白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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大局観

2018年06月01日 23時55分42秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
昨日、姚智騰四段と高尾紳路九段の対局をご紹介しましたが・・・。
図らずも、たかお日記で答え合わせされていましたね(笑)。
たかお日記は私が見ても勉強になります。

さて、本日は五反田での指導碁を題材にします。
テーマは、例によって「大局観」です。



1図(テーマ図)
白△と当て込まれた場面です。
次に白Aと切る手がありますが、どうしますか?





2図(失敗)
このような場面では、多くの方は黒3と打って2子を助けます。
しかし、白6と頭を出されてみるとどうでしょうか?
左下黒全体に不安が生じていますし、白△の動き出しも不気味です。
黒の外勢が、厚みではなくなってしまいました。





3図(正解)
上下の白はほとんど生きているので、黒△はカス石です。
そこで、黒1と打って全体をつなげる手が正解となります。
これで左下一帯の黒は強力な厚みとなりました。
しかも先手が取れるので、黒5~11などと打てば、右辺から中央にかけて巨大な黒模様が出現します。
たった一手の違いで、2図とは景色が全然違いますね。

大局観が育つと、このような展開も自然と思い浮かぶようになります。
棋力も向上しますし、対局もますます楽しくなるでしょう。