さいえんす徒然草

つれづれなるまゝに、日ぐらしキーボードに向かひて

馬陸

2006-06-08 19:44:01 | 生態学・環境
 ヤスデを意味する英語は、千という意味のmilliと脚を表すpedeを繋げてmillipedeといいます。ちなみにムカデは百本の脚という意味でcentipede。実際、脚が千本もあるようなものは見つかっていませんが最もそれに近いとされているのがカリフォルニアで発見された Illacme plenipes という種で、1926年に記載されました。当時の記録によると脚の数はなんと750本。  ところがそれ以降の80年間、研究者がこのI. plenipes の再捕獲に成功することはありませんでした。

  東カルフォルニア大学の Paul Marek と彼の兄弟は今回80年振りにこの種の再捕獲に成功しました。場所の詳細は当地の生態系保護の観点から明かされていないようですが、カリフォルニア州San Benito の生物多様性のホットスポットととして知られていたオーク林のようです。

  今回捕獲されたのは4匹のオスと3匹のメス、それと5匹の未成熟個体です。メスの個体の方がオスよりも大きく約33mmの体長に170-171個の体節が存在していました。Marek らが苦心の末に脚の数を数え上げたところ、662から666本と記録されていた750本には届かなかったようです(倍脚類であるヤスデは一節に脚が2対4本)。しかしながら、この I. plenipes が属している siphonorhinid という仲間は性成熟後も脱皮を繰り返す事が知られており、まだ体節の数が増える可能性はあるということです。

 参考:
Leggy creepy crawlies resurface in California (CNN)
Biodiversity hotspots: Rediscovery of the world's leggiest animal (Nature)