生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

地元の生駒市議会の話ですが

2010-06-16 20:33:21 | 日記

 今日は地元の生駒市議会の話です。
 議会のビデオ中継を観ていました。
その中で、守旧派のS議員の「生駒市の医療行政の現状と課題について」の質疑ですが、市立病院に絡めた質疑を期待していましたもののそうはなりませんでした。
そもそも、質問の意図が全く見えませんでした。ためにする質問だったのでしょうか、答弁する担当部長も苦労していたように感じました。
 その曖昧さの中で唯一明確だったのは、「生駒メディカルセンターはよく頑張っている。大いに評価する」でした。この発言は何だったのでしょうか。もしかして、将来生駒メディカルセンターが廃止ということになれば、元の輪番制に戻るのを嫌がる医師会の意向を汲んだ発言だったのでしょうか。
 穿ちすぎた推測かもしれませんので、メディカルセンターの件はここまでにしておきます。

 指摘したいことは、医療や介護について余りも理解の低い議員(S議員さんだけではありません)が、市立病院開設計画に対して依然として「反対」の立場を崩さないことです。
 何が故に反対なのか明確にしないままです。多分明確な反対理由が自分では説明できないのだと思います。だから彼等は、反対派ではなく「慎重派」だと主張します。総論賛成・各論反対・進め方反対 でしょうか。今の生駒市議会では、こうしたお粗末ともいえる守旧派議員が過半を占めています。

 数十年に一度ともいえる極めて重要な課題である生駒市立病院開設案件を、こんなレベルで議論してほしくありません。本当に反対なら、理路整然と主張すべきは主張し市長ひいては市民を納得させればよい筋の話です。23議員全員が、市長を超えるレベルにまでレベルアップして、市長と激論を戦わせて欲しいものです。

 それと議員さんには注意しておきますが、医師会の意向を聞くのは随意ですが、医師会に取り込まれないことも議員の最低の見識です。呉呉もご注意を。

 


コンビニ受診をめぐる低次元の議論

2010-06-15 17:46:29 | 日記

 時々拝見しているブログがあります。ブログ主は小児科開業医さんのようで、記事内容はなかなか洗練されており敬意を表しつつ拝見していました。
 しかし先だっての小児コンビニ受診記事や医師仲間のコメントだけは、少し違うんじゃないの と思いました。

 その議論の内容は大体次のようなものです。
・昼間は医療機関が込んでおり待ち時間が長いため、親は空いた夜間に受診したがる。こうした手前勝手な親には、啓蒙というよりも「調教」が必要
・医療機関の対策としては、啓蒙や調教のほかに、時間外診療として高額な自己負担を求める
・軽症患者が大半。軽症の場合はその場では一切処置をせず、明日診療時間内に再来するよう説得する。処置しないので次は来ないだろう
・小児科以外の医師が診ることにより、夜間に受診しても専門の小児科医に診てもらえないなら意味ない と思わせる
 こうした対応をすることにより、親はコンビニ受診を諦めるはず という議論が続いていました。
 確かに、医療の現場を理解することもなく、手前勝手なコンビニ受診やタクシー代わりの救急車利用を繰り返す患者が多いことも事実です。こうした患者に対しての医療現場のやりきれない怒りも理解できます。で、それらを踏まえたうえでの私の意見です。

 「夜間に特化した小児科診療所」の開設です。

 突飛な意見かもしれませんが、軽症・重症問わず患者は24時間発生するのですから、そうした医療ニーズに応えるのが筋なのではないでしょうか。夜間はやりたくない医師が多い現状を打開するためにも、透き間のニッチかもしれませんが成功間違いない夜間特化の開業はどうでしょうか。
 コンビニという表現が、どうでもよい大したことではない医療ニーズだと切って捨てるような意味合いになっていますが、それは違うと思います。
 嫌な客も変な客も、客は客です。どの業界にもこうした客は存在します。コンビニ受診患者も客の一人と認識すると俯瞰図も様相を異にします。
 いずれにしろ、サービスを提供する側が、上記のような「上から目線」で議論が盛り上がってもらっては困ります。「客商売」という原点が完璧に抜け落ちています。だからこうした低次元の議論に終始してしまったのでしょう。関係者は猛省を!。

