
(画面は「ドラゴンクエスト2」 MSX1版)
3.正直なところMSXユーザーの多くは「中途半端な移植は望んじゃいない」「他機種には無いオリジナルの部分が欲しい」と思っていました。なぜかと言うと、
MSXの性能(メモリーやCPU)が他のパソコンに遠く及ばず、ゲーム機能に関してはファミコンにさえ遠く及ばず
っつーのを自覚していましたから。
MSX1、2版のドラゴンクエスト2はファミコンからの完全移植という「ムチャな事(心意気は良いと思うのですが)」をしようとして操作性やらグラフィックを犠牲にしてしまい、言うならばメーカーとユーザーの思いがかけ離れ過ぎてしまっている作品なのです。
画像では説明出来ないのですが一番顕著な部分が、
移動がナメクジのように遅く感じられる
ンですわ。とにかく一歩一歩が重いのです。
「ふっかつのじゅもん」でもイライラするのに、移動までチンタラしてて、かつ、ファミコン版から1年遅れの発売って事で、
遊びじゃなくて苦行だね、これは・・・
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ちょっと専門的なお話になりますが、MSX1は「スクロール機能(正確に言うとハードウェアスクロール)が無い」、MSX2は「上下の縦スクロール機能しかない」ンです(注意:上下左右のスクロールが出来るのはMSX2+以降の機種。ドラゴンクエスト2の発売当初はMSX2がやっと普及しかけの時期です)。
ちなみにファミコンは上下左右のスクロール機能があります。

(画面はFirefox3.5.1)
スクロールというのは画面(や画像)を上下左右に動かす機能です。
ウインドウやブラウザの横や下にあるスクロールバーをマウスで動かすと中の画像や文字、アイコンなどがそれ(バー)と一緒に動きます。こういうのを「スクロールさせる」と言います。
今のパソコンでは当たり前過ぎて気が付かない方もいらっしゃるかも知れませんが・・・ジェネレーションギャップ?!

(画面は「ドラゴンクエスト2」 MSX2版)
ドラゴンクエスト2は主人公のキャラクタを常に画面の中心に配置しておいて、移動は画面の方を動かす、つまり画面をスクロールさせているのです。
しかし、MSX1、2はファミコンと違ってスクロール機能が無いに等しいので、画面をイチイチ少しずつコピー&ペーストを繰り返して「あたかもスクロールさせているように見せている」ンです。
今のパソコンならコピー&ペーストを繰り返しても十分な速度があるので問題ないのです。
が、当時のパソコンは「丸を一つ描くだけで1秒近くかかる」くらいトンデモなく低速なので、MSX1、2のドラゴンクエスト2も「歩みはナメクジの如く・・・」となってしまうわけでして(果敢に挑戦した事だけは評価したいのですが)。
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(画面は「ハイドライド3」 MSX2版)
ドラゴンクエスト2と同じ頃に発売された、T&E SOFTのハイドライド3(と言ってもハイドライド3の方が発売が早い)。
同じMSX2のソフトなんですがパッと見た目だけでも、
・桁違いに画面が綺麗っつーか気合いの入り方が違う
という事がお分かりいただけるでしょうか。
セーブはもちろんテープとPACに対応(PACやテープレコーダーを持っていない人のために"PAC同梱パッケージ"もありました)。
画面は無理してスクロールさせるのではなく「画面切替(画面の端っこにいくとパッと切り替わる)」ためストレスも無く(謎が難し過ぎて"違う意味のストレス"があったけれど)、さらには日本語と英語のバイリンガル仕様。
英語しか分からない友達が来ても安心(そんなシチュエーションあるのか?!)
まぁ、ハイドライドシリーズはアクションRPGなので操作性に難があったら台無しっツー事もあります。
T&E SOFTはもともとパソコンゲームメーカーの老舗。
キビシい環境に「こなれてる」感があるので「エニックスと比較するのは妥当ではない」感じもしますが。
あーあ、ドラゴンクエスト2がこんなんだったら確実に売れていたと思うし・・・
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結局何が言いたいのかと言うと、
・どんな天才や大企業でもつまらない事をやったりする
・感じ方は人それぞれ
と強引にまとめてお茶を濁しておきます。この手の話はいつまでもお話出来てしまうので。ハイ。