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Re=response=応答、感応=物事に触れて心が動くこと。小田和正さんの大好きな曲からいただきました。

4年間ありがとう。

2009-03-24 | おはなしの部屋

22日、今年度最後のおはなしの部屋に行ってきました。

4月からはわたしが朝からの仕事になるので、
4年間続けたおはなしの部屋も、わたしはこれが最後になりました。
週2回、朝の空気を感じながら、絵本の世界に吸い込まれるような
子どもたちのきらきらした瞳、かわいらしい笑顔、
「またきてね」のひとことに、どれだけ元気をもらってきたかわかりません。
仕事を始めることで、こんな満ち足りた時間を失うことになるのが、
とても残念で、子どもたちにも申し訳なくてしかたがないのですが、
来年度からもまだまだ仲間たちが続けてくれることだし、
わたしは4年間のしあわせを心の宝物にして、
あの笑顔たちを思い浮かべながら、
今度はあの子たちにおいしい給食を届けられるようがんばっていきます。
かたちは変わっても、ひきつづき子どもたちに関わっていけることは、
わたしにとってしあわせなことです。

「みんなありがとう。みんなだいすきだよ。」
胸いっぱいの思いをこめて、かわいらしい笑顔を心に焼き付けるようにして、
3月のおはなしの部屋をまわってきました。

<3年生>
「天の笛」
作:斎藤 隆介 絵:藤城 清治(佼成出版社)
 

この本、毎年この時期には読んでいますね。(07年の記録
3年生にはもう1冊ぜひ読んであげたい本があって最後まで迷いましたが、
子どもたちが自らはなかなか手にしないだろうこちらの本を、
それでもわたしとしてはたくさんの子どもたちに知ってほしかったので、
選びました。

小さなツバメの大きな勇気と愛。
ツバメが命がけで運んだ春の美しさ。
藤城清治さんのすばらしい影絵とともに、子どもたちの心に残ってくれたら。

「ともだちからともだちへ」
作:アンソニー・フランス 絵:ティファニー・ビーク 訳:木坂涼(理論社)


こちらが迷った1冊です。
ですが、「感謝の会」のお礼としておはなしの部屋から3年生の学級文庫に
贈呈することになりました。(各学年1冊贈っています。)

おうちでパジャまんまのひきこもりになっていたクマネズミのところへ、
ある日すてきな手紙が届きました。
「・・きみはたいせつなともだち。・・」と書いてあります。
差出人が書いてないかったのですが、クマネズミはなんだか嬉しくなって、
手紙の差出人を探しに出かけます。
そして出かけた先々で、クマネズミはいろんなことに気づいていきます。
   
  だれかがじぶんのことをたいせつにおもってくれているって、
  なんだかいいきもちです。           (本文より)

クマネズミはそんな気もちを、今度は自分から大切な友だちに伝えて
あげようと思い立ちます。

読み終わったあと、心がぽっと温かくなります。
そして、そんな気もちをやはり誰かに伝えたくなります。
ともだちからともだちへ。ひとからひとへ。
温かい気もちがこうしてつながってつながって、
しあわせの輪が大きく大きく広がっていくといいね。

あ~あ、やっぱり読んであげたかったな(笑)

<2年生>
「ちょろりんのすてきなセーター」
作・絵: 降矢なな (福音館書店)


大すきなとかげのちょろりんシリーズです。
冒頭「もうすぐふゆがやってきます」の文が季節的にひっかかって
どうしようかなと思ったのですが、ちょろりんがひと目で気に入ってしまう
「はるのはらっぱいろのセーター」←このステキな響きの言葉だけでヨシ!(笑)

おつかいの途中のお店で見つけたはるのはらっぱいろのセーターに
ちょろりんはひとめぼれ。でもお母さんは買ってくれません。
あきらめきれないちょろりんは自分で買おうと思うのですが、
おこづかいではちょっと足りません。
そこで、おじいちゃんの仕事の手伝いをすることにしました。
がんばったお駄賃を手に、ちょろりんはお店に駆け込みましたが、
残念なことに、そのセーターはちょろりんには着られませんでした。
涙をぽろぽろ流すちょろりんに、気むずかしいことで有名な洋品店の
おばさんがしてくれたことは・・。

どうしても欲しいものを手にするためにがんばるちょろりんの気もち。
そんな気もちを汲んでくれるおじいちゃんや洋品店のおばさん。
子どもとおとなの気もちの交流が「はるのはらっぱ」のように
やさしくあたたかく感じられる絵本です。
ハッピーエンドに思わずほころぶかわいらしい2年生の笑顔が、
とても嬉しかったです。

「ことばのからくり つかまったのはだれ?」
文:大津由紀雄 絵:藤枝リュウジ  (岩波書店)


