goo blog サービス終了のお知らせ 

JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

平山夢明 「独白するユニバーサル横メルカトル」

2009-02-14 | BOOK
単行本が書店に並んでいた頃から、その表紙カバーのインパクトとタイトルに惹かれていた物です。
ただこのミス大賞の冠が手を遠ざけてもいた。
表紙デザインのイラストがよりおどろおどろしい赤になった文庫本で内容を確認していくとミステリーというよりもホラーやスプラッター。いや人の気持ちを不快にさせようという鬼畜小説なんだとか・・・

それなら読む価値あり。

「C10H14N2(ニコチン)と少年-乞食と老婆」
「Ωの聖餐」
「無垢の祈り」
「オペラントの肖像」
「卵男(エッグマン)」
「すまじき熱帯」
「独白するユニバーサル横メルカトル」
「怪物のような顔(フェース)の女と溶けた時計のような頭(おつむ)の男」
の8編



確かにいじめを題材にした残酷童話、冒頭の「ニコチンと少年」は後味の悪さの残り、噂に違わずと思ったものの、それ以降はもう面白くて・・・

平山夢明
これは久し振りのヒットかもしれない。
減退していた読書欲が再燃するかもしれない。

悪趣味の中に挟まれたSF「オペラントの肖像」「卵男(エッグマン)」などはラストのひねりも決まって爽やかじゃないですか。
表題「独白するユニバーサル横メルカトル」は道路マップの独白。二代にわたる鬼畜のご主人に仕え守ろうとする。同属の編み図まで登場しておびえる編み図を守ろうとするユニバーサル横メルカトル。そのラストの爽やかさったらない。

読んでいて懐かしい既視感を憶える。
解説にてその理由判明。オマージュなのだ。
やれ「1984」「未来世紀ブラジル」「羊たちの沈黙」「地獄の黙示録」・・・
他にも、表題作は筒井康隆の登場人物(?)が文房具の「虚構船団」を思い出すし、「すまじき熱帯」はハナモゲラ文学ならぬ空耳文学になっている。「無垢の祈り」はフィクションではあるけど「ファザー・ファッカー」のような虐待もの。
極めつけは「怪物のような顔の女と・・・」
過激な拷問シーンの描写は「問題外科」以上かもしれない。この残酷さの中にも女がボン・サイトのように鼻から万国旗を出してみせたり、助手のハンプのキャラがのいるこいるだったりのギャグをしっかり入れているところがありがたい。

お好みは・・・(珍しく順位を付けてみました)

①Ωの聖餐 ②独白するユニバーサル横メルカトル ③怪物のような顔(フェース)の女と溶けた時計のような頭(おつむ)の男 スマートさで④卵男(エッグマン)

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マイネタ帳(21) 柳家菊語楼 | トップ | MELODY GARDOT »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

BOOK」カテゴリの最新記事