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Re=response=応答、感応=物事に触れて心が動くこと。小田和正さんの大好きな曲からいただきました。

おはなしのへや (7月・1年) 

2007-07-15 | おはなしの部屋

はや1学期の「おはなしのへや」も最終となりました。
楽しみに待っているおちびのところに、
もういちど行くことができて、よかったです。

先週は雨が降ったりやんだりの毎日が続きました。
「せんたくものが乾かない~って、お母さん困ってない?」って聞くと、
「言ってる~」「扇風機まわしてかわかすんだよー」などなど
口々に教えてくれました。
そこで、こ~んなことができたらいいな♪の本を。

「くもりのちはれ せんたくかあちゃん」
     さとうわきこ 作・絵 (福音館書店)
  雲の上は晴れだから、大凧をあげて雲の上に干しちゃおう!
  せんたくが大の大の大好きなかあちゃんの、
  こんな面白い発想が、子どもたちの目を丸くします。
  前作「せんたくかあちゃん」もそうですが、
  どんどん干されていくせんたくものの、細か~い絵が
  楽しいんですよね。子どもたちは実によ~く見ています。
  そして、今作にもかみなりさんたちが登場します。

「へんなおにぎり」
     長 新太 作  (福音館書店)
  息抜きに、短いナンセンス絵本。
  雲のかたちが手に見えます。
  そしたら、その雲の手が、山をおにぎりにしちゃいました。
  次に町へでかけたく雲の手は、今度は何をおにぎりにするのかな。
  「ありえ~~ん」と大笑いする子どもたちの顔を見るのが、 
  とっても楽しいです。

「ちいさな くれよん」
     篠塚かをり・作 安井淡・絵 (金の星社)
  折れて短くなって捨てられた黄色のくれよん。 
  それでもまだ何かの役に立てるかも、と外の世界に出かけます。
  自分のからだをどんどん使って、みんなをしあわせな気もちに
  してあげたくれよん。とうとう豆粒ほどになってしまいました。
  そのとき、夜空にひとつ、輝きの鈍い星を見つけたくれよん。
  自分のからだを全部使ってでも、あの星を明るく元気に光らせて
  あげたい。そう思った小さなくれよんに、大きな大きな力が
  わいてきました。

  あたたかいタッチの絵と文と、
  くれよんの気もちが、とってもとっても大好きな絵本です。
  子どもたち、最後はし~~んとなってしまいました。

「ひよことあひるのこ」
     ミラ・ギンズバーグ・文
     ホセ・アルエーゴ、エーリアン・アルエーゴ・絵
     さとうとしお・訳   (アリス館)

  これも、毎年1・2年生には必ず読んであげる、大好きな絵本。
  いっしょに生まれたひよことあひるの子。
  ひよこは、先に生まれたあひるの子を見て、
  なんでもマネをします。
  あるとき、あひるは川で泳ぎに飛び込みます。
  「ぼくも!」さあ、ひよこはどうなるかな?
  あひるは、溺れたひよこを助けたあと、
  また川へ泳ぎに出かけます。
  ひよこは・・「ぼくやーめた!」
  といって、ちょうちょを追いかけに行きます。
  このひとことが、いいんですね。  
  いつも仲良し、何でも一緒、もいいけれど、
  何でも同じにできるわけじゃない、
  「自分は自分」であることも大事なんですよね。
  そんなことがいつかわかってくれたらいいな~と思って読んでます。

もうすぐ夏休み。
みんな、いい本にたくさんめぐり合えるといいな。
わたしも、この時期選書に迫られることはないけど、
できるだけ、いろいろな本を手にとってみようと思います。

おはなしのへや (6月・4年生)

2007-07-03 | おはなしの部屋

「カッパのごちそう」
   阿部夏丸・文 渡辺有一・絵   童心社

「カッパのごちそうって、なんだかわかる?」
と、4年生の子どもたちに聞いてみました。
どのクラスでも「きゅうり!!」と、決まって答えます。
面白いですよね~。
カッパって、いちおう想像上のいきものでしかないのに、
その姿・顔かたち、大好物にいたるまで、
ほとんどの子どもたちは、似たようなイメージでもって、
小さなころから知っているんですよね。

