いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

(第1話)きっかけ・・ / 甘い誘惑

2007-09-23 14:23:32 | [小説]甘い誘惑


会社に入社して気が付けば20余年、それなりの職位と仕事にも恵まれ
子供達も大きく成長していた・・

ごく平凡な毎日・・
毎日、決まった時間に満員の電車に揺られ会社に出勤し、
女房が作ったお弁当を食べ、仕事が終わると同じ道を我が家に帰る・・
そんな毎日を繰り返していた・・

何も気になることも無く、その毎日にも違和感を感じず、ただ単に
毎日を消化する生活に、完全に慣れてしまっていたのだが、

それは突然に私の前に現れて来た。

・・・

会社の現場から上がり、本社勤めになってから、もう10年・・
なにも変わらない、いつもの流れの繰り返しだった・・

初夏のある日、突然に1通の電子メールが舞い込んでくる。
仕事上での問合せ?・・ 知っている女性からのメールだ!
そういえば、彼女とは昨日本社の廊下ですれ違ったなぁ・・
「久しぶりだね? 元気にやっているの?」など、社交辞令の挨拶を
交しただけで、なにも変わった事は無かったようだが・・

メールを読むと、仕事上でのトラブルが書かれている・・
その事について、相談に乗って欲しいとの内容だ・・
私は即座に返答を返していた。

「今度、本社に来る時を知らせてください。時間を取ります。」

彼女からの返信はすぐに届いた。
本社だと上司の目などもあるので、出来れば外で会えないか? との
内容である・・ 私の仕事は現場の支援が主な作業であり、現場での
トラブルには職務として対応する必要があった・・
事の重要さを感じた私は、次のようなメールを速攻で返信した。

「だったら、いつ、どこで会いましょうか?」

ちょっとドキドキしていた・・
会社以外で女性に「会いましょう」と言っているのと同じなのだ・・
仕事をしながら、メールボックスの確認をする・・
何度も・・ 何度も・・
やはり、文面がまずかったかなぁ・・ と少々後悔もする・・
相手は男性ではなく女性なんだから・・ 
でも、男女雇用均等法があるじゃないか・・
対等に扱わないほうがおかしい・・ 私は間違っていない・・

多分・・ そのはずだ・・  いや・・ ・・

こうなってしまったら、もう仕事が手につかない・・
メールボックスは見るが、他の仕事のメールばかりである・・
時間だけが過ぎていく・・ どうしたんだ・・
社外で会いたいと言ってきたのは彼女ではないか!
悶々とした時間が過ぎ、夕方の定時が近づいて来たとき、
メールボックスに新しいメールが届いた! 彼女からだ!・・

明日にでも郊外に出る私鉄の出発駅で待ち合わせしましょう、との内容だ!
私は即座にスケジュールを確認する。
明日は同じ方向の営業店に出かける予定だ! いけるぞ!

「では、その駅の改札で19時に会いましょう。」

と返信を書き、返送しようとしたが・・
いや待てよ・・ 返事を送るのが早過ぎないか?
まるで、彼女のメールを待っていたかのような即答は、
印象が悪いのではないだろうか・・ 
と 返信ボタンを押す手前で止まってしまった・・・

そんな事はない・・ きっと彼女はメールの返信を待っているぞ!
いいや・・ 速攻で返したら、暇なオヤジだ・・と馬鹿にされるぞ!

バカ!ちょっと待て! 何を考えているんだ・・ 仕事じゃないか・・
そうさ、彼女は困っているから、私に会いたいんだ!
自分に「仕事だ!」と言い聞かせ、彼女と会う約束のメールを送信した。

仕事だと割り切っているはずなのだが、帰り道では
彼女と初めて会った頃の事を思い出し回想を重ねる自分がそこにいた・・

10数年も前になるか、ある組織変更で同じ部署になったことがあるのだ、
と言っても、そんなに話をした訳でもなく、ただ、笑顔が可愛い、
洋服のセンスがある、おとなしい子だった事を思い出していた。

「仕事で会うんだ!」と思っているのだが、なにかワクワクして
早く明日にならないかな・・と考えている自分が面白くもあった・・


「(第2話)待ち合わせ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a0956c28ba3c0413de448371d2801d8に続く
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(2007/09/23 14:23)