  鳥がたまごをうんだ
  たまごからかえった鳥がたまごをうんだ
  鳥がうんだたまごからかえった鳥がたまごをうんだ
  たまごからかえった鳥がうんだたまごからかえった鳥がたまごをうんだ
  ・・・・・・                  (本文より)

つぎつぎ文をかさねていく楽しさに夢中になる本です。
読むほうは大変です!(笑)早口ことばのようなものですから。
最初はぽかんとしている子どもたちですが、
その面白さに気づいてくると、目をきらきらさせて喜んでくれます。
ぼーっと聞いているだけではわからなくなります。
耳で言葉をよ~くとらえて想像を働かせていかないと。
「今のわかった?よ~く聞いてついてきてよ~!」と声かけすると、
「え~~?!」「わっかんね~~」「おもしれ~~」と言いながら、
子どもたちも真剣な表情で言葉を聞いてくれます。
にぎやかに、会を締めくくれました。


4年間続けた小学校での読み聞かせ。
最後のクラスは、偶然(リーダーさんのはからいだったのかな?)
2年生のおちびのクラスでした。
始めたころおちびはまだ保育園児で、ほんとはいけないことですが(汗)
「30分で帰るから、テレビ見ていい子で待っててね!」
と、実はおちびひとりで留守番させて出てきていました。
2年間だだの一度もぐずることなく、ほんとにおりこうに留守番して
協力してくれました。(ほんとは寂しかっただろうな。ごめんね~~。)
ようやく1年生になっておちびの教室で読んであげられるようになったときには
本人もとても満足そうで、ほんとうに嬉しかったです。
2年生になっても、毎回教室の入り口で迎えてくれました(笑)
やはり毎回楽しみにしていてくれた次男の卒業、そしてこのおちびの卒業まで、
ほんとうは続けてあげたかったのだけれど、
今度の仕事の縁も、わたしや家族にとってはとてもありがたいもの。
おはなしの部屋を辞めることに、ふたりともちょっと残念そうでしたけど、
わたしが給食の仕事をしていることはそれはそれで喜んでくれていたので、
理解してくれました。

学校での読み聞かせが始められたのは、幼いころから絵本を楽しんでくれた
3人の子どもたちのおかげ。
こうして続けてこられたのも子どもたちのおかげ。
ほんとうに感謝のきもちでいっぱい。

家庭での時間も含め、読み聞かせの14年間も、これでひと区切りかな。
それでもやっぱり、絵本のゆたかな世界にはきっとまたときどき
帰りたくなるだろうなと思います。
機会があれば、読み聞かせもまたしたいし。
絵本も、子どもたちも、
いつだってそこにいて、笑顔で迎えてくれると思います。

お気に入りクリスマス絵本

2008-12-25 | おはなしの部屋

わたしとわが家の子どもたちが大好きなクリスマスの絵本です。

わが家に来て何年経つかもわからなくなりましたが、
いまだに見飽きることがありません。
クリスマスが近くなると、毎晩とっかえひっかえ読んだことが思い出されます。

「クリスマスの三つのおくりもの」   林 明子さく  (福音館書店)
  
林明子さんは、わたしの大大大好きな絵本作家さん。
これは、12cm×11cmのちいさなちいさな絵本3冊セットです。
絵といい、お話といい、サイズといい、ほんとにかわいらしいので、
クリスマスプレゼント(特に女の子)にとても喜ばれました。
うちは男の子ばかりですが、やっぱり大好きです。
かすみちゃん、もっくん、れいちゃんの3人きょうだい、
1冊ごとひとりずつが主役になるクリスマスのお話、3話。
きょうだいの表情やしぐさが、ほんっとに子どもらしくいきいきしていて、
ずっと眺めていたくなります。
お気に入りのページを開いて、ミニツリーやキャンドルと一緒に置けば、
かわいらしいクリスマスインテリアにもなっちゃいます♪

「サンタクロースと小人たち」 マウリ・クンナス作 いながきみはる訳 (偕成社)
 
遠いフィンランドの国で、クリスマスの日までそしてクリスマスの日を、
サンタクロースがどうやって過ごしているかを見せてくれます。
そこでは何百人もの小人たちが、みんなへのプレゼントを作ったり、
自分たちのクリスマスの準備をしたりして仲良く暮らしています。
細かくてカラフルで楽しい絵がたっぷり!
子どもたちはいつも穴が開くほど夢中になって絵を眺めては、新しい発見に
眼を輝かせます。大人でも夢中になりますよ。
この1冊で楽しい気分になれること間違いなし♪

「クリスマスのつぼ」  ジャック・ケント作・絵 清水真砂子訳  (ポプラ社)