でも、このおはなしでは、ごちそう=きゅうり じゃないんです。

主人公の「ぼく」は、
お父さんに買ってもらったシュノーケルをもって、川へでかけます。
ところが、魚たちをおいかけているうち、深みにはまって
溺れそうになってしまいました。
それを助けてくれたのが、この川に住む「カッパ」
カッパは、いろいろなカッパの術をぼくに教えました。
そのおかげでぼくは、川あそびを満喫しました。
そして岸で休んでいるとき、
カッパはぼくに、ステキなことを教えてくれました。

「カッパのごちそうは、川で遊ぶ、子どものきもち。」

カッパは、川ではしゃいだり、魚をおいかけたり、
夢中で遊ぶ子どもたちを見ると、おなかがいっぱいになるんですって。
この本は、このひとことで決めたようなものです!
ステキですよね~~!

でも、川で遊ぶ子どもがいなくなっちゃうと、
「カッパはやせ細って、やがて消えてしまうんだろうなあ」
と、カッパはつぶやきます。
なるほど・・・
それで、今ではカッパが想像上のいきものだなんて
言われるようになったのかなあ、などと本気で思ってしまいます。

ぼくは、来年の夏には、友だちをたくさん連れてきて、
この川でいっぱい遊ぼうと、心にきめたようです。

うちの小学校の近くには、矢作川という大きな川が流れています。
恒例の人気行事のひとつに、「矢作川の集い」というものがあります。
この川の河川敷へ、全校生徒が訪れて、
雑木林のなかで基地を作ったり、砂浜で土器を見つけたり、
砂のアートを創ったり、川に入って生き物を探したり・・
子どもたちがそれぞれに、川遊びを楽しみます。
また、今回訪れた4年生のなかには、
総合学習の選択で、今週末、手作りいかだで川を下る大会に
参加する子どもたちもいます。
この本に出てくるカッパの術を見て、
もっともっと矢作川を楽しむことができたらいいな
と思い、この本を選んでみました。

おはなしのへや(6月・6年生)

2007-06-18 | おはなしの部屋

6年生はひさしぶりです、緊張します(笑)
昨年は、長男が6年生で「(母は)読みにきてほしくない」照れ屋さん
だったので、この学年だけ1年間はずしてもらいました。
卒業直前に、「いのちのおはなし」をどうしても読んであげたくて、
最初で最後の訪問を強行しましたけど。

5・6年生にもなると、
かなり長い本でも集中できるようだし、理解力もあるので、
選書は、特にこだわりたくなります。
ほかの仲間の過去の選書を見てみても、6年生むけは特に、
それぞれ読み手のこだわりが感じられます。
だからわたしの場合、6年生を希望するときはたいてい、
「どうしてもこれが読みたい」という本があるとき、です。

今回はこれ。
    「地球はえらい」
     みぢかなかがくシリーズ
     案・城 雄二  文・香原知志  絵・松岡達英
     福音館書店

   地球の歴史を1年のカレンダーであらわすと、
   1月1日に誕生した地球に、生命がうまれたのは、4月です。
   (中略)
   ヒトの祖先がうまれれたのは12月31日のごご8時、
   ヒトが文明をもったのは、さいごの1分間、
   12月31日ごご11時59分です。
   およそ1億年まえのことです。     (本文より)

地球の長~い歴史のなかで、ヒトの歴史のなんと短いこと!
この文を読むと、子どもたちは一様に、驚いた表情になります。
とてもわかりやすいたとえですからね。

46億年前に地球という星がうまれてから、
生命がうまれ、そこから長い長い時間をかけ、
さまざまな進化を経て今に至る、たくさんの生きものたちが描かれています。
そして、ヒトが文明をもつようになってから、
人間が作り出したものや、現在の地球の様子も描かれています。

人間は、ほかの生きものと違って、
たくさんのものを造り、地球を自分たちの住みやすいように、
造り変えてきました。
でもそれは、ほんとうに人間のために、地球のために、
よかったのでしょうか。
人間がしてきたこと、今していること、考えさせられます。
地球は、人間だけのためのものではありません。

「地球は、人間がいなくても、こまることはありません。」(あとがき)
という言葉は、なんだかとても胸に痛いし、寂しい気もちになります。
でも人間だって、地球上で長い時間、そのいのちを過去から未来へ
つなげて生きてきた生きもののうちのひとつです。
これからも、ほかの生きものたちとともに、
この地球上で生き続けるためにできること、しなくてはならないこと、
よく考えて、すぐにでも動き出さなくてはなりません。

