クルマの後退時に必ず注意すべきこととは
大型トラックやバスなどは、ほとんどの車両に装着されているバックモニターですが、アメリカでは2018年5月以降に販売される乗用車には装着が義務化されており、日本でも2016年から国土交通省が義務化の検討を始めました。
8/17/2020
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いまや多くの新車に装着される装備ですが、現在でも後退事故は起き続けています。どのようなことが原因として考えられるのでしょうか。
後退時にバックモニターへ依存する危険性とは
交通事故総合分析センター(ITARDA)によると、2011年以降、乗用車の新車出荷台数に対するバックモニター装着率は年々上昇し、2016年には約4割のクルマが装着しているといいます。
一見、バックモニター装着率が上がり、安全性が高まっているように思えますが、事故が減らない原因として挙げられるがバックモニターへの依存です。映し出された映像に頼りすぎることで、バックモニターの死角付近の確認が疎かになっているのです。
JAFは、YouTube公式アカウントで、さまざまな交通場面から危険を予測するトレーニング「実写版 危険予知トレーニング」の動画を公開しています。 そのひとつに、駐車スペースからバックモニターだけを確認しながらバックで発進する乗用車が、クルマの左側を通り抜けようとする子どもに気づかず危うく事故になる、という再現動画があります。
そこで、JAF東京支部事業課交通環境係の高木孝氏に、バックモニターの注意点について話を聞きました。 「バックモニターは、後方の確認がしやすくなるという点でドライバーの負担を軽減してくれます。
モニターが搭載されているのであれば、積極的に活用し、事故の回避に役立てるべきですが、気をつけたいのは依存しすぎて、つい危険な行動をとってしまうことです。
急に後退を開始したり安全確認を省略したりすると、せっかくの安全面でのメリットがゼロになってしまいます」
教習所では後退時の安全確認として、バックミラーやドアミラー、さらには体をひねって目視で確認する方法を教えています。
「クルマの運転席に座った状態で見えない部分が死角です。バックモニターは、運転席から見えにくいクルマの後方を確認できる便利な装備ですが、モニターにはクルマの側方や前方は映りません。また、後方がすべてモニターに映るわけでもありません。
とくにミニバンやSUVのような車体の大きいクルマは死角も大きく、背の低い子どもは見落としがちになります。駐車場では子どもの存在に十分注意して、バックする際はバックモニターだけでなく、ミラーや目視でも確認するようにしてください」(前出・JAF高木氏)
将来のミラーレス時代の安全性もドライバー次第か
今後、電子式ミラーといえるカメラモニタリングシステム(CMS)が主流になり、従来のルームミラーやドアミラーもいらないミラーレス車の時代が到来するといわれています。
「ミラーレス車における視認可能な範囲の広さは、ともすればドライバーを油断させ、知らず知らずのうちに視点を特定の方向に集中させてしまうことがあります。
バック時は、必要に応じて前後左右にも注意を向ける必要があることを忘れないでください。また、ミラーレス車であっても、乗車の前に異変がないかどうか、クルマの周囲を確認することも大切です」(前出・JAF高木氏)
ミラーの機能をデジタル化したクルマも増加傾向にある(写真:日産「キックス」のインテリジェントルームミラー)
※ ※ ※ 前出のJAFの高木氏は、いくらクルマが進化しても、基本を忘れないことが大切といいます。一番危険なのは、慣れることで注意力が散漫になることでの安全確認を怠ることです。
クルマは常に進化します、便利にもなりますが、それを使うドライバーが安全への意識、基本を忘れてしまえば、そうした技術は何も意味もありません。
自宅の駐車場や、保育園や幼稚園の送り迎えで我が子を事故に巻き込んでしまうという痛ましいニュースを聞くことがあります。
急いでいるとき、自宅の敷地内でつい安心してしまっているときこそ、基本を忘れず安全確認をおこないましょう。