信じられない寝心地」「北京ダックが出る」…バブル内の選手村、体温37・3度以上で隔離
【北京=読売取材団】熱戦が始まった北京五輪は、新型コロナウイルス対策のため、選手と外部との接触を断つ「バブル方式」がとられている。外出できるのは原則、競技場だけで、ほかの時間は選手村で過ごす。それぞれの言葉やSNSへの投稿からは、リラックスする姿や、感染拡大への緊迫感が伝わってくる。
【写真】選手村で記念撮影する日本選手団
北京ダック
フェンスで囲まれた選手村(奥)。一般住民は近づくことが出来ない(1月27日)=片岡航希撮影
「食事はかなりおいしくて、3食いっぱい食べています」。女子モーグルの川村あんり選手(17)は満足そうだった。
選手村に部外者は出入りできないが、各国・地域のアスリートがSNSに画像や動画を投稿している。食堂では防護服姿のスタッフが対応。
手指消毒し、使い捨ての手袋をはめて中に進むと、中華料理やパスタなど多種多彩な料理や、アイス、飲み物が並ぶ。
メニューは600種類超。
3大会連続出場のスピードスケート女子、高木菜那選手(29)は「北京ダックが出る。マクドナルドがないのは悲しいけれど」と話した。
寝心地
選手には個室が割り当てられている。アイスホッケー女子の大沢ちほ主将(29)は「(前回大会の)平昌(ピョンチャン)より部屋が広く、過ごしやすい」と語る。
寝床はリモコンで角度を変えられる。中国メディアによると、就寝時にいびきをかくと、自動で頭の角度を調整してくれる「スマートベッド」だ。
リュージュ女子のサマー・ブリチャー選手(27)(米国)は、寝転がってくつろぐ動画をSNSで配信し、寝心地を「信じられない」と絶賛した。
友達できた
選手村は北京市中心部、同市郊外の「延慶」、河北省の「張家口」の3地区に設けられている。
ボブスレー男子のシャンウェーン・ステファンス選手(31)(ジャマイカ)は、選手村の建物が写った写真をインスタグラムに掲載した。周辺には各国の国旗が掲げられている。
大会組織委員会は全ての選手村にジムを整備し、中国の伝統医療「中医」を受けられるスペースも設けた。中国では通常使えないツイッターやインスタグラムも、選手村や競技会場では利用できる。
徐々にここで友達を作っている」。フリースタイルスキー男子ハーフパイプのブレンダン・ニュービー選手(25)(アイルランド)は、防護服のスタッフが並ぶ写真をSNSに投稿した。
緊張
コロナ対策は厳格だ。選手らは1日1回、PCR検査を受け、トレーニングや食事の時間を除き、医療用マスクをつけることを義務付けられている。
毎日検温し、体温が37・3度以上の場合は、検査で陰性であっても隔離され、医師の診断を受ける。
1日には、スキー競技の日本選手が陽性判定を受け、隔離された。その後、2回の検査で陰性となり、選手村に戻った。スピードスケート日本代表のコーチも陽性と判定されている。
他国の選手らの感染も相次いで明らかになっており、バイアスロン女子の蜂須賀明香選手(29)は「ピリっとした気持ちが常にある。自分もかからず、周りにも迷惑をかけないようにしたい」と気を引き締めた。