京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

「京へのいざない」展

2014-10-21 | インポート

国立博物館内の、平成知新館へ行って来ました。

すっかり近代的な建物に圧倒されました。設計は谷口吉生氏です。

東京国立博物館・法隆寺宝物館・ニューヨーク近代美術館を手掛けた建築家です。

展示物で感動したのは、宝誌和尚立像、大阪天野山金剛寺の本尊・大日如来坐像、

脇侍の不動明王坐像が圧巻です。大日如来像は、平安貴族好みの雅やかな作風で、

不動明王像は快慶の弟子、行快銘文が発見された鎌倉時代の貴重な作例だそうです。

特に私が興味を抱いたのは、宝誌和尚立像という仏像で、

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顔の部分が左右に割れていて、中から別の顔が覗いている不思議な仏像で、

見ようによっては不気味にも感じられる、神秘的な仏像です。

中国の「梁」と変わり、武帝になり、武帝は宝誌和尚の尊顔を、

三人の絵師に命じて描かせようとしたて、絵師たちは宝誌の元へ行き、

姿を描く事を伝えると、宝誌は僧服に着替えたそうです。

三人の絵師が描画の用意を整え、三人そろって描こうとしたところ、

宝誌曰く、「私には真の姿がある、それを見て描くが良い」と行ったそうです。

そして宝誌は、親指の爪を額に当てると、額の皮の下まで切り裂き、

その皮を左右に引き広げると、割かれた皮の下からもうひとつの顔が現れ、

正面から見ていた絵師には、金色に輝く菩薩の顔に見え、

もう一人の絵師には十一面観音に見え、もう一人には聖観音に見えたと云われています。

そして、各自が見えた所を写し取り、帝に献上したそうです。

帝はたいそう驚き、別の使者を派遣して様子を伺ったが、和尚は姿を隠してしまいました。

宝誌は常人ではなかったと伝えられ、その時の様子を元に作られた立像だそうです。

この仏像の真意は、「人の内面は、それぞれが神仏である」という意味も含まれています。

もうひとつ、感動したのは、長谷川等伯の「枯木猿猴図」です。

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墨一色で、猿の被毛のフワフワ感が表現されていて、線と面の濃淡によって、

遠近感が出て、構図も大胆で流れがあり、それが迫力につながっていると感じました。

ポイントになる物に対しては細やかな細工を施し、立体的に見えました。

他にも、まだまだ沢山の素晴らしい美術品が展示されておりました。

芸術の秋、皆様も是非、京都国立博物館「京へのいざない」展へどうぞ。

「京へのいざない」展HP → http://www.kyohaku.go.jp/jp/project/miyako.html

<マンマ・ミーア>

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