さいえんす徒然草

つれづれなるまゝに、日ぐらしキーボードに向かひて

市場で売られていた新種のげっ歯類

2006-06-15 20:51:57 | 生態学・環境
 ラオスイワネズミ(Laonastes aenigmamus)は今から十年前にラオスの食料品の市場で発見されました。この動物は現地では "Kha-Nyou" という名前で知られていたようですが、その後学際的に新種であることが分かり2005年に記載されました。
 このラオスイワネズミは発見当初、既存のげっ歯類のグループと比較してアジアに見られるものよりもアフリカや南米のものに近いとされましたが、カーネギー自然史博物館の Mary R. Dawson らによってそれまで化石としてしか見つかっていなかった亜科 Diatomyidae の生き残りという説が提唱されました。余談ですが、こうした一度絶滅したとされていたとされていて、その後生きて発見された生物を 新約聖書のエピソードに引っ掛けて Lazarus taxon というらしいです。

 ラオスイワネズミの標本は今まで、市場で売られている死体やフクロウのペレット(彼らは食物の消化できない部分をペレットとして吐き出すらしいです)に含まれている骨などで、生きている姿が科学者によって目撃されることはなかったようです。
 元フロリダ州立大学職員の David Redfield 率いる調査チームは先月、ついにこのラオスイワネズミの生きた標本を捕らえることに成功しました。
 リンク先の写真と映像を見てもらうと分かりますが非常に愛くるしい動物です。彼らは木に上るように適応してはおらず、後ろ足をガニ股に広げながらアヒルのような歩き方をしますが、これは岩を登るときに足場を探しながら動くように適応しているのではないかということです。

参考:
'Fossil' rock rat pictured alive(BBC
New pictures of 'living fossil' (BBC)
Market fare is major rodent find (BBC)
Laotian rock rat (Wikipedia)
"Living Fossil" captured live on video (Florida State University)