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本多平八郎忠勝(千葉県大多喜町) No.4

2009年01月02日 | 本多忠勝 本多忠朝(大多喜城)

「もはやこれまでじゃ!よくぞいままでわいに付いてきてくれたあ!ここからは大滝流の陣で敵軍を突破する。よもや生きて帰れるとおもぅな!わいらはもう死んだ身じゃあ!そのつもり突撃せい!運が良けりゃ地獄で会おうぞ!」
 生き残った隊はこの忠勝の言葉に奮い立った。大将が泣いている。泣き叫びながら、わいらの死場所を整えて下すった。こりゃもう、家康の殿のためじゃない、忠勝の大将のために派手に散って見せようぞ!という意気込みが満ち満ちていた。
「えい、えい、おう。」
 鬨の声をあげ、すでに死んだものとして突撃する本多隊。それを迎え撃つ小杉左近は思った。
「こいつはいかん。あやつら、すでに死んでいる。死人の部隊の突撃じゃ!死人と闘っても得するところは一つもない!」
と、怖気づいたか、情けをかけたのかはわからないが部隊に命じた。
「やつらすでに死に兵じゃ!死人と争うても仕方がない。たたりのないよう道を開けよ。奴らを地獄に逃れさせい!」  

 忠勝は驚いた。数十度、戦に出て傷一つ負ってはいないが、今日が自分の命の最後の日と覚悟しての突撃だったが、なぜか敵は道をあけていく。
(助かった。)
 正直、そう思った。敵方の部隊を駆け抜けるとき、敵の大将らしき人物を見つけた。
「貴殿、この部隊の大将かあ?わいらすでに覚悟をきめての突撃じゃに、何故道をあけるずら?」
「おう、本多の大将とお見受けした。あまりの決死の突撃に、この小杉左近、乱心して、槍がくりだせなんだわい。足を止めるな、止めたら正気になって打ち果たすぞ!」
「小杉殿、ご尊名、忘れはしませんぞ。」
と、忠勝は叫び、辛くも戦場を離脱した。
 浜松城に帰還した真っ赤な血に染まった忠勝を見て家康が声をかけた。
「おう、さすがの平八も信玄坊主との激戦にはついに負傷したか!」
 が、なんとその真っ赤な血はすべて返り血で、あの激戦の中をおのれの血は一滴も流していない忠勝であった。
  

No.5に続く  *画像



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1 コメント

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なんだか (ビアズリー)
2009-01-02 21:15:00
>家康の殿のためじゃない、忠勝の大将のために派手に散って見せようぞ!という意気込みが満ち満ちていた。

いすみ鉄道の社員さんと応援する人達みたい

小杉左近さんも素敵ですよね 初めて聞く名前です。歴史苦手で
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