京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

こっちを向いてよ……

2011-01-29 | インポート

 このごろはやりの女の子・・・・・ではない。

 

 

    “此比都ニハヤルモノ

       夜討強盗謀綸旨

     召人早馬虚騒動

       生頸還俗自由出家(後略)”

 

 

 これは『二条河原落書』といわれるもの。

 日本史の教科書やら、史料集やらでは御馴染み。

 時代は南北朝時代、鎌倉幕府が倒れ、室町幕府が樹立するまでの狭間。

 後醍醐天皇の進める建武の親政は、世に混乱を招いていた。

 この『二条河原落書』は、そんな混沌とした時代を揶揄した内容となっている。

 そんな皮肉とユーモアにまみれた文章が掲げられていたのが、鴨川の二条河原。

 この二条河原は、当館から目と鼻の先にある。

 もっとも、今となっては河原というものはなく、河川敷になってしまっている。

 風景に面影の一つも残っていないだろうが、その時代を想像するのは楽しい。

 その時代の風景を思い起こしたり、落書を眺める人に思いを馳せたり。

 数々の歴史の積み重ねの上に、今があるのだと感じる。

 そんな瞬間こそ、京都観光の醍醐味なのかもしれない。

 

 

 

 さて、その二条河原を見下ろすように建っている建物があります。

 ホテルフジタ京都さんです。

 このホテルフジタ京都さんが本日をもって営業を終了されることになりました。

 当館とは同地域にあり、片や旅館として、片やホテルとして、ともに京都観光の拠点としてやってきました。

 先日のさくら井屋のことといい、歴史のあるものが消えていくというのは、つくづく寂しいものです。

”あいらんど”

この記事についてブログを書く
« 大文字山 | トップ | やっと発見 »
最新の画像もっと見る