白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

マニアック

2018年06月24日 22時29分18秒 | 問題集
皆様こんばんは。
本日は深夜からサッカー日本代表の試合があるとか。
明日は寝不足になっている人が多そうですね(笑)。

さて、先日対局で日本棋院に行った時のことです。
対局後に控室でボーッとしていたところ、寺山怜五段に話しかけられました。
寺山「先日のブログの件ですが、ちょっと話題になりまして・・・」

そう、私のブログを読んでいる棋士は結構多いのです。
そして、棋士は少なからず囲碁マニア的なところがあります。
ですから、こんなマニアックな話に食い付いても何ら不思議は・・・。

寺山「そこで、問題を作ってみました」
白石「!?」






<問題図>
なんということでしょう。
彼のマニア度は私の想像を遥かに超えていました。
この問題の作成には1時間ほどかかったそうです。
問題の各所に苦労の跡が伺えますね。

白先で碁に勝ってください、という問題です。
アゲハマ、コミ共にありません。





<ヒント>
白は中央でコウを仕掛けなければいけません。
しかし、コウに負けてしまうと右下黒△と白△の攻め合いがセキになり、元々16目あった白地が0になってしまいます。
コウ立ての大きさを意識しなければいけません。

また、碁に勝つという問題ですから、左下の小さなコウにも勝つ必要があります。
両方の問題を上手く乗り切ることができれば、白の1目勝ちとなります。

白石「凄い問題だね。これはブログで紹介して良いの?」
寺山「どうぞどうぞ。こういう問題はお金になりませんから(笑)」

まあ、こういうマニアックな問題が一般受けしないことは確かですね。
あえてそんな問題ばかり集めた本も、少しはあって良いと思いますが。

解答は次回発表予定です。

碁聖戦、開幕!

2018年06月23日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日、碁聖戦五番勝負第1局が行われました。
井山碁聖に挑むのは、初めて七大タイトル戦に登場する許家元七段です。



1図(実戦)
井山碁聖の黒番です。
白1、3は実に力強い仕掛けですね。
許七段が早くも「らしさ」を発揮しました。





2図(実戦)
黒1と堅く守ったとたん、白2、4を利かして右辺白を強化したのは良いタイミングですね。
許七段はまだ20歳ですが、老獪なところもあります。






3図(実戦)
かと思いきや、白2、4の激しい仕掛け!

本局の許七段は相手を気にせず、打ちたいように打っていた印象です。
結果もついてきて、先勝となりました。

立葵杯結果

2018年06月22日 23時38分17秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日、第5期会津中央病院・女流立葵杯【協賛:一般財団法人温知会】第3局が行われました。
早速振り返っていきましょう。

なお、この対局は幽玄の間やYoutubeの「日本棋院チャンネル」にて中継されました。
そちらもぜひご覧ください。



1図(実戦)
藤沢里菜立葵杯の黒番です。
白△まで、落ち着いた布石です。
ここまで見て、今日は持久戦かと思った方は甘い!(笑)。
この2人が打てば激闘になることは、火を見るより明らかです。





2図(実戦)
黒△まで、上辺の白地を破った上に、白×が宙に浮いています。
戦いの第1ラウンドは、明らかに藤沢立葵杯が制しました。
この場面を見た瞬間、白が絶望的かと思ってしまったぐらいです。
ただ、私もまだまだ甘かったようです(笑)。





3図(実戦)
謝依旻挑戦者が猛然と仕掛け、逆に黒×を攻める態勢に!
これにはビックリです。
形勢の悪い時の謝挑戦者は怖いですね。
これで勝負は分からなくなったと思いました。





4図(終局図)
終局図です。
激闘の跡が生々しいですね。
2図あたりからは想像もできないぐらい、地形が変わりました。

どちらが勝ってもおかしくない碁でしたが、最後は藤沢立葵杯に運があったでしょうか。

幽玄の間

2018年06月21日 23時18分42秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
木曜日は日本棋院棋士の公式対局日です。
本日も多くの対局が幽玄の間で中継されました。
個人的には、杉内寿子八段の対局に注目していて、欠かさず観戦しています。
今日も良い碁を打たれていましたが、結果は残念でしたね。
ちなみに、杉内八段の対局は、来月の情報会員向けサービスの「ためになる棋譜解説」でも解説します(本日の対局ではありません)。

さて、本日は蘇耀国九段と中野泰宏九段の対局をご紹介します。



1図(テーマ図)
蘇九段の黒番です。
中野九段が白△とぶつかりました。
これは実戦によく現れる手筋ですね。
次に白Aの切りがありますが・・・。





2図(変化図)
黒1と受ければ白4までとなり、白△とつながることができます。
一方、周囲の黒は根拠が無くなり、まとめて攻められかねません。
黒が困ったようですが・・・。






3図(実戦)
実戦は黒△まで進みました。
黒×は取られましたが、その代わり白×を取り込んで全体の黒が安心しています。
黒が上手く対処しました。

白の手筋に対して、黒も手筋で対抗したのです。
どう打ったのか、腕に覚えのある方はぜひ考えてみてください。
幽玄の間の棋譜が解答です。


明日は会津中央病院杯立葵杯決勝三番勝負第3局が行われます。

日本棋院市ヶ谷本院、幽玄の間、Youtube「日本棋院チャンネル」などで解説がありますので、ぜひご覧ください。

芝野流大模様

2018年06月20日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
昨日は更新をお休みしました。
仕事の修羅場をようやく乗り越え、気が付けば布団と一体化していました(笑)。

さて、本日は乙級リーグ第8戦、芝野虎丸七段と汪逸塵八段の対局をご紹介しましょう。
本局は幽玄の間で中継されています。
時間に余裕のある方は、ぜひそちらを先にご覧ください。



1図(実戦)
汪三段の黒番です。
白△まで、上辺を最大限に広げました。
大模様作戦です!





2図(実戦)
あちらに打ったりこちらに打ったりという、いかにも芝野七段らしいフットワークの軽い立ち回りです。
一応、黒地を荒らしにいっているとみられますが・・・。






3図(実戦)
その後、白×を全て捨て、巨大な地を完成させました!






4図(実戦)
物凄い大きの白地です。
印を付けるのも大変でした(笑)。
数えてみると、なんと122目!
武宮正樹九段もビックリという感じです。

最後は黒が投げ場を求めたのでしょう。
白△と切られて手になり、投了となりました。
この後黒Aと逃げたらどうなるか、考えてみるのも良いでしょう。
中押しの碁の終局図は、読みの練習に使えることも多いです。

こういう派手な碁は、意味が分からなくてもなんとなく楽しいでしょう。
私も同じです(笑)。