京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

京復興の志 水音に聞く

2010-04-23 | インポート

偉業を達成した方々は多くは苦労を重ねておられて、未来を見つめて前進されていた方ばかり。
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琵琶湖疏水
滋賀県の大津から京都の伏見に至るまでの疏水はお金も大変であったと思いますが道具、機械類、資材、又工法など手探りの中で唯一、やる気、使命感、熱意など強い信念が天災などにもびくともしない超恒久的な建築がなされ、今日の京都に多大の幸を注いでいると感謝をしたい気持ちです。

観光的にもハイキングコースであったり、近所の方の散策コースであったりして、結構皆様にはご存じの方も多いと思います。
疏水のコースには自然に恵まれ、今も四季折々に変化のある環境に自然を愉しむ方々が大勢おられます。
史跡も沢山点在する中湖水の取り入れ口の大津閘門(こうもん)と京都市内の『蹴上』との落差は、わずかに4メートルしかなく総延長が12Kmの道のりがいかに正確かつ緻密なものであったかはこの数字でよくわかります。
皆様も一度自然環境豊かで驚きの場所が多いこの疏水にもお出かけください。
見どころ紹介

1、閘門の扉を開閉する機械。昔はすべて手動式でしていたが、当時としては、最新の技術であった。

2、第1トンネルは、2400メートル以上ある大変長いトンネル

3、『舟だまり』は、行き交うのぼり、くだりの舟の待避所

4、トンネルの壁をよく見ると、ロープが張ってある。疏水は、川底が、蒲鉾をひっくり返したような作りになっていて、舟がトンネルを行くとき、櫂が用をなさなくなる。その代わりに、舟人たちはロープをたぐって舟を上流へ引き上げた。

5、自然の川、安祥寺川と立体交差する琵琶湖疏水。大変めずらしい光景である。

6、日本初の鉄筋コンクリート製の橋がある。

7、『インクライン』である。幅ひろのレールの上を、舟を乗せた台車がケーブルカーの仕組みで動かされ、蹴上、岡崎の舟だまりに入るのである。

8、蹴上から北に流れる疏水分線は南禅寺の水路閣の上を流れる。この風景はメディアでもよくつかわれている。

9、夷川ダム。ここには発電所もある。

10、宇治川のすぐ側には、『三栖の閘門』がある。かつては、大阪から、宇治川を経由してくる船が、ここを通って京都市内に入っていた。

11、ねじりまんぽの上を流れる疏水

等々色々な見どころと合わせて自然の風が皆さんを迎えてくれます。

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<歴史的偉業>

1869(明治2)年に東京へ都が移り、産業も人口も急激に衰退していく京都にあって,第3代京都府知事の北垣国道は、京都に隣接し水量が豊かな琵琶湖に着目して、疏水を開削することによって琵琶湖と宇治川を結ぶ舟運を開き、同時に水力、灌漑、防火などに利用することによって京都の産業振興を図ろうとしました。この疏水工事の御用掛に選ばれたのが、1883(明治16)年に工部省工部大学校を卒業したばかりの田邊朔郎でした。1881年(明治14)に本格的に検討に入り、1885年(明治18)に着工、1890(明治23)年に竣工しました。
 琵琶湖疏水の建設工事は最も難関が予想された第1隧道(トンネル)から取りかかることになり、施工方法についてもトンネルの両側からの掘削の他、日本で最初の試みとしてトンネルの途中に竪坑(深さ47m)を掘削する方式も採用しています。
 このインクライン(傾斜鉄道)は日本で初めての試みで、これによって船を南禅寺の平地へ下ろすことが可能となり、舟溜から鴨川までは鴨東運河で結んでいます。
 1891(明治24)年には米国コロラド州アスペンの水力発電所を参考にした日本最初の水力発電所が蹴上に完成し、同年11月に送電を開始しています。インクラインの運転動力もこの電力を利用しています。
 水力発電は新しい産業の振興に絶大な能力を発揮し、京都市発展の一大原動力となりました。
 疏水工事は、1885(明治18)年6月に着工して以来、数々の困難を乗り越えて1890(明治23)年3月に大津から鴨川落合までが完成し、それより以南は1892(明治25)年11月に着工して、1894(明治27)年9月に完成しました。第一琵琶湖疎水の建設に携わった人員は、のべ400万人でした。
 琵琶湖疏水は、当時の日本の大規模な工事がすべて外国人技師の設計監督に委ねていた時代にあって、日本人のみによって行われた最初の近代的な大土木事業であり、明治期における日本の土木技術水準の到達点を示す近代遺産として、1996(平成8)年6月に、このインクラインをはじめ12箇所が国の史跡に指定されています。
 この疏水の水は、現在においても水道用水の他、発電、防火、工業など多目的に利用されており、京都市民の生活を支える重要な役割を担っています。

 第一琵琶湖疏水の建設に使われた資材 (京都市電気局刊「琵琶湖疏水及水力使用事業」より)
 掘削土石 12万5000立坪、築立土積 4万5000立坪、土地買上 80町6反歩、煉瓦 1450万個、木材 500万才、石材 2万6000平坪、雷管 28万発、導火線 57万尺、火薬 7000貫目、粘土 6000立坪、セメント 2万5000樽、軽便鉄道 10哩、蒸気鑵7個、石炭 550万斤  

参考文献引用 産業技術遺産探訪~琵琶湖疏水

上野でした <(^´)>