真参照。アクリルの中に入っている小さなものがそれです)ですが、この中にチップ固有の、最大16桁のID番号が記録されていまして、この番号をもって個体識別をおこなう、というものです。

 現在の日本では、馬の個体識別は毛色・白斑(顔の流星模様や脚の白い部分)・旋毛(つむじですね)などを合わせて利用して行われています。
 競馬場ではレースの前に必ずこれをチェックし、ちゃんとその馬で間違いないかを確認していますが、気性が荒くて人に触らせないような馬の特徴確認は、特にレース前となると大変で、危険を伴います(引き手を押さえて止めるとガンガン後ろ蹴りする馬とか、めんこの下を見ようとすると噛みつこうとする馬とか・・・)。
 また、世の中にはよく似た馬・特徴のほとんどない馬がいるものでして、ごく稀にではありますが馬の取り違えが起きる要因になっています。
 
 マイクロチップの導入は、こうしたリスクを軽減するとともに、より簡便で確実な個体識別を目指して行われるものです。
 


 日本ではこのマイクロチップを、2007年生まれの産駒から義務化しようと生産牧場に向けて説明をしている段階ですが、海外の一部国(イギリス・アイルランド・韓国・南アなど)では1999年からすでに導入されています。つまり、アイルランドやイギリスから輸入された馬にはすでにチップが入っているわけなんですね。

 ある牧場にローランペピアットという元競走馬がいまして、岩手でも一度だけですが走った事のある馬なんですが、彼女は2001年のイギリス生まれ。ということはチップが埋め込まれているはず。読み取り機を首にかざすと・・・。出ました出ました!15桁の番号。

 マイクロチップのID番号を知るためには専用の読み取り機を使用します。手のひらサイズの器械なんですが、それを馬の首の、チップが埋め込まれたあたり(首というかキ甲の少し上あたり。埋め込む場所はきちんと決められているそうです)にかざすと、読み取り機にID番号が表示されるというわけです。

 そして、チップ導入国からの輸入馬については、すでに血統証明書にID番号も記載されています。ローランペピアット号の証明書にもID番号が書いてありました。もちろん、読み取り機に出た数字と同じです。



 海外で使用されているマイクロチップは牛や豚などの家畜と共通の、ID番号だけ持つものですが、日本で導入使用としているチップではそれだけでなく、体温を測定する機能も持つそうです。読み取り機をかざせばすぐ体温が分かるわけで、牧場や厩舎での体調管理に役立つとも期待されています。