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ブッシュ大統領の京都演説

2005年11月18日 10時06分13秒 | 気になる英語表現
今週、韓国でのAPEC参加の途上、アメリカのブッシュ大統領が日本を訪れ、小泉総理と京都で首脳会談を行ったことは記憶に新しいことだと思います。

そこで、今週の「気になる英語表現」は、首脳会談の後、京都会館で行われた大統領演説に題材を得ることにします。

当然といえば、当然のことではありますが、その英文の平易で分かりやすいこと!速読の教材としてももってこいですし、TOEFLやGMAT受験者の方にとってみれば、英文ライティングのお手本がここにあります。もちろん、プレゼンテーションの極意を掴みたいビジネスパーソンには、この演説を繰り返し読むことで何かが見えてくるでしょう。

とにかく、アメリカの人気テレビドラマ『ザ・ホワイトハウス(The West Wing)』で言うならば、サム・シーボーン広報部次長(ロブ・ロウ)やトビー・ジーグラー広報部長(リチャード・シフ)のようなスピーチライターが書いたプロの英文です。参考にしてもらいたいものです。

ただし、この演説、11月16日午後3時18分から47分までの29分間にわたって行われたたいへん長い英文です。ホワイトハウスの公式サイトに掲載されているスピーチ原稿によれば、語数にして、3780語、段落にして、35段落!当然、残念ながら、すべてをここで取り扱うわけにはいきません。

でも、皆さんへのお願いです。ぜひともすべての部分をお読みください。上にも示しましたように、アメリカのホワイトハウスには公式サイトがあり、そこには大統領が行ったすべての演説の原稿ならびに記者会見の速記録が掲載されています。URLを下に記しておきます。クリックしてみてください。

ホワイトハウス公式サイト

京都演説:President Discusses Freedom and Democracy in Kyoto, Japan

そこで今回は、英語の勉強としてもポイントの多い、北朝鮮に関して述べている一つの段落に焦点をあてることにしました。

語数にして87語。難しい単語はほどんどありません。とはいえ、侮るわけにはいきません。30秒で目を通し、3分以内に辞書なしで正確に訳せたら、TOEFLのセクションⅢで満点が取れる可能性大です。いつも通り、太字に注意しながら、どうぞ。

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The United States is also concerned with the fate of freedom in Northeast Asia, where great powers have collided in the past. The Korean Peninsula is still caught in the past. An armistice -- a truce -- freezes the battle lines from a war that has never really come to an end. The pursuit of nuclear weapons threatens to destabilize the region. Satellite maps of North Korea show prison camps the size of whole cities, and a country that at night is clothed almost in complete darkness.

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いかがでしょうか。それでは単語・フレーズの解説です。

be concerned with concernという単語は、他動詞と名詞の働きをもつ非常に重要な単語です。このように受動態で使われる場合も多いですが、能動態でももちろん使われます。しっかり辞書の当該箇所を読み込んでください。

さて、熟語の意味は、「…に関与する、関係する」となります。ただし、be concerned aboutと後に来る前置詞が変わると「…を心配する」という具合に、意味が変わります。あわせて覚えてください。

能動態では次のように使われます。

This book concerns the history of North Korea.
 (この本は北朝鮮の歴史に関するものです。)

あるいは、手紙や推薦状などで不特定のあて名として、

To whom it may concern:
 (関係者各位)

つまり、“Dear President George W. Bush:”と手紙の冒頭に置くべきところで、相手の名前が分からない時に使うのです。覚えておくと便利なことは言うまでもありません。いますぐ脳味噌にストックしてしまいましょう。

そして、名詞。「関係」、「関心事」はよしとして、最近よく使われるのが「会社、事業体」という意味です。「存続している会社」という意味でa going concernというのを見たことがある方もいらっしゃるはずです。company、firmの同義語として覚えておく時代になりました。

fate  「運命、宿命」。  

great powers  「大国」。powerは、「力」という意味から「権力」という意味が生まれ、そこから「(大)国」という意味が派生してきました。「超大国」という意味で、super powerという言葉もよく使われます。

collide  「衝突する」という自動詞。「…と衝突する」という意味にしたければ、collide withの形で使います。

peninsula  「半島」。the Korean Peninsulaで「朝鮮半島」となります。

armistice  「休戦」。

truce  「停戦」。もちろん、朝鮮戦争(the Korean War)のことを言っています。上のarmisticeとあわせて覚えてください。

destabilize  「…を不安定にする」。stabilize「…を安定にする」の反意語。このように、de-という接頭語がつくと、反意語になるケースが多いものです。覚えておきましょう。

be clothed in  「…でおおう、…で隠す」。

clothesで「衣服」という意味を知っている人は多いのですが、そこからsが抜けてclotheになると、「…に(服を)着せる」という他動詞になることを知っている人は多くはありません。勘違いしないように覚えてください。

それでは、ポイントを押さえながら、和訳を試みてみましょう。

The United States is also concerned with the fate of freedom in Northeast Asia, where great powers have collided in the past.

