アイデアリズム idealism daydream

嘘や夢であって欲しかった その13 バーチャルリアリティ

前回から

2005/03/14

2005年3月8日のつづき

 判決が下りました。少額訴訟ということもあって控訴が出来ず、"異議申し立て"しか選択の余地がないため、余程の事が無い限り「逆転裁判」なんてほとんどあり得ない、のだそうです。
 私はほとんど全面的に主張が認められたので異議はありません。相手(被告)はどう思っているのか定かではありませんが、もし異議申し立てした場合、少額訴訟の場合は「もう一度同じ裁判官さんで審理をし直す」そうです。

 判決が下りてから2週間、異議申し立ての期間があります。その間に申し立てしなかった場合は、正式に判決が確定するそうです。
 判決が確定するまでの間でも、少額訴訟を選んだ私は仮執行(仮の強制執行、つまり予め財産を差し押さえておくこと)をする事が出来るそうです。

 しかし、相手(被告)が審理に来なかったということもあり、判決の調書(正式名称は"第一回口頭弁論調書")が相手に届かないと「そんなん聞いてないよ」ということになります。そういうのも含めて私に調書が届いてから1週間くらい待った上で裁判所へ連絡してみてくださいと私は言われています。

 私はいつでも強制執行が出来るように準備だけでも進めて行こうかなと思いました。だって、

裁判所がお金を返してくれるわけじゃない、強制執行をして初めて実際にお金が返ってくるんだもん

つまり、今までは全部準備に過ぎないのです。今からが本番ということで・・・。


 帰りの車の中で友人の一人はこう言いました。

「あー、なんだか**ちゃん(私の名前)が手の届かないような、少し遠い人のような感じがしたよ・・・」

 法廷の中の私を見てそう思ったそうです。私はその発言がなんだかとても面白く感じました。私とその人とは考え方も取り巻く環境も、あまりにもかけ離れ過ぎていて「住む世界が違う」ような感じもします。その人にとっては今回の事は実感は無く、TVやインターネットと同じく「バーチャルリアリティ(仮想現実)」のように見えていたのかも。

 しかし私は当事者であり、今回の事はリアリティ(現実)そのものです。権利も責任もあります。今後の私のなりふりが強制的に決まった瞬間だったのです。


「そのさ、相手(被告)の人のお家ってどんなの? 強制執行出来そうなの?」
「うーん、なんか無理っぽいんだよねぇ」
「どういうふうに?」

 まぁ、審理があまりにも迅速っていうかあっという間に終わってしまい、取りあえずヒマなので話のネタに相手の家に連れて行きました。私は以前調査に訪れた事があります(もちろん外から)。

「うわーっ、本当に何も"取れ"無さそう・・・」

 山沿いにある築30年くらいの少し古い一軒家なのですが、車庫は既にずっと前から使われていなさそうな感じ。一応その一軒家は「荒れてる」という事でもないために人が住んでいる形跡はあるのですが、とにかくパッと見た目にもガランとしていて「物が無い」というのが容易に分かります。雰囲気は飾り気は全くなく寒々しているといって良いでしょう。

「これって"既に誰かが強制執行した後"じゃないの?」
「うーん、どうなんかなぁ。調べてみなきゃ分からないけれど、外から見る限りは強制執行はどう考えても無理っぽいでしょ」
「そうだねぇ。なんか困ったね」


「そういえばさぁ、相手の人、さっきの裁判をすっぽかしちゃったけれど、どこにいるのかな。この家には今誰もいなさそうだし」
「もしかしたら、会社かな?」
「様子を見てみない?」
「そうだね。どうせヒマだし」

 と、いうわけで私たちは急遽会社に行く事にしました。それにしても私は自分で言うのもナンですが「機敏な動き」ですな・・・。

 会社に着き遠巻きで様子をうかがっていると、外でブラブラ電話をしている人物を発見。私は顔を知られているので、友達に偵察に行ってもらって目視で確認してもらいました。

「アレ、じゃない?」
「そうそう、アレ」
「裁判すっぽかしてフツーに仕事してるし・・・」
「暇そうに電話なんかして。なんかナメてんなぁ、司法機関を」

 とっとと出向いてガツンと言ってやりたくなりましたが、こういう時こそ冷静に対処しなくてはいけません。私は司法の場で手続きをちゃんと済ませているので、揺るぎない事実がここにはあるわけで。

「なんかさぁ、もう相手の人、裁判なんか屁とも思ってないんじゃない?」
「そうだね」
「多分、**ちゃん(私の名前)にお金をちゃんと返す気なんて無いよ」
「なんか一連の行動からそんな気がしてきた・・・だって、ちゃんとお金を返す気があるのだったら、審理で"分割払い"とか"支払猶予(支払いについて日時を延ばしてもらう事)"、"遅延損害金の免除"や"金利の引き下げ"とかを請求するだろうし、何よりも仕事が忙しいのであれば"電話会議システム"を使えば良いだけの話だし・・・」
「**ちゃん(私の名前)、大変だね」

 相手の人は結局どう思っているのか分からないのですが、貸金について"バーチャルリアリティ"とでも思っているのでしょうか。それとも私や友人の予想通り「返す気がサラサラない」だけなのでしょうか。どちらにしても、私の状況は一向に良くならない事には変わりがありません。

 というわけで、相手の行動に落胆しつつ、お昼ご飯を食べた後、一同解散する運びとなりました。

つづく

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まっちゃん
司法機関をなめてるとはまさしくそう感じます。「法律はある意味まともな人間にしか機能しない。内容証明でも裁判所でも聞かない奴は聞かない。どうしょーもない。」と私の知り合いの弁護士は言ってました。
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