散日拾遺

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帰ってきます

2019-12-07 10:05:35 | 日記
2019年12月7日(土)
 まずは母、ついで父のために来てくれている郷里のヘルパーさん、仕事が終わって去り際に必ず「帰ってきますー」と挨拶していく。「そんなら、帰って来ましょうわい」と尾鰭の付くときもある。
 「帰ってきます」というこの言い回しが、方言に支えられて温かく好もしい。仕事を終えて自身の属するところへ帰っていくのだが、忘れはしない必ずまた戻ります、その時まではという心がこもっている。

 これはまた別の話で、以前にも書いたかどうか、明治生まれの祖母(母の母)は農家の主婦であったが、
 「その明日(あした)驚いたら」
 などという表現を日常的に使っていた。
 「翌朝、目が覚めたら」
 という意味であるが、これなどは平安朝の会話から抜け出したような風雅が漂っている。伊予弁に限らず、古語・雅語が中央で廃れて方言に残る例は数多い。各々、土地の言葉は大事にしたいものである。翻って他人の田舎訛りを嗤う者は、その一事によって自身の品性の低劣を申し分なく証明する。

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