マインドマップとは恐ろしいものだ・・・ 【かなりの長文になります。携帯の方はご注意】

題名に意味深なことを書きました。
昨日ほどその力を思い知った日はないからです。

昨日の試合に、自分の思いを強く込めてマインドマップを描いてきた子とそうではなかった子に真っ二つに分かれたため、プラスマイナス両面の効果がはっきり表れた一日となりました。“マインドマップフェロー(研究者)”としてはこれほど有用な実践事例はないのですが、“監督”としては反省しきりでもあります。


辰巳ジャンプが今年の最大目標にしてきた東京新聞杯での都大会出場をかけた東京3支部決勝大会1日目を戦いました。16チームがABCDの4リーグに分かれて初日を行い、2日目の順位決定リーグで上位6チームだけが出場権を得る大会。辰巳ジャンプの結果は残念ながら1勝2敗でDリーグ3位となり、出場権の獲得はならず、9~12位決定戦に回ることとなりました。

しかし、この順位決定戦も12月に行われる「東京都交流大会」の出場権がかかっているので全勝しなくてはなりません。辰巳ジャンプの秋はまだまだ終わりません。


さて、昨日は本当に大事な試合であったので、当然ゲームプランのマインドマップを描いてくるように、1週間前に指示を出してありました。結果から指導者としての反省をすると、練習会場がないならないで工夫の余地があったと感じました。子ども達の自主性に任せるのではなく、平日の夜に1日でも集めて、私の指導の元、みんなでマインドマップを描けば良かったのではないかと。
この詰めの甘さが2点差にあらわれてしまいました。



まずこの2枚のマインドマップを見てください。全然ちがう雰囲気のマップですが、同じ子が描いたものです。



上は家で一人で描いてきたもの。
セントラルイメージが非常に弱いのです。このイメージから簡単に想像できるのは、マインドマップをかいてこないと井上に怒られるという「やらされ感」と、この試合の意味を心の奥から感じてはいなかったということです。きっと時間がなくて早く描いてしまおうと、チャッチャッチャッとやったことでしょう。残念ながら、これでは力を発揮することができません。
この子は1週間前までにスパイク技術がどんどん良くなり、これならば点を取れるというレベルまで行っていたのですが、今日は朝一番からボロボロでした。身につけつつあったスパイク技術をすべて失ってしまったほどに・・・。

そこで描かせたのが2枚目のマインドマップでした。2試合目が終わって、空き時間が生まれたので、
「こんな大切な試合に、これほどいいかげんなものを描いてくるとは・・・全然分かっていない。自分の試合と思っていない。書き直せ。」
と私に言われて描いたものです。

どうでしょう。別人が描いたとしか思えないくらい違いますよね。自分自身をしっかり追い込んで見つめていけば、これだけのものが出てくるのです。セントラルイメージが良くなりましたし、文字を書く筆づかいといい、字の力強さといい、1枚目とは比べようもないほど強さを感じます。本人の言葉を借りれば、「これでサーブが立ち直りました。」ということでした。



次はエースアタッカー(キャプテン)が描いてきたものです。

実は指導者として細かく見れば見るほど、ドラマ性のあるマップなのです。
これまで私に「お前は全くキャプテンシーを発揮できないのか!」と怒られ続けてきた子です。しかし、とうとう殻を破りました。赤丸をつけてあるイラストに「笑顔」のイメージが描かれています。「決めてもミスしても“笑顔”」とかかれているのです。私はこれを求めてきたのです。さらにその行動がチームメイトをも「オロオロさせない」ということにつながると気づいています。
いよいよ信頼できるエースアタッカーの誕生ですよ!

スパイクもよく決めてくれた。
スパイクのブランチには「うつしゅんかん・0.1秒・相手のコートを見る」とかいてあります。自分よりも10センチ以上背が高いブロックを相手に、本当によく打っていきました。
どんなに劣勢になっても、みんなの元気がなくなっても、エースとセッターの二人で最後の最後までバレーボールをやり抜いていました。あきらめないで点を取りにいっていました。

これこそ私が彼女に求めてきた姿だったのです!