まず、この文は、コンマの前後で分けて訳すようにします。とにかく頭から訳し下ろすようにすれば、英文を目で追う感覚で日本語が頭に浮かぶようになり、読むスピードが速くなりますし、英語を英語で理解しなくてはというプレッシャーからも解放されることでしょう。INDECではこのことを「リニア・リーディング」と呼んで、徹底指導を行っています。

in the pastという副詞句がある場合には過去形しか使えない、と思っていらっしゃる方がおられることでしょう。「過去においては」という意味ですから、そう思われるのも不思議ではありません。しかし、このように、現在完了形と組み合わせることも可能なのです。その場合には「これまで」というようにso farというニュアンスで訳せばよいでしょう。

合衆国は北東アジアに自由を宿命づけることにも関与しています。その地域では大国たちがこれまで衝突を繰り返してきたものでした

The Korean Peninsula is still caught in the past.

このin the pastは、上記のイディオムではありません。前の動詞とのペアです。「朝鮮半島は、依然として過去にしばられています

An armistice -- a truce -- freezes the battle lines from a war that has never really come to an end.

これも途中でthatという関係代名詞が出てきますので、そこで一度気って訳します。「休戦(停戦)の取り決めが戦争の前線を凍結しています。その戦争は、実際、まだ終結してはいないのです

The pursuit of nuclear weapons threatens to destabilize the region.

核兵器を求めることが、その地域を不安定にする脅威を生み出しています

Satellite maps of North Korea show prison camps the size of whole cities, and a country that at night is clothed almost in complete darkness.

北朝鮮の人工衛星地図が示しているのは、囚人収容所が町全体の大きさであるということとその国が夜になればほとんど完全な暗闇に隠されてしまうということなのです

単語のみならず、訳出のコツも学んでください。

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それにしても、このスピーチ、前半は諸手を挙げて小泉総理を褒め称え、日米の同盟関係を強調してくれています。いくら外交儀礼が入ったものとはいえ、これほどまでにアメリカの大統領から賛辞を送られた日本の総理大臣を不勉強なゴウ先生は知りません。支持率が30%台まで落ち込んだ大統領が、支持率60%以上の首相にすがってくれるのならば、これをうまく利用してもらいたいものです。

ただし、自由と民主主義を日本にもたらしたのはアメリカであるとする論調には、ついていけない部分があることを告白しておかなければなりません。60年前に終わったあの戦争で日本をズタズタにした当事国からそのように言われても、素直にうなずけるものではないでしょう。

明治維新以降、日本は自力で自由と民主主義を勝ち取ってきたアジア唯一の国です。残念なことに、先の大戦で敗北の憂き目を見たために、自由と民主主義を他国(アメリカ)から授かったかのように、われわれ日本人が思わされているのは、実に残念なことです。日本人として(敗戦以前の)日本の歴史と文化に誇りを持つべきなのです。

そして、スピーチはアジアの現状に移ります。韓国や台湾の市場自由化の達成を称え、中国へのさらなる市場開放を訴えています。

現在、日本を取り囲む中国、ロシア、韓国、北朝鮮の一方的攻撃はとどまることを知りません。歴史は繰り返すと申しますが、ある意味100年以上前の日清・日露戦争の時代に近い緊迫感なのかもしれません。

あの時、日本を勝利へと導いたのは、日英同盟であり、アメリカ・イギリスの投資銀行家たちでした。

いまの日本にこの極東の緊張関係を宥和する有力な外交関係があるとすれば、それは日米同盟をおいて他にありません。

いたずらにアジア地域に紛争の種を撒き散らす行為を日本がしてはなりませんが、外交という丁々発止の舞台で、バランスを取りながら、自国の国益を守るしたたかさを日本の政治家たちには求めたいものです。

くれぐれもアメリカを信用していたのに、アメリカから裏切られるというようなことのないことを願いたいものです。
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