こういう絵本もぜひ手にとってほしいなと思って紹介します。
雪も降らなければサンタもいないメキシコにも、とてもユニークで楽しい
クリスマスの行事があります。
ひびの入った素焼きのつぼ。役に立たないので庭の片隅にほっぽられて
いたのですが、クリスマスピニャータにしてもらえることになり大喜び。
でも、きれいに飾ってもらいみんなに喜ばれたあとは割られてこなごなに。
ごみすて場で悲しんでいると、ふだん水汲みなどに大活躍していたつぼが
割れてしまったというので同じように捨てられました。
そのごみすて場でつぼのかけらたちが交わす会話がとてもすてきです。

 「なんだっていつかはこわれるんだよ。」
 「ぼくたち、おんなじようにうまれて、おんなじようにおわったんだね。」
 「だれもみんな そうなんだよ。」
 「それで めいめいやくにたったんだね。」
 「そうだよ。だれだって みんなそうなんだ」
 
 ごみのやまは、いっせいにしあわせなためいきをつきました。
 だれにもみんな それぞれにねうちがあるとわかって うれしかったのです。 
                             (本文から抜粋)


クリスマスを子どもたちと楽しく祝えるしあわせに感謝します。
クリスマスすら知らない子どもたちにも等しく、今宵はささやかなしあわせが
届きますように。

おはなしの部屋 10月(5年)

2008-11-07 | おはなしの部屋

スタイグの絵本は大好きです。
夫婦、きょうだい、家族の互いに互いを思う気もちがベースに
なっているものが多くて心温まります。
一方ユーモアも盛り込まれているし、ちょっととぼけたタッチの
絵も素朴で好きです。

「ちいさくなったおにいちゃん」
   作・絵: ウィリアム・スタイグ
   訳: 木坂 涼            (セーラー出版)


錬金術師のお父さんがお母さんと1週間留守にしている間に、
こっそりと禁じられている実験をしていたお兄ちゃんが、
失敗して小さな小さな小人になってしまいました。
弟は、おもちゃみたいに小さくなってしまったお兄ちゃんが
面白くてかわいくて夢中になってお世話をしてあげます。
いつもはいばりんぼうで相手にもしてくれなかったので、
お兄ちゃんがこのまま小さいままだったらいいのに、とさえ
思えたりします。
でもだんだん、お兄ちゃんが本当に困っていることに気づき、
お兄ちゃんが元に戻れるように協力します。
ところが、ふたりでどんなにがんばっても、優れた錬金術師の
お父さんが奮闘しても、どうしても元に戻れません。
みんなががっかりしていると、弟はお兄ちゃんが飲んだ薬を
自分も飲んで一緒に小さくなると言い出し、お母さんまで
同じように自分も小さくなればふたりの世話ができていいわと
笑います。お父さんには叱られてしまいますが。
しんとした食事の時間、お兄ちゃんは大事なことを思い出し、
お父さんの錬金術のおかげでようやく元の姿に戻れました。
家族は揃って大喜び。
そしてふたりとも兄弟がいて本当によかったと思うのでした。

いばりんぼうの兄、おっとりと気のやさしい弟。
日ごろ仲が悪くても、いざいなくなったり様子が違ったりすると、
とたんに寂しくなったり不安になったりするものですよね。
元に戻ると、そんな気もちもあっという間にどこかに吹っ飛んで
しまうのですが(笑)
明るくておおらかなお母さん。威厳のあるお父さん。
これもとてもいいバランスで素敵です。
「ロバのシルベスターとまほうのこいし」でもそうですが、
家族が大ピンチのとき、それぞれがどんな気もちになるか、
それをどう乗り越えようとするのか、身につまされます。
胸がきゅうんとなって、その分ハッピーエンドが心から嬉しく
思われます。

家族っていいなと思わせてくれる絵本です。

おはなしの部屋 10月(1年)

2008-11-07 | おはなしの部屋

はや11月ですが、先月分やっとアップします。
10月は1年と5年を担当、
さらに3年生の先生からの依頼で授業の一環として、世界の民話を
何冊か紹介に行きました。

まず、1年生。
低学年の場合、短めのものを3~4冊読みます。
1回でバラエティに富んだラインナップを組めるので、
子どもたちの反応を想像しながら選書するのがとても楽しいです。

「しゃっくりがいこつ」
    作: マージェリー・カイラー  絵: S.D. シンドラー
    訳: 黒宮 純子           (セーラー出版)

なかなかリアルな絵姿のがいこつくんに、
最初はどこのクラスでも「がいこつだあ!」とひと騒ぎ。
がいこつくんは朝からしゃっくりが止まりません。
その苦しさといったら・・子どもたちも当然経験がありますから
ついつい盛り上がっちゃいます(笑)
その様子を見るのは楽しいのですが、
「ヒック、ヒック・・」しゃっくりのマネしながら読むのって
大変なのよ~~(笑)
がいこつくんがしゃっくりしながら、庭の落ち葉かきをしたり、
かぼちゃちょうちんを作ったりと、さりげなく季節感も盛り込まれて
います。

