性犯罪対策を強化へ 政府、再犯防止へGPS装着義務化を検討 幼児期からの教育も
政府は、幼児期から大学生までの性暴力防止教育の実施や、性犯罪の有罪確定者への全地球測位システム(GPS)装置の装着義務づけの検討などを盛り込んだ今後3年間の性犯罪、性暴力対策を強化する案をまとめた。近く関係府省会議で正式決定し、7月に政府が取りまとめる予定の経済財政運営の指針(骨太の方針)に反映させる。
性暴力防止教育は「生命の安全教育」と題し、被害者や加害者にならないために「相手を尊重すること」の重要性などを教える。新たに教材を作成し、性暴力から自分を守り、加害者にならないための教育を発達段階に応じて取り入れる。
具体的には、幼児期や小学校低学年では、水着で隠れる部分などをみだりに他人に見せたり触らせたりしない「プライベートゾーン」の重要性を指導。高校・大学では被害相談窓口の周知や、女子高生らに男性客の接待などをさせる「JKビジネス」問題を取り扱うことなどを想定している。
再犯防止のためのGPS装置の装着は、海外での実態調査を通じ、義務化を含めた本格的な検討に着手する。このほか、わいせつ行為をした教員を原則、懲戒免職にすることや、被害者の治療や法的手続き支援などを担う全国の「ワンストップ支援センター」の体制強化なども盛り込んだ。
性犯罪を巡っては「暴行・脅迫」などの厳格な構成要件を撤廃すべきだとする声も強い。2017年成立の改正刑法の付則では、3年後の今年7月をめどに必要な見直しを行うよう定めており、政府は刑法改正の検討も加速させる。
昨年3月、性犯罪事件の無罪判決が相次いだことを受けて、花を手に集まり抗議する「フラワーデモ」が全国各地に拡散。政府は今年4月に橋本聖子・男女共同参画担当相を議長とする関係府省会議を立ち上げ、強化策を検討していた。