日々いろいろなことを学びながら、
だんだんと自分を取り巻く世界に、
目を向けられるようになってきた、高学年の子どもたち。
自分の生きる世界が、いかに広くて深くて尊いものか、
この絵本は感じさせてくれると思います。

科学絵本なので、絵は図鑑とは違うリアルさで楽しいですし、
ところどころに、生物学的、地学的情報も載せられているので、
じっくり見てみれば、見応えがあります。
(男の子はとくに好きじゃないかな、うちの子たちは大好きです。)
一方、文もほうもなかなか秀逸だと思います。
わかりやすい言葉で簡潔に、大切なことを説いてくれます。
終盤、じわじわと感動すら覚えます。

こういう本も、たまにはいいよね。

おはなしのへや (5月・3年生)

2007-06-06 | おはなしの部屋

5月後半は、3年生2クラスを訪れました。
とっておきの1冊「かっこわるいよ!だいふくくん」の登場です。

①「かっこわるいよ!だいふくくん」
    宇治 勲・絵と文  PHP研究所
  先月選書のとき「おはなしのへや」の仲間が見つけてきた1冊。
  ほのぼのとした絵と、意外や意外、めちゃめちゃ感動的なお話に、
  メンバー一同惚れこんで、さっそく全員が1冊ずつ購入してしまった本。
  
  和菓子やさんにならぶたくさんの和菓子たち、
  自分の姿を自慢したくて、白くてこなこなで丸いだけのだいふくを、
  寄ってたかってからかいます。
  そのとき、ねずみが和菓子たちを襲ってきました。
  だいふくは、勇気を出してねずみと戦い、みんなを守ります。
  すると、そのだいふくは・・・。
  だいふくが、ほんとは○○○だいふくだったことにもびーっくりですが、
  話はそのあとにも少し続いて・・
  その勇気とやさしさ、心の広さには、涙モノです。
  
  他人の幸せのために惜しまぬ自己犠牲。
  実は、深い深ーーい哲学が、そこに織り込まれているのです。
  「5歳の子でも読める本で人生が語れる」のが絵本。
  (四日市の絵本専門店「メリーゴーランド」店長さんの言葉)
  まさに、の1冊です。
   
  いろんな和菓子が出てきて大喜びの子どもたちでしたが、
  その結末には「しーーーーん」
  反応がないときこそ、心に響いた証拠。(と教わった)
  だいふくを見たら、思い出してね(笑)

②「ろくべえ まってろよ」
   灰谷健次郎・作 長 新太・絵  文研出版
  深ーい穴に落ちてしまった犬・ろくべえ。 
  1年生の子どもたちが、必死になってろくべえ救出の策を考えます。
  声をかけ、歌やしゃぼんだまで励まし、
  おとなに頼んでみたりもしますが、おとなは力になってくれません。
  誰にも頼れないとわかって、さらに真剣に考えます。
  最後にひらめいた名案は・・。

  幼い子どもたちの、精いっぱいの試行錯誤がほほえましくて、
  一方で「危ないから」とか「落ちたのが人間でなくてよかった」
  などと平気で言うおとなの身勝手さが、恥ずかしく思えます。  
  
  誰かのために、知恵を絞り力を奮ってがんばることのできる子に。
 「かっこわるいよ!だいふくくん」とは、またちょっと違うテイストで、
  大切なメッセージを、届けてみました。

③「いろいろかぞく」
   トッド・パール(絵・文)ほむらひろし(訳) フレーベル館
  今月のメインにしていて、2年生でも読みました。
  やはりポップな色と画風、テンポのいいお話で、喜んでくれたようです。

  世のなかには、いろーんなかたちのかぞくがあるけれど、
  どれもそれぞれかけがえのない、この世でいちばんすてきなかぞく。
  子どもたちが、これからどんどん成長していって、
  いつかその家族のかたちが変わったとしても、
  やがてあたらしい家族のかたちをつくったときまでも、
  覚えていてほしいメッセージです。

おはなしのへや (5月・2年生)

2007-05-21 | おはなしの部屋

4月は特別に1年生だけを何度も訪問しましたが、
5月から、また順番にいろいろな学年・クラスをまわります。
わたしは、5月2年生の3クラスから。
春らしい楽しい絵本を、選んでみました。

