大学生調査に見る「教員人気上げる」現実的な方法 なぜ教育実習後「教員になりたくなくなる」のか(東洋経済education×ICT) - Yahoo!ニュース
大学生調査に見る「教員人気上げる」現実的な方法 なぜ教育実習後「教員になりたくなくなる」のか
2/25(土) 8:02配信
228コメント228件
>教員志望の意思が強い学生の多くは、自身の小中高生のときの経験が影響している。一方で、教育実習で幻滅する人や「あー、やっぱり学校で働くのは大変だな」と実感して、教職を目指さなくなる学生もかなりいる。
写真:東洋経済education × ICT
教員のなり手不足が、いよいよ深刻になっている。少子化の一方で特別支援学級の増加などで教員需要が高まる中、教職志望者の減少だけでなく、講師登録者も減っており、多くの小中学校で欠員状態が発生する教員不足が起きている。
「先生になろう」――こんな声かけとともに教員採用試験の受験者を増やそうと試行錯誤する自治体の動きに対し「はたして効果的なのか」と厳しい目を向ける教育研究家 妹尾昌俊氏に、背後関係を分析してもらった。
このところ、ほとんどの都道府県、政令市では、教員採用試験の受験者を増やそうと、躍起になっている。地方の教育委員会では、主要都市で採用試験を実施したり、説明会を開いたりすることは珍しくない。YouTubeなどで先生の仕事の魅力についてPRしている自治体も多いし(例えば「先生になろう」で検索してみてほしい)、中高生やその保護者向けにセミナーを開催しているところもある。 東京都では、新年度から大学3年生などに前倒しで1次選考試験の一部を受けられるようにする。これに危機感を覚えてか、相模原市なども同様の動きを見せている。国では、与野党が「給特法」のあり方を含めて教員の処遇などを議論しているし、文部科学省も有識者会議で検討している。 あの手、この手のこうした動きは、はたして効果的なのだろうか。
<>
教育実習後、教員になりたくなくなる
1についての関連データは前述した。2~5については、どうか。浜銀総研調査によると、教員以外に就職予定の大学4年生のうち、約2~3割が座学での教職科目の履修後に志望度が低くなった、と回答している。また、同じく教員にならない予定の学生のうち、約3割が教育実習後に教員志望度が下がったと回答している。いずれの設問も、卒業後教員になる学生とは対照的な結果だ。 つまり、大学での授業や教育実習が教員志望者を減らしている可能性が高い。
もちろん、どんな授業でも、すべての学生の目を輝かせるようなことは難しいだろう。また実際に、実習で子どもたちと接することで、自身の適性や向き、不向きを考えた学生もいたことだろう。なので、教員志望者がある程度減ることは自然なことといえる。 だが、教員に向いている学生であっても、履修するカリキュラムが多すぎたり、つまらなかったりして、免許取得に至らないケースも相当数あることが推測できる。また、現場を経験して、過酷な勤務実態や支援の薄さなどを目の当たりにすることで、諦めてしまう(見切りをつける)ケースもかなりあるのではないか。
ワーク・ライフ・バランス無視が嫌、耐えられるか不安という声が多い
愛知県総合教育センターの調査では、教員になりたいと思っていたが取りやめた学生に、その理由を尋ねている。
男女別の結果が次のグラフだ。
「休日出勤や長時間労働のイメージ」との回答が男女とも多く、とくに女性では約7割が「とても当てはまる」「やや当てはまる」と回答している。
「職務に対して待遇(給与等)が十分でない」という回答も男女とも多く、給特法によって残業代が出ていないにもかかわらず、長時間労働が常態化していることも反映しているのであろう。
「教員免許状取得のための単位数が多い」「教育実習が大変」という回答も相当数あり、前述のとおり、カリキュラムオーバーロード(オーバーロード=過重積載という意味で、負担が大きいこと)となっている可能性を示唆する。教員免許取得に至らない前述の2のケースもかなりあることだろう。
「内定の時期が遅い」は、ほかの項目と比べると少ないが、2割前後の学生はそう答えている。 また、教員になるつもりの学生(希望学生)と、どうするか迷っている学生(不確定学生)に対して、
教職を志すに当たって不安に感じていることも聞いている
「授業がきちんとできるか」
「保護者とどのようにして向き合っていけばよいか」といった不安も大きいが、「仕事が忙しすぎないか」という回答も8割以上に上る。
<>
第一に、教員人気を上げたい、なり手を増やしたいのであれば、今の学校現場で働いている先生たちを大切にする施策を打つべきである。 というのも、教員志望の意思が強い学生の多くは、自身の小中高生のときの経験が影響している。一方で、教育実習で幻滅する人や「あー、やっぱり学校で働くのは大変だな」と実感して、教職を目指さなくなる学生もかなりいる。社会人からの転職を考えても、似たことがいえるだろう。
以下はリンクで