「ねんどぼうや」
    作: ミラ・ギンズバーグ  絵: ジョス・A・スミス
    訳: 覚 和歌子           (徳間書店)    

「しゃっくりがいこつ」を読み終えると「全然怖くなかった~!」
と1年生くんたちは言います(笑)
なので、今度はほんとに怖い話にしちゃいますよ。
でも、表紙はかわいい「ねんどぼうや」の絵なので、子どもたちは
やっぱり「怖くないよ~」と言います。
だけど・・読み進むうちに子どもたちの顔は真剣になってきます。
かわいかったねんどぼうやがどんどん大きくなって、
村中の人たちや家畜を食べて尽くしていってしまうのですから。
「え~」「うわ・・」「きもっ」 反応が面白いです(笑)
それでも最後はちゃんと「めでたしめでたし」になるわけで、
子どもたちは「怖くなかったあ」と口々に言うんです。
・・めっちゃビビってたやん!(笑)

「ぼく、お月さまとはなしたよ」
    作・絵: フランク・アッシュ 
    訳: 山口 文生          (評論社)

今月のいちおしです♪
この季節には必ず取り入れるお月さまシリーズ。
いい本が見つかって嬉しかったです。
お誕生日を迎えたくまくんは、
お月さまにも誕生日プレゼントをあげたいなと思います。
お月さまが何を欲しいのか聞きたくて、山に登ります。
くまくんとお月さまの対話、実はくまくんとやまびこ。
くまくんの勘違いとプレゼントを交わし合う顛末が、
ほのぼのとしてほんとにかわいらしいお話です。
女の子を中心に、お顔がほっこり笑顔になってきてかわいい!
くまくんとお月さま(やまびこ)の会話は、読み手にちょっと
工夫がいると思いますが、それが楽しいです♪

「いかたこつるつる」
    作・絵: 長 新太       (講談社)

じっくりお話を聴いてもらったので、最後はナンセンス絵本で
楽しく笑ってもらいます。
昨年の「おはなしキャラバン隊」で大好評だった本。
今年の1年生は知らないのでね。
あの時のように「つるつる、ちゅるちゅる」食べる手マネをしたら
もっと盛り上がれたかも。
今回は紙芝居じゃないからできなくてちょっと残念。


今月も楽しんでもらえたよかった!
1年生の子どもたちもすっかりわたしの顔と名前を覚えてくれて、
外でも出会うと声をかけてくれるようになりました。
ありがとう♪ とっても嬉しいです。

おはなしの部屋  9月 (6年)

2008-10-06 | おはなしの部屋

先月の6年生、なかなか決まらなくて二転三転の結果、
結局初志貫徹ってことで。
他のメンバーはまず選ばない、子どもたちが自ら手に取ることもなかろう
タイプの本を(笑)
6年生だから、たまにはこういう本もね・・。

「みんなの空 みんなの心」
   パム・ライアン/作 メアリー・ホワイト/絵 橋本和/訳
                        (エヌ・ティ・エス)
     

互いにまったく見識のない、世界各国から集まった子どもたちが、
「仲間づくりハイキング」を通して、互いを理解することに始まり、
平和とはどういうことか、そのためにどうすればいいのかを
自分たちで探り出します。
「仲間づくりハイキング」では、
少年少女が5人で1組となり、リーダーから話し合いのテーマを
与えられます。みんなでひとつの結論を導き出せたら、次の場所、
次のテーマに進めるという一種のゲームです。

テーマは、
「嵐の前の空の色は?」というものから、
「恐怖の音は?」「憎しみはどんな味?」「幸せのにおいって?」
・・・と続きます。
暮らしている環境も文化も違う子どもたちからは、
互いに思ってもみなかった意見が出てきます。
彼らは最初そのことに驚きますが、次第に、
どんな問題にも答えはひとつでないことに気づきます。
そして、人の話をよく聞くことは互いをわかり合うことに繋がる
ことを学んでいきます。

いくつかの話し合いを経て、互いをより深く理解し合い、
今こうして集うことのできる幸せをそれぞれが感じはじめた頃、
リーダーから最後のテーマが与えられます。
「平和を手の中に掴んだときの感じは?」
いろいろな意見が出るうち、ある少年の意見にみなが賛同します。
「そのときぼくは、誰かの手を感じると思う」
5人は手と手を重ね合わせて、平和とその幸せをそれぞれの心に刻み、
「仲間づくりハイキング」を終了します。

メアリー・ホワイトの絵にも心惹かれます。
子どもたちの表情や彼らの歩く森が、水彩のやさしく瑞々しい筆で
いきいきと描かれています。

おはなしの部屋 9月(3、4年)