①「まだかな」 
    まつおかたつひで(絵・文) ポプラ社
   春の川辺で、カエルくんが待ち焦がれているのは何(誰)かな?
   「まだかな」の繰り返しに、子どもたちは一生懸命考えます。
   カエルくんだから「雨!」って思うんだよね~
   でも、雨がやんでもまだ「まだかな~」のカエルくんに、
   子どもたちもすっかり不思議そうな顔に。
   春の水辺にやってくる、いろいろな虫や魚や鳥、
   ちょっと理科のお勉強になったりもします。

②「ぐりとぐらのえんそく」
    なかがわりえこ・文 やまわきゆりこ・絵  福音館書店
   GW明け初日が「お弁当の日」だったので選んでみました。
   みんなが大好きなぐりとぐら。それでも、
   2年生ともなるともうあまり読まなくなるから、
   ちょっと久しぶりって感じで新鮮だったかも。

③「いろいろかぞく」(画像)
    トッド・パール(絵・文)ほむらひろし(訳) フレーベル館 
   今月の選書のメイン。
   母の日、父の日がやってきます。
   でも最近は、いろいろな事情のある家庭も増えてきたので、
   お父さん、お母さん関係の本を選ぶには注意が必要です。
   それなら・・
   家族のかたちにもいろいろあるんだよ、という視点を。
   大きな家族も、小さな家族も、
   パパ・ママどちらかひとりの家族も、
   離れて暮らす家族も・・
   「かぞくのだれかがいなくなるのはかなしい」
   「どんなかぞくもぎゅっとするのがだいすき!」
   こんな文を読んだとき、
   「あたりまえ!」
   って言ってくれた子たちがいました。
   そうだよね~! 
   そう言ってくれたことが、とっても嬉しかったです。
   ポップでカラフルな絵と文字が楽しいです。

④「なりました」
    内田麟太郎・文 山口マオ・絵  すずき出版
   動物が、あっと驚く変身をしちゃいます。
   カメがぶらんこでぶうーらん、ぶうーらんしていると・・?
   (甲羅が伸びてカッパになっちゃいました)
   こういうナンセンス絵本、子どもたち大好きですね。
   最後の1冊は、楽しく笑ってもらいました。


1年生のときから、とっても元気なこの2年生。
にぎやかすぎないかい?(笑)のクラスもあったけど、
絵本をしっかり見て聞いて、楽しんでくれている証拠でもあるんだよね。
今年も「おはなしのへや」を楽しみに待っていてくれたようで、
嬉しかったです。

「絵本 シェイクスピア劇場」 

2007-05-04 | おはなしの部屋

すっごい素敵な絵本に出会いました!
「絵本 シェイクスピア劇場」
   安野光雅・画/松岡和子・文 (講談社)

絵本というより、画集に近いですね。
「旅の絵本」などで有名な絵本作家・安野光雅さんと、
蜷川舞台のシェイクスピア作品ではおなじみの、松岡和子先生による、
シェイクスピア全戯曲名場面集です。

3月に名古屋松坂屋で、安野先生の原画展がありました。
すごく行きたかったのですが、日程が厳しく行けずじまい。
とっても素敵だったそうです。(当たり前だ~)残念!!
その原画展で「おはなしの部屋」の仲間が購入したのを見せてもらい、
「きゃあ♪」とすっかり惚れこんでしまいました。
で、先日やっと手に入れました。

シェイクスピアの37戯曲、
見開き2ページ(左に松岡先生の解説、右に安野先生の絵)を使って、
すべて紹介されています。

松岡先生のページには、全作品それぞれに、
おおまかな(だけどすごくわかりやすい!!)あらすじと、
戯曲自体の、あるいはバックグラウンドの解説、
松岡先生の解釈、感想が、端的に記されています。
もう~、それがわかりやすいわ、面白いわ、で感激です!!
もちろん、最近観たばかりの「コリオレイナス」や「恋の骨折り損」も
ちゃんとあります。
また、松岡先生のページの左下には、主な登場人物を、
右下には、特に印象的な台詞を、松岡先生の訳と原文で、紹介してあります。

安野先生のページには、
印象的な1シーンが、安野先生独特の画法で素敵に描かれています。
細かく(リアルというのとは違う)描かれた人物たちが、
みんな生き生きと動いていて、シェイクスピアのムードたっぷりです。
ちゃんと、「第○幕第△場」のどういう場面か、説明もあります。
ちなみに「恋の骨折り損」では、
フランス王女たちのもとへ、ナヴァール王たちが、
ロシア人の扮装をして訪れる場面。
王女たちがそれぞれ、ちゃんと仮面をつけてすましているんですよ、
とってもかわいい。