4枚目のマインドマップは「マインドマップ大賞受賞者」であるセッターのものです。

この子がここ一番という試合を前に描くマインドマップは本当にすごいです。なんなんでしょう?この明るいセントラルイメージは。実はこのイメージに出ている子ども達の配置にも重大な意味があるんです。辰巳ジャンプ関係者にしか分からないことです。セッターとして考えに考えた深みのあるセントラルイメージなんですよ。チームの監督の立場から見たら、涙もののセントラルイメージなのです。

ブランチにもたくさんのイメージで強調をかけ、自分のパフォーマンスを最高に発揮できるようにしてあります。

この子がこういうマップを描いてきた時には、一切を任せて大丈夫です。いつもはミスが続いて、私に一番怒られている子ですが、この日セッターに何か言った記憶が私の記憶にはありません。まさに描いてあるとおりに試合をしていました。



次はレシーバー(副キャプテン)のマインドマップ。

この子はレシーバーの要として懸命に強打拾い上げてくれる子です。本人の試合後の反省を聞いてみても、「レシーブは自分でもよく頑張ってセッターに返していけた。」と答えています。
確かにマインドマップはパッと見ると、右上のレシーブのブランチだけが目につくんですね。

実はクラスの勉強を指導するときにも言っていることなのですが、「ペンの色は目立つ色と字、見やすい色と字で描くように」というポイントがあります。自分の描いたことすべてが一目で脳に刻み込まれていくようにするのがマインドマップ効果を大きく引き出すコツなのです。

それからセントラルイメージが弱いことが残念なところです。このイメージでは勝負の時に叶わないのです。もっともっと強いイメージで自分自身のことを描かなくてはなりません。
私からは、
「これ以上ないくらいに勝って喜んでいるセントラルイメージを描きなさい」
と指示が出ていたわけですから、忘れないでほしいと思いました。


次は非常に興味深い分析をしたいと思います。

このマップはイメージで描かれているところが多く、一見すると良いのではないかと思われるものなのですが、○でかこって説明を入れてあるとおり、「目標意識の分散」が見られるのです。少なくとも4分割されている目標。脳科学的視点で見ると、これではいけないのです。ど真ん中にひとまとまりのイメージで目標を描いていくことが大事なのです。その時に「文字」を使うよりも「絵」で描いて方が良いのです。絵がブランチの伸びを止めていて、自分の発想を止めてしまう事例です。

本来であれば試合の合間に描き直させたかったのですが、いかんせんチームの人数が6人。試合間もラインジャッジや得点係、記録係と役目がある。残念ながら描き直しをさせている時間はなくなりました。この子も描き直しをさせてあげられたら、最後の1試合の動き方が良く変われたと思われるだけに可愛そうなことをしました。


最後にもう一人、マップが激変した子を紹介します。



この子は1週間前の練習を都合で休んでいたので、この日の大会の重要性についてはまだまだ理解できていませんでした。しかもバレー経験が10ヶ月。まだまだ初心者の段階を脱してはいません。車の運転と同じで「若葉マーク」つき試合参加です。
家で描いてきたマインドマップが1枚目ですが、このセントラルイメージなら10秒で描けるでしょう。マインドマップの場合、それではルール違反です。7つのルールのひとつ、「時間をかけてていねいに描く」を守っていないので、パッと見ても力のないマップになっています。

そこで描き直しをさせたのが2枚目のマップ。
まず、仲間のユニホームが描かれ、みんなで頑張りたいというイメージができあがっています。
次に、自分が果たすべき役割(レシーブ)をイメージで描くことができています。特に、相手がスパイクやサーブで攻めてきた時の「イン・アウトのジャッジ」をしっかりやって、1点につなげようという意識が強く表れています。
さらに、ブランチの端々に「走る」「動く」「逃げない」という言葉が必ず出ています。

これだけ描ききれば、プレーに影響がないわけありません。

全ての試合が終わった後にベンチに帰ってきたこの子の表情からは、負けたことは悔しいけれど自分の力は精一杯出したというさわやかさが感じられました。
「自分の力を全部出し切れたと思う人?」という私の問いかけに、自信を持って手をあげていた姿が忘れられません。

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辰巳ジャンプの今年のチームは、極端に少ない練習時間の中で何とかして最大限の成果をあげたいと「メンタルトレーニング」に最先端の脳科学を取り入れてきました。「ホールブレインバレーボール」と名付けた五感をフル活用する感性バレーボール、「マインドマップを使ったゲームプラニング」、「アファメーションを使った強い目標意識」、「視野を360度に近づけるための練習」など、監督にこれほど勉強をさせてくれた子ども達はいません。
私の指導の引き出しを確実に向上させてくれた子ども達でした。

少ない人数で一生懸命頑張ってきたからこそ、12月の「東京都交流大会」には必ず出場させてあげたいと思います。

最後にアファメーションを書き残しておきます。

「辰巳ジャンプは2008年10月13日の試合で全力を出し尽くすチームである。」
「辰巳ジャンプは2008年12月の東京都交流大会に出場する。」


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