ゴウ先生も小学生の時に切手収集にはまった時期がありました。いまから30年以上前の話です。
当時流行していたのは、日本の有名な芸術作品を切手にするものでした。たとえば浮世絵などです。ドラえもんが切手になるいまとはエライ違いです。
当然子供ですから、そういうカラー切手がきれいだとは思いますが、面白くはありませんでした。これならドミニカ共和国あたりで発行されているサダハル・オーとベーブ・ルースがカップリングされた切手の方がよっぽどよいではないかと思ったものです。
それから30年以上経って、この本によって戦前・戦中の切手や消印などの歴史をホンモノの写真で見ていると、こんなユニークな切手や消印があることを知っていたら、切手収集の趣味をあきらめずにやり続けていたかも、と思わされた次第です。
この本を読むと、著者が「郵便学」なる学問を樹立した理由が分かりました。深いです、郵便の世界は(小泉さんが喜びそうですが・・・)。
本の帯に書いてあるように、昭和の初期にはホントにどの国も「プロパガンダ切手で敵国を埋め尽くせ!」という意図がありありなのです。これでホンマええんかいなと思うくらいに。
一番露骨なのは、言うまでもなく、あの国です。
たとえば、満州事変当時(1931年ごろ)中華民国政府が作って封筒に打っていたスローガンを紹介しましょう(p. 14)。
対日経済絶交
永遠不買日貨
全国同胞団結
一致武装救国
何やら現中国共産党政府も言いそうな文句ですね。それが、普通の民間人の封筒に平気に押されているのです。いまもインターネットを使ってサブリミナルに言いふらしていそうですね。
日本も頑張っていますが、やはり紳士の国です。これほど下品で露骨な消印などはありません。せいぜい、「先づ国債で御奉公」(p. 49)ぐらいです。個人的には、時節柄、乃木希典大将や東郷平八郎元帥の切手がよく使われているのには納得しました。
それより傑作なのは、日独伊三国同盟の宣伝絵葉書としてイタリア・ファシスタ党が作った絵葉書です(p. 71)。米英の軍艦をヒゲを生やした鎧武者が叩き切っている絵なのです。驚くほど正確なイラストで、リアリティがあります。不謹慎にも「ヤッチマイナ!」と国籍不明に叫びたくなるほどです(?)。
というわけで、この本を見ると、郵便の戦時史を端的に振り返ることができるだけでなく、大東亜戦争の戦前・戦中・戦後のあり方を冷静に見直すことができます。珠玉の力作だと評価すべきだと思います。ゴウ先生、類書を知りません。
というわけで、当然、ゴウ先生ランキング:A
ぜひ読んでみてください!
追記:それにしても、当時愛知県に住んでいらした加藤松江さんという方がマッカーサー元帥に宛ててシベリア抑留されている兄君の救出を訴える「陳情嘆願書」と題された葉書(p. 171)には胸が打たれました。
シベリア抑留も、そしてそこからの救出を占領軍の司令官に嘆願せねばならない状況も、どちらも絶対に二度と起こしてはならないことなのです。
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当時流行していたのは、日本の有名な芸術作品を切手にするものでした。たとえば浮世絵などです。ドラえもんが切手になるいまとはエライ違いです。
当然子供ですから、そういうカラー切手がきれいだとは思いますが、面白くはありませんでした。これならドミニカ共和国あたりで発行されているサダハル・オーとベーブ・ルースがカップリングされた切手の方がよっぽどよいではないかと思ったものです。
それから30年以上経って、この本によって戦前・戦中の切手や消印などの歴史をホンモノの写真で見ていると、こんなユニークな切手や消印があることを知っていたら、切手収集の趣味をあきらめずにやり続けていたかも、と思わされた次第です。
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この本を読むと、著者が「郵便学」なる学問を樹立した理由が分かりました。深いです、郵便の世界は(小泉さんが喜びそうですが・・・)。
本の帯に書いてあるように、昭和の初期にはホントにどの国も「プロパガンダ切手で敵国を埋め尽くせ!」という意図がありありなのです。これでホンマええんかいなと思うくらいに。
一番露骨なのは、言うまでもなく、あの国です。
たとえば、満州事変当時(1931年ごろ)中華民国政府が作って封筒に打っていたスローガンを紹介しましょう(p. 14)。
対日経済絶交
永遠不買日貨
全国同胞団結
一致武装救国
何やら現中国共産党政府も言いそうな文句ですね。それが、普通の民間人の封筒に平気に押されているのです。いまもインターネットを使ってサブリミナルに言いふらしていそうですね。
日本も頑張っていますが、やはり紳士の国です。これほど下品で露骨な消印などはありません。せいぜい、「先づ国債で御奉公」(p. 49)ぐらいです。個人的には、時節柄、乃木希典大将や東郷平八郎元帥の切手がよく使われているのには納得しました。
それより傑作なのは、日独伊三国同盟の宣伝絵葉書としてイタリア・ファシスタ党が作った絵葉書です(p. 71)。米英の軍艦をヒゲを生やした鎧武者が叩き切っている絵なのです。驚くほど正確なイラストで、リアリティがあります。不謹慎にも「ヤッチマイナ!」と国籍不明に叫びたくなるほどです(?)。
というわけで、この本を見ると、郵便の戦時史を端的に振り返ることができるだけでなく、大東亜戦争の戦前・戦中・戦後のあり方を冷静に見直すことができます。珠玉の力作だと評価すべきだと思います。ゴウ先生、類書を知りません。
というわけで、当然、ゴウ先生ランキング:A
ぜひ読んでみてください!
追記:それにしても、当時愛知県に住んでいらした加藤松江さんという方がマッカーサー元帥に宛ててシベリア抑留されている兄君の救出を訴える「陳情嘆願書」と題された葉書(p. 171)には胸が打たれました。
シベリア抑留も、そしてそこからの救出を占領軍の司令官に嘆願せねばならない状況も、どちらも絶対に二度と起こしてはならないことなのです。
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ご紹介いただいているだけでもとても興味深い内容です。さっそく購入して読んでみます。(ただ、Amazonでは少々時間かかりそうですね、、、)
ところで、本にはたくさんの切手の写真もついているのでしょうか。
自分も小学生の頃に一時期切手集めをしていたので切手がとても懐かしく、写真も楽しみにしています。最近はメールばかり、実物の切手もほとんど見ませんね。。。
ご紹介していただいていない本もあることを考えると、そのスピードに圧倒されます。自分が早く読むとほとんど頭に残りません。
速読する術を知りたいです。
切手でプロパガンダを張っていたことを知りませんでした。
注文して読みます。
それにも増して、ゴウ先生の本を読んで紹介してくださるスピードに驚きます。私も、的確に、しかも速く読書を楽しめたらどんなに幸せかと感じました。
「切手と戦争ーもうひとつの昭和戦史」をご紹介いただきましてありがとうございます。先生のように速くはできなくとも、じっくり楽しませていただきます。
そうやって収集していたにも関わらず、プロバガンダとしての意図があったということも、全く存じあげませんでした。本当にお恥ずかしい限りです。
歴史もこういった観点から見るべきだと改めて考えさせられました。ご紹介ありがとうございます。早速購入して参ります。
それにしても、自分の勉強不足、知識不足は恥ずかしい限りでございます。切手がその様に使われていたとは知りませんでした。先生にしっかりとついていき、より一層の成長を目指していきます。