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Re=response=応答、感応=物事に触れて心が動くこと。小田和正さんの大好きな曲からいただきました。

映画 「佐賀のがばいばあちゃん」

2007-05-28 | 観る、聴く

今月は、日本映画専門チャンネルを契約しているので、
少し前に話題になった映画を、いくつか遅ればせながら観ています。

「佐賀のがばいばあちゃん」
先日観た「東京タワー~オカンとボクと、ときどきオトン」もそうでしたが、
これだけ長く広く話題になるのがわかる気がします。
単なる懐古主義なんかでなく、
今の日本人が、ほんとうに欲しているものが、
そこにあるように思いました。

「拾うもんはあっても、捨てるもんはない」
「ケチは最低、節約は天才」
「暗い話は、夜するな」
「気づかれないようにするのが、ほんとうのやさしさ」

ばあちゃんの口から出る言葉には、ほんとに目の覚める思いです。
言葉は違っても同じようなことは、
子どものころから何度も聞かされた覚えがあるし、
こうしてあらためて聞いた言葉は、たしかに真理だと思える。
たぶん、多くのおとながそうなんじゃないかな。
ばあちゃんが言うような心のあり方が、
本来の日本人の姿、なんだと思います。
よその国の文化はいざ知らず、
まさにこれこそ、「美しい」というに値する心のありかた。
日本人が奮起して発達させた技術や文化によって、
あふれかえるほどのカネやモノや情報を手にし、
大切にすべき心を、日本人は手放してしまったのでしょうか。

ばあちゃんの言葉はもちろん印象的でしたが、
ほかに登場するおとなたちもまた、
ほんとうのやさしさをもった人たちでした。

明広が目当てにしている崩れた豆腐がなかったとき、
きれいな豆腐にそっと自分の指で傷つけて、
いつも通り半額で売ってあげた豆腐屋さん。
運動会の日、おかずのひとつもない明広の弁当を、
「先生は腹が痛いから」と言って、豪華なおかずいっぱいの弁当と
交換してくれた先生。
父を早く亡くし何も知らないから、正直に「知らん。」と書いた
父についての作文に、「100点」をつけてくれた先生。
中学最後のマラソン大会に、駆けつけてくれた明広の母を見つけて、
明広に伴走しながら「よかったなあ、よかったなあ」と、
ポロポロ、ポロポロ涙を流してくれた先生。

今の世の中で、こんなさりげないやさしさやユーモアで、
子どもの心を受け止めてくれるおとなが、どれだけいるでしょう。
わが身を振り返りつつ、おとなの心の余裕のなさを恥ずかしく思いました。
よく言われることではありますが、
昔のおとなは、ほんとうの意味でやさしかったし、厳しかったんです。
自分の子どもだけでなく、よその子どもたちにも。
そんななかで育つから、
当時の子どもだって反発もしただろうし、悪いこともしただろうけれど、
人として大切な心の基盤は、心のどこかにちゃんと育っていたのだろうな
と思います。
子どもの心の問題が深刻になって久しいですが、
ほんとに、けっして子どもが悪いわけでなく、親だけが悪いでもなく、
おとな全体に、相手の心のうちを想像する(=思いやる)力と、
そこから自然に生まれるだろう言葉や行動(=ほんとうのやさしさや厳しさ)が
欠けてしまっているのが、いちばんの原因じゃないかと思い至ります。
おとなが変わっていかなければ、
子どもは変わりようがない、けっして救われないです。

最近こういう作品が次々に、映画になり、ドラマになり、舞台になり、
たくさんの人が、それに笑って泣いて心に何かを感じられるのなら、
日本人もまだまだ捨てたもんじゃない、とわたしは思います。
みんな、今の社会どっかがおかしくて、なんとかしなきゃと思っている。
だから、今ならまだなんとかできる。
子どもたちやこれからの社会のことを心配するなら、
自分自身も含め、自分の心のありかたから変えていく必要がありそうです。

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