アイデアリズム idealism daydream

謎の凶器達人事件

おつかれっすぅ!

「おろぉ~!?」

と、その時言ったのかどうか。

平成のるろうには兵庫にいた。

兵庫県高砂南高校の朝礼で、高橋洋三校長はマジになった。

お題は「真剣勝負」。

「キミ達、真剣とは、こういう事だッ!!」

抜けば玉散る氷の刃。

野郎、抜きやがッたッ。

小道具として、私物の日本刀2本を持ち出したという。

で、もって、「つばぜり合い」とは、とか、「真剣勝負」とは、とか、内容的にはやっぱりくどいお話をクドクドクドクド語ったとか。

そしてどーなッたか。

県教育委員会にニラまれるは、新聞沙汰になるは、生徒A君に「とっても怖かった」とか言われちゃうはで、そりゃあもう大騒ぎさ。

諸君の中にあっても、

「それは聖職者として許せないですよネ!?」とか、

「ジュンシンな子供達に刃物をちらつかせるなンて、何てヒドい!?」とか、憤るヒトも或いはいるかもしれない。

新聞沙汰になる位だから、そっちが大勢を占めるのか。

しかし、ここでうなずけない私がいる。

イヤ、まあ困ったもンだとは思うけど、それはまなじり吊り上げて教育委員会に提訴しちゃうようなアグレッシヴな話じゃなくって、本人が得意げにやらかしてるだけに体育館で見ているこっちが困ってしまう、一種途方にくれてしまうような感覚がする訳なのだ。

コトがこうも問題になってしまったところからして、高橋校長59歳のこの行動は、かなり唐突なものだったのだろう。

普段いかにも謹厳で、駄ジャレ1ツ言わないし、朝礼ともなると新聞の社説みたいなカチコチにしてもう頼むから早く切り上げてくれッてな話ばっかりしてたのではないか。

それが何を思ったか壇上に二本差しで登場し、「ビュワッ!!」と抜き身をご披露だ。

ど、どうしちゃったンですか、校長センセイ!?

と、オドロクよりも、

「そうかぁ、ホントはずっと生徒達のハートをグッと掴ンで注目を浴びたかったンだねぇ」

ッつー同情(注:その気持ちじゃなくって、その判り易過ぎるアクションに対しての)が込み上げてしまって、どーにも声が掛け辛い、ッてな困った感がある。

高橋校長的には、

「真剣という言葉を説明したかった。威嚇するつもりはなかった。教育的配慮が足りなかった」

と、反省しているとか。

威嚇するつもりがあってたまるか。

大体何で日本刀なンか持ッてるのよ。

高橋校長は剣道六段で、市の剣道連盟役員を務め、チビッ子剣道の指導も行ってるという。

で、持ち出した日本刀は模造刀で、真剣は自宅に置いてあるし免許も持ってるとか。

剣士だ。

侍だ。

こうなってくると、愛読書は吉川英二とか、大河ドラマは欠かさずチェックとか、その趣味嗜好は推して知るべし。

人生訓を武将や剣豪の生き様から学ンでしまうタイプだ。

「こころはサムライ」ッて感じ。

そンなサムライハートな高橋校長だが、ハタと悩む。

ココロはサムライな上、ウデの方にも覚えがあるにしても発揮する場所が無い。

これは問題だ。

私が、諸君が思い浮かべるサムライは、緋村剣心か高橋英樹か鬼平犯科帖か、ま、時代劇の中のヒトビトであり、そのヒト達は、極、奥ゆかしくありつつも十本刀の魔人達とド派手に立ち回りを見せてくれたりする。

高橋校長には見せ場が無かったのではないか。

剣道場で拍手されるだけでは物足りなかったンじゃないのか。

剣道やって、剣客物見て、刀まで買っちゃって、そして・・・。

「うーん、誰かに見せて、スゲェ! と言ってもらいたい」

おたくの思考パターンだ。

サムライマニアだ。

本物のサムライが武士の魂を大勢の前で見せびらかしたりするか。

気持ちは判る。

良く判る。

でもさァ、相手の反応委細構わずブチまけたところで、ムードはイヤな方向へ突っ走っていくのサ。

最初呆気に取られ、そしてある人のまなざしは軽蔑に冷たくなり、またある人は気を使って弱々しく笑ってくれるンだけど明らかに興味が無いものでどうにも困ってるのがありありと伝わってきて・・・。

そして空気はお寒くなっていき、気付いてないのは得意げに語り続ける高橋校長ただ一人。

止めた方いいンじゃないかなァ。

でも、嬉しそうに一生懸命話してるだけに、何かそれもかわいそうだよなァ。

いつも真面目な顔して固い話ばっかりしてたけど、結構本人もつまらなかったのかなァ。

でも、取り合えず全然オレこういうの興味無いからなァ。

ハッキリ言って苦痛なんだけど、そう言っちゃあカドが立つし向こうも悪気は無いンだろーしこっちも別に傷つけたくはないし、あーもー何とか本人の方で気付いてさっさと切り上げてくンないかなァ。

まァ、何つーか、ここは生徒諸君が一ツ大人になって、広い心で高橋校長59歳のオレ的サムライ話を聞いてあげるのもいいンじゃないかなと。

そうアドバイスしつつも自分は絶対関わりたくないな、といきなり朝礼を逃げる事を考える私でしたよ。
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