2008-09-16 | おはなしの部屋

2学期、おはなしの部屋もさっそく再開です。
今月は、3・4・6年生を担当します。
今月3・4年の選書のテーマは、季節にちなんで、
「夏休みの思い出」「月」「おじいちゃん・おばあちゃん」
としてみました。

まず4年生。
「ウエズレーの国」
   ポール・フライシュマン作 ケビン・ホークス絵 
   千葉茂樹訳              (あすなろ書房)

  今月のいちおし!大好きです、この絵本。
  夢がいーっぱい、ワクワク度満点。
  街の子どもたちとはちょっと外れているウエズレー。
  彼は夏休み、庭に不思議な新種の作物を育てたことに始まり、
  新しい言葉、文字、数の数え方に至るまであらゆる物事を
  自ら考案し、自分の国「ウエズランディア」とその特別な
  文明を創り上げます。これが彼の夏休みの自由研究。
  そのユニークさと逞しさがほんとにステキ!
  そして彼はその自分だけの国に閉じこもることなく、
  元いじめっこたちも招き入れます。夏休みが明けて、
  「ウエズレーは、もうひとりぼっちじゃなかった!」
  最後の一文が、嬉しいです。

  ケビン・ホークスの絵もまたすばらしいです!
  みごとな色使いで、なんとも爽やかなまぶしいばかりの真夏の
  空と光と影。風まで感じられるようです。
  ありのように低い目線だったり、鳥のように俯瞰していたり・・
  ウエズレーの世界がぐんと迫ってきます。

「いろながれかたちうごいて ぱぴぷぺぽ」
   元永定正 文・絵          (光村教育図書) 

  「もこもこもこ」や「がちゃがちゃどんどん」で人気の
  元永さんのユニークな絵本。
  こんなふうに自由に大胆に、絵の具遊びができたらいいね。
  色やかたちを、言葉(音)に変換する楽しさもいっぱい。
  今月のテーマとは関係ないけど、息抜きの一冊。

3年生。
「雷の落ちない村」 三橋節子 文・絵      (小学館)

  夏休みの終わりごろは、このあたりでもずいぶん雨雷が暴れ
  ました。タイトルを読むと「いいなあ!」って口々に(笑)
  どんなお話か興味深々の顔で聴いてくれました。
  琵琶湖のほとりの小さな村の昔話。
  その村にはしょっちゅう雷が落ちるので、村人たちは大変
  困っていました。そこで村一番のいたずら小僧が一念発起、
  雷を退治しようと立ち上がります。  
   
  三橋節子さんの独特な力強い挿絵と、関西弁の語り口もまた
  子どもたちにはずいぶん新鮮だったようです。

「おじいちゃんの木」
    内田麟太郎 文  村上康成 絵   (佼成出版社)

  敬老の日にちなんで、ほんわか心あたたまるかわいいお話。
  「おじいちゃんの おじいちゃんの おじいちゃんに
   あいにゆくんだよ♪」
  こざるのもんちゃんは、ごきげんで歌を歌いながら、
  自転車をきこきここいで行きます。その行く先々でみんなに
  おじいちゃんはそんなに長生きできないよ、と言われます。
  でも、もんちゃんは平気。もんちゃんが会いに来たのは・・
  おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんが植えた「木」
  おじいちゃんの木ともんちゃんの会話がすてきです。
  そして、もんちゃんも・・。
  
  前のほうに座っていた女の子が終始ニコニコ聴いててくれて、
  あんまりかわいいので、思わずうるうるっときちゃいました。

「リスとお月さま」
   ゼバスティアン・メッシェンモーザー作 
   松永美穂訳              (コンセル)

  月のお話はたくさんあるけれど、子どもたち毎年いろいろ読んで
  もらっているので、新しいのを探すのもひと苦労(笑)
  でもこれ、自分のなかではなかなかヒット♪です。
  ある日、リスはびっくりして目をさましました。お月さまが
  リスのいえに落っこちてきたからです。お月さまを盗んだと
  思われては大変、捕まって牢屋に入れられちゃう!どうにか
  しなくちゃ。リスの奮闘と時々挿入されるリスの嫌な想像図が
  とても愉快。最後には、月がぼろぼろに・・。
  でもこの月、なんだかおかしくない?

