22日、今年度最後のおはなしの部屋に行ってきました。
4月からはわたしが朝からの仕事になるので、
4年間続けたおはなしの部屋も、わたしはこれが最後になりました。
週2回、朝の空気を感じながら、絵本の世界に吸い込まれるような
子どもたちのきらきらした瞳、かわいらしい笑顔、
「またきてね」のひとことに、どれだけ元気をもらってきたかわかりません。
仕事を始めることで、こんな満ち足りた時間を失うことになるのが、
とても残念で、子どもたちにも申し訳なくてしかたがないのですが、
来年度からもまだまだ仲間たちが続けてくれることだし、
わたしは4年間のしあわせを心の宝物にして、
あの笑顔たちを思い浮かべながら、
今度はあの子たちにおいしい給食を届けられるようがんばっていきます。
かたちは変わっても、ひきつづき子どもたちに関わっていけることは、
わたしにとってしあわせなことです。
「みんなありがとう。みんなだいすきだよ。」
胸いっぱいの思いをこめて、かわいらしい笑顔を心に焼き付けるようにして、
3月のおはなしの部屋をまわってきました。
<3年生>
「天の笛」
作:斎藤 隆介 絵:藤城 清治(佼成出版社)

この本、毎年この時期には読んでいますね。(07年の記録)
3年生にはもう1冊ぜひ読んであげたい本があって最後まで迷いましたが、
子どもたちが自らはなかなか手にしないだろうこちらの本を、
それでもわたしとしてはたくさんの子どもたちに知ってほしかったので、
選びました。
小さなツバメの大きな勇気と愛。
ツバメが命がけで運んだ春の美しさ。
藤城清治さんのすばらしい影絵とともに、子どもたちの心に残ってくれたら。
「ともだちからともだちへ」
作:アンソニー・フランス 絵:ティファニー・ビーク 訳:木坂涼(理論社)

こちらが迷った1冊です。
ですが、「感謝の会」のお礼としておはなしの部屋から3年生の学級文庫に
贈呈することになりました。(各学年1冊贈っています。)
おうちでパジャまんまのひきこもりになっていたクマネズミのところへ、
ある日すてきな手紙が届きました。
「・・きみはたいせつなともだち。・・」と書いてあります。
差出人が書いてないかったのですが、クマネズミはなんだか嬉しくなって、
手紙の差出人を探しに出かけます。
そして出かけた先々で、クマネズミはいろんなことに気づいていきます。
だれかがじぶんのことをたいせつにおもってくれているって、
なんだかいいきもちです。 (本文より)
クマネズミはそんな気もちを、今度は自分から大切な友だちに伝えて
あげようと思い立ちます。
読み終わったあと、心がぽっと温かくなります。
そして、そんな気もちをやはり誰かに伝えたくなります。
ともだちからともだちへ。ひとからひとへ。
温かい気もちがこうしてつながってつながって、
しあわせの輪が大きく大きく広がっていくといいね。
あ~あ、やっぱり読んであげたかったな(笑)
<2年生>
「ちょろりんのすてきなセーター」
作・絵: 降矢なな (福音館書店)

大すきなとかげのちょろりんシリーズです。
冒頭「もうすぐふゆがやってきます」の文が季節的にひっかかって
どうしようかなと思ったのですが、ちょろりんがひと目で気に入ってしまう
「はるのはらっぱいろのセーター」←このステキな響きの言葉だけでヨシ!(笑)
おつかいの途中のお店で見つけたはるのはらっぱいろのセーターに
ちょろりんはひとめぼれ。でもお母さんは買ってくれません。
あきらめきれないちょろりんは自分で買おうと思うのですが、
おこづかいではちょっと足りません。
そこで、おじいちゃんの仕事の手伝いをすることにしました。
がんばったお駄賃を手に、ちょろりんはお店に駆け込みましたが、
残念なことに、そのセーターはちょろりんには着られませんでした。
涙をぽろぽろ流すちょろりんに、気むずかしいことで有名な洋品店の
おばさんがしてくれたことは・・。
どうしても欲しいものを手にするためにがんばるちょろりんの気もち。
そんな気もちを汲んでくれるおじいちゃんや洋品店のおばさん。
子どもとおとなの気もちの交流が「はるのはらっぱ」のように
やさしくあたたかく感じられる絵本です。
ハッピーエンドに思わずほころぶかわいらしい2年生の笑顔が、
とても嬉しかったです。
「ことばのからくり つかまったのはだれ?」
文:大津由紀雄 絵:藤枝リュウジ (岩波書店)

鳥がたまごをうんだ
たまごからかえった鳥がたまごをうんだ
鳥がうんだたまごからかえった鳥がたまごをうんだ
たまごからかえった鳥がうんだたまごからかえった鳥がたまごをうんだ
・・・・・・ (本文より)
つぎつぎ文をかさねていく楽しさに夢中になる本です。
読むほうは大変です!(笑)早口ことばのようなものですから。
最初はぽかんとしている子どもたちですが、
その面白さに気づいてくると、目をきらきらさせて喜んでくれます。
ぼーっと聞いているだけではわからなくなります。
耳で言葉をよ~くとらえて想像を働かせていかないと。
「今のわかった?よ~く聞いてついてきてよ~!」と声かけすると、
「え~~?!」「わっかんね~~」「おもしれ~~」と言いながら、
子どもたちも真剣な表情で言葉を聞いてくれます。
にぎやかに、会を締めくくれました。
4年間続けた小学校での読み聞かせ。
最後のクラスは、偶然(リーダーさんのはからいだったのかな?)
2年生のおちびのクラスでした。
始めたころおちびはまだ保育園児で、ほんとはいけないことですが(汗)
「30分で帰るから、テレビ見ていい子で待っててね!」
と、実はおちびひとりで留守番させて出てきていました。
2年間だだの一度もぐずることなく、ほんとにおりこうに留守番して
協力してくれました。(ほんとは寂しかっただろうな。ごめんね~~。)
ようやく1年生になっておちびの教室で読んであげられるようになったときには
本人もとても満足そうで、ほんとうに嬉しかったです。
2年生になっても、毎回教室の入り口で迎えてくれました(笑)
やはり毎回楽しみにしていてくれた次男の卒業、そしてこのおちびの卒業まで、
ほんとうは続けてあげたかったのだけれど、
今度の仕事の縁も、わたしや家族にとってはとてもありがたいもの。
おはなしの部屋を辞めることに、ふたりともちょっと残念そうでしたけど、
わたしが給食の仕事をしていることはそれはそれで喜んでくれていたので、
理解してくれました。
学校での読み聞かせが始められたのは、幼いころから絵本を楽しんでくれた
3人の子どもたちのおかげ。
こうして続けてこられたのも子どもたちのおかげ。
ほんとうに感謝のきもちでいっぱい。
家庭での時間も含め、読み聞かせの14年間も、これでひと区切りかな。
それでもやっぱり、絵本のゆたかな世界にはきっとまたときどき
帰りたくなるだろうなと思います。
機会があれば、読み聞かせもまたしたいし。
絵本も、子どもたちも、
いつだってそこにいて、笑顔で迎えてくれると思います。