白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

囲碁授業

2018年06月18日 23時52分49秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
本日は大きな地震がありましたね。
被害も出てしまい、大変な方が多いと思います。
私にできることは少ないですが、せめて日々の仕事をしっかりとこなしていこうと思います。


さて、本日は学校囲碁授業で、中央区立月島第三小学校へ行ってきました。
全5回のうちの2回目ですが、初回は私の都合が悪く、安藤和繁五段が代行してくれました。
私は子供たちと初顔合わせです。

さて、今回の感想ですが・・・。
なんといっても、子供たちの勢いが凄まじい!
今まで入門教室をやってきた中で、断トツに一番です(笑)。
3年生ということがポイントかもしれません。

これが低学年の子や未就学児だと、騒いだとしてもまだパワーが小さく、大きな声を出すと自然と注目してくれます。
また、高学年になると、かなり落ち着きが備わっています。
そう考えると、この年代が一番賑やかなのかもしれませんね。
今回他のクラスを担当している、熊丰七段と田尻悠人四段も同じ印象のようでした。

賑やかなのは、熱中してくれている証拠とも言えます。
まずは囲碁の楽しさを知ってくれて良かったです。
後は、その楽しさを持続できるかどうかか課題ですね。
責任重大なので、頑張りたいと思います。

ところで、私たちプロは勝負の世界に生きていますが、子供たちが囲碁を楽しむ際、必ずしもそこにこだわる必要はありません。
今回、こんなことがありました。
うまく打った子がいて、相手の石を全部取ってしまったのです!
・・・と言っても、これは実は入門段階では当たり前に起こることです。
今回もそこかしこでそんな光景が見られました。

面白かったのは、全部取った側の子供が嬉しそうに報告してきたのですが、取られた側の子もはしゃいでいたことです。
これはいわゆる、「おいしい」ということでしょうか(笑)。
子供は結構そういう所がありますね。
小さい子だと泣いてしまうことがありますし、大人も泣かないにしてもショックを受けてしまう方が多いのですが・・・。

こういうことは、入門指導において大きなヒントになります。
石が取られる、負けるといったこと自体はネガティブな出来事ですが、どんなことにも楽しさ、達成感は隠れています。
石を沢山取られようとも、自分だっていくつか石を取っているかもしれませんし、いくらか陣地も作れているかもしれません。
そういったことに目を向けられるように誘導できれば、目先の勝ち負けだけに一喜一憂するのではなく、囲碁というゲーム自体の楽しさを理解してくれるのではないかと思います。

私が本格的に入門指導を始めてからはまだまだ年月が浅く、学ぶことが沢山あります。
しっかり勉強して、良い指導者になりたいですね。

立葵杯第2局

2018年06月17日 22時36分25秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日、第5期会津中央病院・女流立葵杯 【協賛:一般財団法人温知会】第2局が行われました。
早速振り返っていきましょう。

なお、本局も幽玄の間やYoutubeの日本棋院チャンネルにて中継されました。
そちらもぜひご覧ください。



1図(実戦)
黒△まで、左右の白が弱い状況です。
この番、多くの棋士が口をそろえて黒有利と言ってましたね。





2図(実戦)
しかし、藤沢立葵杯の黒1には驚きました。
白に厳しく迫っていますが、自分の石にもかなりの負担がかかります。
藤沢立葵杯のイメージとは違う感じもしますが、モデルチェンジ中でしょうか?





3図(実戦)
ともあれ、黒△まで、白×を取っては黒が良いでしょうね。
本局は早く終わるかな、とも思いました。
しかし、ここからの謝挑戦者の頑張りが凄かったですね。





4図(実戦)
白△まで、左上一帯を全部白地にする構えです。
こうなっては勝負は分からなくなったかと思いました。

しかし、藤沢立葵杯の読みも流石でした。
ここから見事に左上を手にして、勝ちを決めましたね。


最終第3局は6月22日(金)に行われます。
お楽しみ!

ビジネスに役立つ囲碁入門講座

2018年06月16日 23時59分59秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
本日は「ビジネスに役立つ囲碁入門講座」第2回の講師を担当しました。
社会人向けの連続講座ですね。

かつて日本の囲碁人口が現在の倍以上だった頃は、職場の関係者から囲碁を勧められる方は珍しくありませんでした。
しかし、現在は会社の囲碁部は激減し、囲碁の存在感も薄れています。
その結果、囲碁人口も大幅に減少してしまいました。

現役社会人で碁を覚えてみたいという方は、今でも少なからずいらっしゃいます。
ただ、多くの方が忙しく働かなければならない現在、余暇の使い方にシビアになっているような気がします。
そういう方はが何かを覚えたい時、「いかに効率よく学ぶか」を重視されるようです。

個人的にも、現在マンツーマンでの指導を行っているお客様がいらっしゃいます。
相応の費用は必要になりますが、その代わりその方の資質、理解度に合わせた指導ができることがメリットです。
料金よりも内容の充実というわけです。
今回の講座に参加されている方も、やはり限られた時間を有効に使うことを重視されていると感じました。
参加者目線で考えてみますと、魅力としては主に2つあると考えられます。