  この月はいったい? その謎解きは、この物語の始まる前、
  実は表紙の見開きから数頁に渡って描かれているのです。
  わたしも最初は全然気がつかなかった~(笑) 
  動物たちの細かい表情が、とってもかわいくて面白いです。


最近は手持ちの絵本も使えるものは出し尽くした感があるので、
市の図書館や公民館に探しに行きます。
あらかじめ検索しておいて出かけるときもあれば、その場で
手当たり次第というときもあります(そのほうが多いかな。笑)
学年と季節を考え合わせながら選びますが、なかなかピンと来る
ものに出会えないときは、1時間も2時間も本棚に向かってます。
でも今月は、すっごい速かった!
手にするもの手にするもの、どれもこれも「これいい♪」って即決!
大当たりの日でした。いやあ、気もちのいいものです(笑)

でも、、6年生の選書には苦戦。
このときいったん決めたものが、やっぱり気に入らなくなってしまって。
今週金曜日なので、ちょっと焦っています・・
今日は図書館お休みだし。
今のところ、自前の本2冊を仮押さえしてあるけど、
さあ、どうしましょうか・・。

おはなしのへや 6月(1・5・4年)

2008-07-02 | おはなしの部屋

6月、小学校では「あじさい読書月間」でした。
そして6月は、梅雨、虫歯予防月間でもあります。
「雨(天気)」「歯」をテーマに、本を選んでみました。

・1年生
「あめがふるひに・・・」
   珍しい韓国の作家さんの絵本です。
   絵は白黒ですが、大きく迫力があってイキイキしています。
   はらはら、ザーザー、・・いろんな雨が描かれます。
   こんな雨の日の、動物たちの過ごし方が楽しいです。

「歯がぬけた」
   1年生って、上下の前歯が生え変わるころです。
   にこっと笑ったお顔に、歯抜けさんの多いこと!
   抜けたところにコーンやストローつっこんだり・・
   やるやる、みんな一度はやるよね(笑)
   だからみんなで大盛り上がり。
   これから出てくる永久歯、大事にしようね。

「かっこわるいよ!だいふくくん」
   おいしそうな和菓子がいっぱい出てきます。
   でもみんな自慢がしたくて、だいふくをからかいます。
   そんなときネズミが和菓子たちを襲います。
   だいふくは勇気を出してみんなを救いました。
   でもそのあとだいふくは・・。
   だいふくの勇気とやさしい心に胸がきゅんとなります。
   
・5年生
「あしたのてんきは はれ?くもり?あめ?」 
   5年生は今理科で、天気を勉強中です。
   新聞の天気予報を集めたり、天気を占う言い伝えを調べたり。
   そんな5年生にぴったりの本が家にありました。
   空をよーく見て。雲や風をよーく感じて。
   「ゆうやけははれ」「うろこぐもがひろがるとあめ」など・・
   わかりやすくその根拠も説明してあります。
   興味深そうに聴いてくれました。

「ともだち」
   ともだちってどんなひと?
   ともだちならどうしたらいい?
   ともだち関係がだんだん複雑になりつつある年頃。
   自分とともだち。ちょっと考えてみてくれたらいいな。
   そして、まだ会ったことのない世界の子どもたちも、
   ほんとはみんなともだち。
   おたがいにちょっと思いをかけることで、
   みんなみんな、いいともだちになれるよ。

・4年生
「歯いしゃのチュー先生」
  ネズミの歯医者さんを訪れたのはひどい虫歯のキツネ。
  虫歯を抜いてもらったとたん、キツネはとんでもないことを
  思いつきます。
  チュー先生、ひと晩知恵を絞って、悪いキツネをぎゃふんと
  いわせることに成功しました。
  お話の展開が面白くて、子どもたちの目がきらきらしてくる
  のがわかります。 

「てんぐだいこ」
  たまには日本の昔話を。
  不思議なたいこをぽんぽんと叩くと、鼻がぐんと伸びます。
  ある日、げんごろうはどこまで鼻が伸びるだろうかと
  たいこを叩き続けると、なんと雲まで届いてしまいました。
  そこでかみなりに出会い・・。
  いなづまを起こしたり、くもをかき集めたり、
  かみなりの仕事の手伝いは大変です。


子どもたちにも、季節感や伝統の文化を大切にしてほしいから、
必ず1冊は、その季節、行事にちなんだものを取り上げるように
心がけます。
さあ、はやくも7月。急いで選書をしなくっちゃ♪

5月の「おはなしのへや」

2008-05-29 | おはなしの部屋

今月は、3年・2年・特殊学級を訪問しました。
ふつう、学年ごとに違う本を選ぶのだけれど、
今月は敢えて同じにしました。

「おんぶはこりごり」
「母の日」にちなんで。
お手伝いしなくっちゃって思ってくれたかな(笑)
お話ももちろん楽しいのですが、
この絵本は見れば見るほど発見があって夢中になります。
おうちではママだけが働いてて、
おいしいものをお腹いっぱい食べるだけのパパと息子たちは
「ぶた」になってしまうのですが、ほかにも家のなかの
ありとあらゆるものがどんどん「ぶた」になってしまうのです。
花柄だったはずの壁紙やソファ、家族の写真や壁の絵、
花瓶や電話や水道の蛇口にパパのベストのボタンまで!
学校の読み聞かせだと、そこまで探しきれないだろうけど、
気がついた子たちは、目をキラキラさせて喜んでいました♪

