全身全霊の授業を見た・・・「点字体験学習」

昨日の授業のことです。
江東ボランティアセンターの方々にゲストティーチャーをしていただき、「点字体験」の授業と、目が見えないハンディを持つ方々のことを理解する授業を行いました。

この授業を実現した理由があります。

昨年の5月、PTA歓送迎会の席上、ある保護者の方に声をかけられ、福祉の授業について語り合いました。語り合ったその方は、バリアフリーアドバイザーの中山利恵子さんでした。中山さんは「ぜひ我が子の通う小学校で授業をしたい」という強い希望を持っていました。私自身も23歳から26歳までの4年間を肢体不自由児の養護学校教員として働いたという経験が年を経るごとに役立っているということを話しました。

その私たちの対話の結果、勤務校でもぜひとも物理的なバリアフリーだけではなく、心のバリアフリーを実現できるような授業をしましょうとビジョンが固まりました。

ところが私自身の見通しの甘さと、校内研究の都合があって、授業はなかなか実現できませんでした。

この2月、やっとのことでゲストティーチャーとしてお招きすることができたわけです。



ここで、中山さんのことを紹介します。(ネット上に公開されているものをコピーしました)

★ 中山利恵子氏のプロフィール ★

昭和43 年、江東区亀戸に生まれる。生まれた時から視覚に障害をもつ。

小学校から盲学校に学ぶ。筑波大学付属盲学校小学部卒、都立葛飾盲学校中学部卒、東京都立文京盲学校高等部普通科卒、同校保健理療科卒、ヘレンケラー学院鍼灸科卒。

平成4 年5 月、荻原整形外科医院、マッサージ師として勤務。同年11 月~平成10 年3 月、治療院ピエスを開業。

平成10 年4 月、コダック株式会社、ヘルスキーパーとして勤務。

平成12 年5 月、結婚。

平成12 年12 月、コダック株式会社を出産のため退社。

平成7 年から2 年間、江東区盲人協会で点字を教える。その後、バリアフリーアドバイザーとして、高島屋、東京ドームホテル、NEC などで、視覚障害者に対する接遇研修の講師を務める。

平成13 年から、小学校や幼稚園、地域の会合などで視覚障害者についての講演。

平成17 年から、都立大江戸高校で、平成18 年から、都立六本木高校で、東京都市民外部講師として、点字の授業を担当。

日本福祉放送のラジオパーソナリティーを務める。主な番組は、「利恵子の治療室拝見」「エンジョイ・スポーツ」、セブンデイズ日盲連、「利恵子の本と一息」など。

現在、日本点字図書館発行の録音雑誌、日点デイジーマガジン、ホームライフ、「日々のくらしに」の校正、およびパーソナリティー。

また、東京都の点字競技会で1 位。

平成16 年から、江東区身体障害者相談員。

平成21 年、江東区のユニバーサルデザインハンドブックの編集委員。

現在、江東区視覚障害者福祉協会理事。




今回、中山さんは、このように子どもたちに声をかけてから授業を始めました。

「私はいろんな学校や会社で授業をしています。今日は今年度の最後の授業になりますし、しかも大切な香取小学校での授業です。だから私は“最高の授業”をしたいと思って準備してきました。みなさんもそのつもりでしっかり授業を受けて下さい。」

(命の叫びだ!)私は中山さんが語った時にそう思いました。渾身の思いを込めての授業が今から始まるんだと。

授業内容は、1時間目に点字ボランティアの先生にミッチリ点字を教えていただき、子どもたちはたくさんの点字を打つ作業を経験しました。

2時間目に中山さんの授業を受けました。「中山さんの体験談や生活の工夫」「アイマスクをしての折り紙体験」「中山さんの
点字実技見学」という柱立てで1時間。

話していただいた中で、印象に残った言葉を記録しておきます。

「目が見えない人にとって、駅のホームは“欄干(らんかん)のない橋”と言われています。目が見えない人の中で90%は駅のホームから落ちた経験をしています。本当に怖いのです。私たちは何度も何度も『ホームドア』をつけて下さいと要望をしてきましたが、実現しませんでした。ところが、目の見える人がたくさん駅のホームに飛び込んで自殺したり、酔って落ちたりしている。それを防ぐために『ホームドア』が実現しようとしています。けっして目の見えない人のためではない。この日本の政治は弱者を守る政治には残念ながらなっていません。」

「見えない人が近くにいたら、みなさんはまず、見守ってあげて下さい。そして、どうも困っていそうだと感じたら、このように声をかけてくれると本当に嬉しいんです。『何かお手伝いすることはありますか?』 この言葉がすごく嬉しいんです。」

「生活も工夫をすればいくらでも楽しく暮らせるんです。目が見える人だって、いろいろと工夫しています。それと同じです。私は目が見えないように生まれてきて嬉しいと思っています。なぜなら、目が見えないことで他の人にはできない経験をつめていますし、そのことで、他の人よりもいろいろと考えることができる。目の見える人に分からないことが私には分かる。それを伝えることで、みんなを少し幸せにしていける。勇気づけることだってできる。だから生まれ変わっても目が見えなくていいと思っています。」


すべて「命の叫び」だと私の心に刻みました。


素晴らしい方と一緒に授業をすることができました。中山さんとはこれからも何度も何度も一緒に授業をしていくことになるでしょう。大切なつながりです。

読んでいただきありがとうございます。
できましたら応援の1クリックをお願い致します。


にほんブログ村 教育ブログ 小学校教育へにほんブログ村
コメント ( 1 ) | Trackback (  )