1つは、少人数であることですね。
最大でも1コースあたり15人の募集でしたし、実際の参加人数はもう少し少なくなります。
参加者同士の対局も数面ですから、講師は全ての対局に目が届き、随時アドバイスをを差し上げることができます。
もう1つは、1回2時間という長さですね。
入門講座は1回1時間ぐらいであることが多いですが、忙しい方にとっては時間がまとまっていた方が都合が良いのです。
何日もスケジュールを空けるのは大変ですし、会場までの移動時間などもありますからね。

新たに囲碁を覚えようとされる方は、子供、学生、現役社会人、リタイア後の方と様々です。
そして、それぞれに時間の使い方が全く違います。
囲碁普及では、そういったことも意識しておく必要がありますね。

現在、子供や学生向けの入門講座は増えていて、少しずつ効果も上がってきていると思います。
ただ、現役社会人向けとなると、まだまだ弱いですね。
平日の夜か土日ぐらいしかまとまった時間が取れないという方にも、無理なく囲碁を覚えて頂くためにはどうすれば良いのか?
囲碁界にとって大きな課題です。

立葵杯第1局

2018年06月15日 23時56分18秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日、第5期会津中央病院・女流立葵杯挑戦手合三番勝負【協賛:一般財団法人温知会】が開幕しました。
対局の模様は幽玄の間やYoutubeの「日本棋院囲碁チャンネル」にてご覧頂けます。
なお、Youtubeの方はチャンネル登録しなくてもご視聴頂けますが、ぜひご登録をお願いいたします。
登録者数が増えれば、できることも増えてくるでしょう。

さて、それでは感想を述べたいと思います。



1図(実戦)
謝依旻挑戦者の黒番です。
藤沢里菜立葵杯、白1のシチョウ当たり作戦!(詳細は解説をご覧ください)
これには驚きました。

連打した右上では白有利になりますが、左下は黒有利です。
単純に比較すれば、黒△は2子、白△は4子ということで、白の方がダメージが大きいように見えます。
これで白が打てると判断したのは、独特の感覚ですね。





2図(実戦)
また、この場面での白1にも驚きました。
黒△と黒×が弱いので、大半の棋士は右辺に打ち込みたくなるのではないでしょうか?
しかし、藤沢立葵杯は左辺黒模様を消す方が価値が高いとみたのですね。
ここでも独特の感覚を見せました。





3図(実戦)
そして、本局で最も派手なシーンはここですね。
左辺白がどうやって凌ぐかと思って見ていましたが・・・。





4図(実戦)
白は黒×を取って凌ぎ、黒は白×を取る大振り替わり!
見事なものですね。

この時点では形勢は少し白が良さそうに見えましたが、ここから堅く打ち過ぎてしまった気がします。
最後は謝挑戦者の必死の追い込みが実りましたね。

第2局も派手な力比べが見られる気がします。
お楽しみに!

本日の対局

2018年06月14日 23時59分59秒 | 対局
皆様こんばんは。
木曜日は日本棋院棋士の公式対局日です。
私も珍しく対局がありました。

また、本日は杉内寿子八段も対局されていました。
自分も対局中なので、時々対局姿だけ拝見しましたが・・・。
背筋を伸ばし、盤上に没頭する姿は美しいの一言です。
機会があれば、ぜひ動画で配信して欲しいですね。
なお、棋譜は幽玄の間でご覧頂けます。

さて、それでは本日の対局を振り返っていきます。



1図(実戦)
対局相手は恩田烈彦九段、私の白番です。
黒△と、7手目の三々入り!





2図(実戦)
さらに左下黒10、2度目の三々入り!
前回の対局で、初めていきなりの三々入りを打たれたと思ったらこれですよ(笑)。
白としては左辺を大切にしたいので、白Aと押さえる手がまず思い浮かびます。
ただ、もし左上と同じ形になった場合、黒Bと左辺の中心を割る手がピッタリになります。
そこで・・・。





3図(実戦)
実戦は逆から押さえて変化しました。
白7の後、黒Aと押さえてくれば・・・。





4図(変化図)
このような進行になりそうです。
左辺の白模様が深く、こうなれば白十分かと思っていました。





5図(実戦)
そこで、実戦は黒1から変化してきました。
部分的には損ですが、左辺に進出することを重視しています。
そこで白も作戦を変更、白14までと対応して・・・。





6図(変化図)
この後、黒1と受ければ白2あたりに開き、下辺を白模様にするつもりでした。
ところが・・・。





7図(実戦)
実戦は黒がさらに変化し、黒1に先行してきました。
その代わり白2~白8まで、左上一帯が白模様になっています。
お互いに相手の裏をかこうとする、面白いやりとりでしたね。

そして、右上隅では私も三々に入りました(笑)。
もっとも、これは従来型の三々入りであり、左辺の2つとは意味合いが異なりますが・・・。

この後色々ありましたが、最後はなんとか勝つことができました。
3カ月ぶりぐらいですね・・・。

ところで、せっかく日本棋院に行ったので、本を買ってきました。



この2冊です。
どこかでレビューする予定です。