「うまそうだな、ねこ」
池にたった1匹のだいじな魚が、ある日からどんどん進化
していきます。手足が生えて、牙も生え・・
そう、大キライなねこを見返してやるため!
一方、魚が大好きなねこは、この信じられない魚の進化に
怯えています。もちろん子どもたちもびっくり目々(笑)
奇想天外な発想と、魚と仲良しになりたいねこの気もちが
とってもかわいいなと思います。

「おべんとくん」
5月は連休明けの「おべんとうの日」や運動会など、
子どもたちには、おべんとうが嬉しい季節です。
幼児向けですが、みんなはとっても気に入ってくれたようです。
慌てておうちを飛び出したおべんとくん、中身はからっぽ。
おにぎり、たこさんウイナー、たまごさんが、
あとから急いで追いかけてきます。
絵本はおべんとくんのおなかが穴あきになっているので、
到着した順におべんとくんの中に入っていくしかけです。
みんなが「よーいどん」でかけっこ、というのも、
運動会の季節にぴったりでした♪
子どもたちと一緒に見ていた先生まで、
にっこり笑顔になったのが嬉しかったです。

今年度も始まりました。

2008-05-08 | おはなしの部屋

おととい8割がた書き終えたところで、一瞬にして消えた記事。
一から書き直すか・・。

はや5月となってしまいましたが、
「おはなしのへや」は、今年度も先月からスタートしています。
4月は、1年生の3クラスだけを集中してまわりました。
今年の1年生は、どんな子たちかな?
毎年、1年生を初めて訪れる日はとっても楽しみです♪

1巡目に、読んであげた本のラインナップは次のとおり。
「ほんがすき」
毎年、1年生の読み聞かせ初回のいちばん最初に読むことにしています。
テレビを消して、ほんを開いてごらん。
ほんを大好きになってくれますように・・と願いをこめて。
「うきうきしたら」
今月いちばんのお気に入り。
「犬が飛べるわけがない」とみんなに否定されてしまってしょんぼりのシドに、
最後の展開がとっても嬉しいんです♪
「パパが飛んでる!」「犬だって、空を飛べるんだ!」
大人の理屈で慰めるでも理解させるでもなく、夢を夢のまま信じさせてくれる、
すてきな絵本に出会えました。
みんなも、空を飛んじゃうくらいうきうき学校に来られたらいいな。
「うちのかぞく」
おかあさんが怒ってきつねに、おとうさんが酔っぱらってタコに・・。
じゃおばあちゃんは? 
みんなの顔、どんどん笑顔になっていくのがわいいです。
「うちのかぞく みんなでわらったら
 ぽかぽかになっちゃって おひさまになっちゃった」
単に笑えるだけじゃなくて、これがいいんです♪
「へんなおにぎり」
子どもたちに大人気の長新太さん。困ったときの1冊にもってこい(笑)
おべんとうの多い季節。
みんなも自分のおにぎりづくりに挑戦してほしいな。
「ちびゴリラのちびちび」
この絵本も、1年生の読み聞かせ初回に読んであげるようにしています。
おとうさんも、おかあさんも、おばあちゃんもおじいちゃんも、
せんせいもおともだちもみんなみんな、
きみのことがいつだって大好きなんだよ、って伝えたいから。

月の下旬、2巡目。
ちょっとバラエティの幅を広げてみました。

「おばけのウー」
「ああしなさい」「こうしなさい」「それはしちゃだめ」・・
1年生くんたちもおうちでうんざりしているのかな(笑)
でもやっぱりおうちがいちばんだよね。
カラフルでポップな絵で、明るい気分になります。
「ねえ、どっちがいい?」
「どれもいい!」から「どれもいや~!」まで、究極の選択に大盛り上がり。
自分の妥協点(笑)とにらめっこしながら、けっこう真剣に考えてる
子どもたちの顔がかわいい♪
もっと考える時間やお互いの意見を聞く時間をあげられたら、楽しいだろうな。
「ねこのき」
すっかりヒートアップさせてしまったので、
ものがたりでクールダウン。
えらいね!ちゃんとしずかになって、しっかりおはなしを聞いてくれました。
パステルの素朴な絵とやさしいことばづかいが、とてもあたたかいです。
「がちゃがちゃどんどん」
わたしも子どもたちも大好きな本です。これも困ったときの1冊(笑)
音を絵にするっておもしろい!
ちょっと上の学年の子どもたちでも、興味津々の顔で聞いてくれます。
1冊体験したら、絶対自分でも音を描いてみたくなる!
「みんなも、音を絵に描いてみてね!」ってかならず最後に言っています。
時間の都合上、1組さんしか読んであげられなかったので、
ほかのクラスはまたの機会にね。

