さいえんす徒然草

つれづれなるまゝに、日ぐらしキーボードに向かひて

クジラ会議

2006-06-19 21:23:41 | 生態学・環境
 国際捕鯨委員会(IWC)の総会において商業捕鯨の再開を支持する宣言の採択に関して、賛成派(34票)が1982年の捕獲一時禁止(モラトリアム)以来初めて反対派(33票)を上回りました。この採択自体にはなんら拘束力は無く一時禁止撤回には4分の3以上の賛成が必要ですが、捕鯨擁護国からは今回の採択を「画期的」と捕らえる見方が広まっているようです。

 賛成国は主として日本、ノルウェイ、アイスランド、反対国としてはイギリス、アメリカ、ブラジルなどです。ブラジルが捕鯨よりも観光資源としてのホエールウォッチングを重要視してるという話は少し新鮮でした。

 IWCのモラトリアム自体はそもそも”資源としてのクジラ”を枯渇から保護するという目的だったようですが、商業捕鯨をめぐる対立の背景にあるのは文化や思想など様々な要素が複雑に絡み合っているようです。特に欧米系のメディアを覗いてみると、今回の採択に関して単に一賛成国に過ぎない筈の日本の「勝利」とする論調が目立つあたり、捕鯨問題をめぐる論争が国家間の政治的な駆け引きを象徴している印象が拭えません。はたまた日本がその様に海外の目に写っているということでしょうか(そもそもなぜ今日決してポピュラーとはいえない鯨肉に関して日本がここまでこだわるのか、日本人の私にも分かり難い部分があります)。

 そうした問題は、商業捕鯨が果たして自然環境保護や経済発展という観点から害なのかそうではないのかという客観的な議論を見えにくくしているように感じます。最終的にこの議論に決着を付けるのは政治でも文化でも感情でも宗教でもなく、科学でなくてはならない筈なのですが。

参考:
 Japan gains key whaling victory(BBC)
捕鯨問題(Wikipedia)