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「子供の成功には、親も学校もあまり関係ありません」 | 「何冊本を読み聞かせても読解力に影響は出ない

2024年07月14日 10時03分25秒 | 教育のこと



行動遺伝学者ロバート・プロミン「子供の成功には、親も学校もあまり関係ありません」 | 「何冊本を読み聞かせても読解力に影響は出ない」

>私たちは自分で自分の遺伝的資質に合わせている

 | クーリエ・ジャポン (courrier.jp) 

行動遺伝学者ロバート・プロミン「子供の成功には、親も学校もあまり関係ありません」



2023/04/02(日) 21:38:


「何冊本を読み聞かせても読解力に影響は出ない」
行動遺伝学者ロバート・プロミン「子供の成功には、親も学校もあまり関係ありません」

ロバート・プロミン 行動遺伝学者。英国キングス・カレッジ・ロンドン教授。著書に『ブループリント』(未邦訳)、共著に『遺伝子を生かす教育:行動遺伝学がもたらす教育の革新』(新曜社)など 

「親の皆さん、罪悪感を持つのはやめ、子供が自分の道を見つけるのを応援しましょう。学校での教育が学業成績に及ぼす影響は微弱なので、法外な値段を払わなければならないような学校に子供を通わせる必要はありません」

 行動遺伝学の権威、ロバート・プロミンは迷える親たちにそう呼びかける。
 フランスの週刊誌「レクスプレス」に掲載された彼のロングインタビューは、私たちの「教育」や「家庭環境」に対する先入観を覆すものだった。



ロバート・プロミンが語る「遺伝」「環境」「教育」
この記事は1回目/全2回
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75歳の米国人、ロバート・プロミンは世界でもっとも著名な心理学者の一人だ。英国のキングス・カレッジ・ロンドンの教授であり、専門は行動遺伝学。この40年、遺伝が私たちの行動に及ぼす影響を研究し続けてきた。2018年には一般読者向けの著作『ブループリント』(未邦訳)を上梓し、行動遺伝学の驚くべき研究成果を紹介した。

プロミンは双生児や養子の研究で特に知られる。その研究により、遺伝率というものが定量化できるようになったからだ。遺伝率とは、ある集団内の個人の形質の差を、遺伝がどれくらいの割合で説明できるかという物差しだ。

「目の色」(95%)や「身長」(80%)の遺伝率が高いと言われても意外に思う人はいないだろう。だが、行動遺伝学の発展により、自閉症(70%)や統合失調症(50%)といった複雑な障がいの遺伝率がかなり高いだけでなく、学業成績(60%)や一般知性(50%)の遺伝率も高いことがわかっているのだ。

「氏か育ちか」、「生得論か、それとも経験論か」──議論が延々と繰り広げられてきたこの難問にプロミンが示したのは、「生得的なもの、つまり遺伝“資本”が個人の資質の半分以上を決めることが多い」という事実だ。

私たちは自分で自分の遺伝的資質に合わせている

──DNAによって私たちの性格が形作られていることに関心を持ったのはなぜですか。

人生を振り返ってみたとき、分岐点のような瞬間があったと考える人は多いですよね。私はシカゴの中心街で育ちました。大学がどんなところなのか知る人は、家族にはいませんでした。大学に進学すれば奨学金がもらえると進路指導の担当者に教えてもらい、これは良い話だと考えてテキサス大学に出願したんです。

そのときは、この大学が行動遺伝学を必修科目とする世界唯一の大学だとは知りもしませんでした。ですが、「生涯を通じて行動遺伝学に取り組みたい」と思うようになるまで時間はさほどかかりませんでした。

クラスには30名ほどの学生がいましたが、行動遺伝学を面白がっていたのは私だけでした。おそらくそれは私の性格によるものでしょう。私は主流に歯向かうのが好きです。心理学にとって、遺伝は重要だと私は考えていたのに、当時、心理学の分野では誰も遺伝について語っていませんでした。また、行動遺伝学を研究する人はタフでなければなりませんでした。行動遺伝学を研究していると白眼視されるような時代でしたからね。






私自身の経歴が、遺伝学の面白い部分の一つを示している気がします。環境要因というものに対して新しい見方ができるようになりますからね。私たちがくだす選択がそれぞれ異なるのは、遺伝子の違いという部分もありますが、いわゆる「非共有環境」の違いによるところもあります。

非共有環境とは、同じ家族に生まれた子供が共有していない環境のことです。つまり、仲間関係や病気、事故、人生における逆境といったことです。この非共有環境は、個人の特性が関係しているときもありますが、たまたまそうなったという場合もあります。

──遺伝学の研究者は白眼視されていたとのことですが、いまはどうでしょうか。

昔に比べたら、はるかに受け入れられています。いま遺伝学に対して否定的な見方をするのは、社会学者や教育の専門家など社会科学系がほとんどです。主要科学誌の掲載論文や研究費の振り分けなどを見れば、遺伝学がいまもっとも革新的な科学の分野の一つになっていることがわかるはずです。

一般の人に関して言えば、過去にはネガティブな反応をされることもあったのですが、いまではそれがなくなりました。研究者としては、データの蓄積が最終的にはイデオロギーに勝つことを願っています。





遺伝を徹底拒否する人は、たいてい子供がいないということにも気づきました。子供が一人のときは、まだ環境要因でその子のことを説明できる部分もありますが、子供が二人になると、家庭環境が同じでも、子供たちが非常に異なることが見えてきますからね。ノルウェーの作家カール・オーヴェ・クナウスゴールなどは、自分の三人の子供が、生後間もない頃から全然似ていないことを活写しています。

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──この数十年で多数の論文を発表されていますが、ご自身のキャリアで最大の発見と言えるものは何ですか。

「量的遺伝学」です。双生児や養子の研究を含むこの量的遺伝学研究で、遺伝の影響と環境の影響が見分けられるようになりました。

キャリアの最初の10年は、何かを観察すれば、そこに遺伝の影響を見出せました。その頃は、そんな研究でも衝撃的だとされていました。遺伝の影響を過小評価している時代だったからです。その後、環境と言われているものも、ある程度、遺伝の影響が関係していることを突き止めました。

たとえば親から受けた教育、人生で起きるさまざまな出来事、ストレスなどのことですが、私たちはこういったものに受動的に影響を受けているのではありません。私たちはこういった環境要因と相互作用しており、その相互作用の仕方の一部は私たちの遺伝的資質によるところがあるのです。






多くの人が意外だと感じる、面白い発見もしました。それは、遺伝の影響が年をとるにつれて大きくなるということです。世の多くの人は、年をとるにつれて遺伝の力は弱まり、環境要因の影響力が強まると考えているようですが、実際はその逆です。

たとえば学習能力の遺伝率は、幼児期が20%で児童期が40%、成人すると60%ほどと推定されていますが、老年期になると遺伝率が80%という研究も一部で出てきています。まるで最初は小さな違いだったのに、その差が一生を通じて雪だるまのように膨れ上がっていくかのようなのです。

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(以下略、続きはソースでご確認ください)





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