今年の1年生くんたちもみんなとってもおりこうさんで、
しっかり本に集中してくれました。
お話に一喜一憂のきらきらお目目がとってもかわいい!
小さい子って反応がはっきりしているから、こっちも嬉しいです。
朝の15分、元気に大きな声出して絵本を楽しんでくると、
そのあと1日が、とってもいい気分です。
今の仕事をフルタイムにしたい、しなきゃあなあと思うのだけど、
(だんだん教育費も嵩んできたからね~)
子どもたちと絵本の楽しい時間を、なかなか棄てられません・・。
せめてもうあと1、2年は続けたいなあ。(いいのかなあ。。)

ま、そんなことはさておき、、
明日からは、3年、2年と続きます。
今朝は図書館でばっちり?選書を楽しんできました。
明日も子どもたちの瞳をキラキラさせられるかなあ!

おはなしのへや (10月・おはなしキャラバン)

2007-11-07 | おはなしの部屋

すっかりupをさぼってしまいました・・。

9月は、二男のケガのため毎朝眼科に通院していたので、
お休みさせてもらいました。
10月から復帰。夏休みもはさんでいるので、とても久しぶりな感じでした。
その10月、こんな楽しい企画もありました♪

<本と遊ぼう 全国訪問おはなし隊>

全国で大人気のおはなしキャラバンカーが、
とうとうわが小学校にもやってきてくれました!
写真のような大きなトラックに、約550冊もの絵本を載せています。
キャラバンカーの扉が開くと、そこは夢のような絵本のお部屋♪
低い本棚の上のホワイトボードには、
絵本作家さんたちの直筆サインやイラストも。
わたしたち、おはなしの部屋のメンバーもつい興奮。
「このまま乗っていってしまいたい~!」とか
「うちの庭に置いてって~」とか(笑)

朝早くに到着した赤いキャラバンカーは、
さっそく校庭で大きく扉を開いてステップを下ろし、
大きなブルーシートを広げました。
青空のもと、子どもたちはここで、
キャラバンカーの図書室から見つけてきた好きな本を読みます。

1~3年生が、学年ごと順番にキャラバンカーに入ります。
待ちの学年は、視聴覚室で読み聞かせをしてもらいます。
わたしたちは、ここでお手伝いに参加させてもらいました。
最初の15分をおはなしのへやメンバーで、
残りの15分をキャラバン隊長が、読み聞かせをしました。

わたしは、おちびがいる1年生を担当。
ふだんの1クラスごと教室での読み聞かせとは違い、
1学年90人強が相手なので、大型絵本を使いました。
わたしがこの日選んだのは、
「キャベツくん」
「おばけパーティ」
パートナーが選んだのは、
「しりとりのだいすきなおうさま」
「ぴっけやまのおならくらべ」
キャラバン隊の隊長が持参したのが、
「おおきなもののすきなおうさま」
紙芝居「いかたこつるつる」

1年生ってほんとにかわいい!!
くりっくりのお目目で絵本に集中してくれて、
それこそ1ページ1ページ、ひとことひとことに、
すっごく反応してくれて・・。
あんまり楽しんでくれるので、こちらも俄然ノッてしまいます(笑)
ほんと、楽しかったーー!!

また、この1年生たちのキャラバンカーでの様子を、
読み聞かせをやっている3階の教室から見ていました。
うちのおちびも、すぐわかりました。
みんな楽しそうに、好きな本を出してきて、
お友だちや先生とおはなししながら読む子、
ひとりでじっくり読んでいる子、
指で文字を追いながら読んでいる子・・
本を読まないで遊んでいる子なんていませんでした。
暖かないいお天気に恵まれて、ほんとによかったです。

この全国訪問おはなし隊、講談社さんが主催していますが、
2台のキャラバンカーに分かれて1月ずつ、全国の都道府県を回り、
あらかじめ希望抽選に当選した幼稚園、保育園、小学校などを主に、
方面します。
10月は愛知県の月、毎日県内各所を回っているそうです。
うちの学校に来てくれたキャラバンカーは、
午後からはまた隣市の保育園を訪問するとのこと。
キャラバン隊といっても、運転手のお兄さんと隊長の女性のふたりきり。
おはなし会終了後も急いで撤収作業、
少しだけお話をさせていただきましたが、
ゆっくり休憩することもなく出ていかれました。

いろいろなご苦労も多いと思いますが、
全国の子どもたちに夢を運ぶ、ほんとにステキな活動だなと思いました。
その功績を認められて、今年菊池寛賞を受賞されたそうです。
うちの学校の子どもたちも、わたしたちも含めて、
この活動に注目し応募してくれた先生と、校長先生たちのご理解のおかげで、
こんな楽しい経験をさせていただけました。
しあわせだな~~。
これからもこの活動がずーっと続けられて、
毎日全国のどこかで、子どもたちが絵本の世界に目を輝かせていられますように。