白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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問題解答

2018年06月25日 23時20分03秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日は昨日の問題の解答を発表します。
寺山五段に答えを聞いていないので、これは私の解釈です。
大丈夫だとは思いますが、万が一間違っていたらご指摘ください(笑)。



1図(正解1)
初手、白1の放り込み!
正解の第一歩であり、本問の「題意」でもあります。
この手のために作られた問題なのです。

こういう形は、気分的には白Aの方に打ちたくなるのですが、この場合は白1に限ります。



2図(正解2)
黒1と取らせ、それから白2(Aの所)とコウを仕掛けます。
黒3の時、白4という大きなコウ立てができていますね。
黒は受けるか、コウを解消するかの2択ですが・・・。





3図(変化図)
黒1と受けるのは、白2と取られてコウ立てに困ります。
黒3、5の連打では小さく、大差で白勝ちとなります。





4図(正解3)
そこで、2図の後は黒1とコウを解消する一手です。
白2の連打に対しては黒3のつなぎが必要で、そして白4のコウ取り・・・。
このコウ争いが、白が勝つための第2の関門です。
そして、これを突破できるかどうかは、実はスタート地点で決まっていたのです。

本図は黒から1つもコウ立てが無いので、白4に対しては黒はパスをするぐらいしかありません。
そこで白Aとつなげば、見事白1目勝ちとなりました。
これが本問の結論です。





5図(変化図)
前図白4の後、黒1と切る手はコウ立てになりません。
白△の位置が絶妙です。

1図の時点で、白△ではなく2線に放り込んでも途中までは同じになります。
ですが・・・。





6図(変化図)
その場合、黒1のコウ立てができてしまいます。
黒3と取られると今度は白のコウ立てが無く、白Aとつなぐしかありません。
黒Bとつながれると、結果は黒1目勝ちとなってしまいました。

いかがですか?
放り込む位置の違いが最後の明暗を分ける、面白い問題だと思います。
ただ、この知識が実戦で役立つ可能性は極めて低いですね(笑)。
囲碁の手筋というより、一種のパズルかもしれません。

ところで、パズルと言えば、張栩九段の「よんろのご」、一力遼八段の「終盤アナライズ」(9路盤問題)もパズル的な要素が強いですね。
そして、両者共に問題作成へのこだわりが凄いと聞きます。
寺山五段から話を聞いた限りでは、両者はさらにレベルの高い囲碁マニアのようです(笑)。
勝負を抜きにしても、囲碁には深い世界があるのです。