 医師不足の現状からすればこんな話は突飛な話として無視されるわけですが、医療業界関係者は先入観にとらわれることなく、患者の目線で新境地を開拓して欲しいと思います。
 医師会や行政の縛りとかもあるようですが、特にしがらみの無い若い医師にはフロンティアスピリットをもって挑戦をお願いしたいものです。

 


上野原市でも同じ構図が

2010-06-14 18:09:19 | 日記

 山梨県上野原市で、老朽化した市民病院建替え案件に絡んだ揉め事が発生しています。
 ことの発端は、「上野原市立病院専門委員」から地元医師会を外したことにあるようです。医師会代表を委員に任命せよとの医師会の要請に対して頑なな姿勢を崩さない市長に猛反発した医師会は、実力行使に打って出ました。校医派遣の全面拒否です。
 事の性格上利害関係者を委員から外しておきたい という市長の意向なのでしょうが、一人くらい医師会委員を含めてもよかったのではないか と医師会アレルギーの私でも思いますが 市長の真意はどうだったのでしょうか。
 一方の医師会側の実力行使はいただけません。全く別の話ですし、医師会の気持ちは解らないではありませんが、専門家集団としては決して採ってはならない禁じ手です。
 議会も医師会に同調し、結局は市長も折れたようですが、醜い利害関係が表面化してしまった ということです。上野原市民はどう感じているのでしょうか。

 ここ生駒市の構図とよく似ていないでしょうか。他山の石 としたいものです。

 もう一つ。この委員の座長が公認会計士の「長 隆」氏です。事業仕分け人で、公立病院改革ガイドラインの仕掛け人でもあります。以前7-8年ほど付き合ったことがありますが、「目鼻の利く必殺仕事人」タイプです。人物は決して悪くはないのですが、仕事人としてはドライに割り切って進めるし、口も悪いと言えば悪いほうです。
 上野原市民病院専門委員では、座長の立場から結構きつい発言をし反発も食っているようですが、へこたれるような人物ではありませんので、職責は全うするのでしょう。独断と偏見の強い公認会計士ですので、上野原の計画がどうなってゆくのか少々心配なところもありますが、見守ってゆこうと思っています。
 

 


医療業界の歪な構造(2)

2010-06-06 21:12:39 | 日記

 ご見識のある方からコメントを頂きご指導頂きました。せっかくですので、今日は「歪な構造第2弾」として記事にします。
 
 通常、マーケットというものは、需要が発生し拡大してゆくなかで、供給サイドの業者が参入しお互いが競争し合って行く中で、マーケット自体が成長し成熟してゆく という好循環が結果するものだと思います。需要サイドのニーズに対応できない業者は淘汰されます。ビジネスの世界ですからそれは当然の話です。
 しかし医療業界というものは、どうも普通の業界とは異質の業界に思えてなりません。その根本要因は、先だっても書いたように医師の「供給不足」にあります。特に勤務医不足にあることは、疑義のないところです。

 普通の業界であれば、供給不足のマーケットには誰彼となく率先して参入してくるはずです。しかし、医療業界ではそうなりません。何故なら、良かれ悪しかれ医師免許が無くては参入の門戸が100%完璧に閉ざされているからです。しかしこれは、一朝一夕に解決できる話ではありません。医学部定員の増加計画も時間がかかりますし、増加率もわずかです。

 ですが医師の偏在特に、「勤務医と開業医の偏在是正」は、関係者の決断で不可能な話ではありません。

 勤務医の「立去り型サボタージュ」や「燃え尽き症候群」が言われ、一方ではドロップアウトした勤務医を受け入れる「自由開業制」があり、大きなうねりに巻き込まれた勤務医が翻弄されている絵模様が見えます。さらに翻弄されているのが、需要サイドの患者です。

 医師会や行政が、他人事ではなく自らのこととして英断できるのか。1%の淡い期待をもって今後の行動を注視しようと思っています。