装丁も安野先生がすべて手がけられていて、
おもて表紙から、うら表紙に至るまで、渋くておしゃれで、素晴らしい!
いちばん最初のページには、
安野先生による、あの有名なシェイクスピアの肖像画。
それに寄せて、松岡先生訳の有名な台詞、
「この世はすべてひとつの舞台、
 人間は男も女も役者にすぎない」(お気に召すまま」より)
原文を添えて。

次の目次のページの絵は、
「Anno's Shakespeare Theater」として、
仮面をつけた道化師のようなオジサンが、
劇場の幕前に立ち、左手を胸にあててご挨拶のようす。
そして、最後のページでは、
そのオジサンが、同じく幕前で、帽子をとって頭を下げています。
それだけでも、素敵でしょ~~!?

シェイクスピアの解説本はあまたありますが、
これは、実にユニークで、しかも質は高いと、思います。

わたしの超お気に入り絵本に、めでたく仲間入りです♪

最後になりましたが、
お値段は・・3400円(税別)です。
た、高いっ!が、それだけの価値はじゅうぶんあります。
(でもやっぱ高い~~その日の日当全部使っちゃったよ・・)

「天の笛」「ふゆめがっしょうだん」

2007-02-28 | おはなしの部屋

2月の読み聞かせは、最初で最後の6年生を担当しましたが、
最終週は、4年1組にいきました。
このクラスも、今年度はたぶん最後になるでしょう。
ということで、
今回は、ぜひ子どもたちの心に残してほしい本を選びました。

 「天の笛」
    斎藤隆介・作 藤城清治・絵
    佼成出版社

いつになく厳しい冬。凍え死にしそうな仲間の鳥たちを助けるために、
小さなひばりが、太陽のかけらを取りに行く決心をします。
でも太陽は、厚い厚い雪雲を抜け、さらに高い高い空をいったところ。
おまけに熱い熱い火のかたまり。近寄れば焼け死んでしまうかもしれない。
それでも、ひばりは命をかけて飛び立ちます、みんなのために。

小さなひばりの、大きな勇気と愛。何度読んでも、胸が熱くなります。
言葉がとてもきれいで、テンポもよい。わたしは読みやすいです。
ただ「天の笛」たるひばりの鳴き声は・・・困ったもんです(笑)
季節的にも、春を待つ今が最適。(今年は暖かすぎですが)
何より、この本の圧倒的な美しさを見てほしい。
藤城清治さんは、大好きな影絵作家さんです。
たぶん、子どもたちはこんな美しさにはなかなか出会う機会がないと思う。
4年生は国語で宮沢賢治を習ったので、同じく藤城さんの影絵が
すばらしい「銀河鉄道の夜」とすごく迷ったのですが、
季節を考えて、今回はコレを選びました。

というわけで、とっておきの1冊、満を持しての登場となりました。
冒頭、少しざわついていた子どもたちでしたが、話が進むにつれ、
どんどん集中してくる感じを、ひしと受けました。
みんなの心に何かを残してくれたら、嬉しいなあ。

重い本を選んだので、あとの1冊は見て楽しい、科学絵本にしました。

 「ふゆめがっしょうだん」
   富成忠夫、茂木透・写真 長新太・文
   福音館書店 かがくのとも傑作集

春を待つ、いろいろな木の芽の冬姿の写真です。
落葉した葉の柄がついていた跡が、     
かわいらしいこびとや動物の顔に見えるのが、とっても不思議!
にぎやかなおしゃべりが聞こえてきそうです。
校庭や帰り道の木々に、ちょっと目を向けてくれたら。

はじめの方の写真は、きっとわけがわからないんですね、
どの子もきょとんとしています。
それが、だんだん「顔」が見えてくると、
その表情がぱっと明るくなりました。
4年生でも、まだまだ十分楽しめる絵本です。

4年生くらいになると、ちょっと長くて重い内容にもかなりついてこられるし、
面白い本への反応もまだ素直だなあと思います。
この子たちが5年生になったら、今度は何を持っていこうかな。
早くも思いをめぐらせてしまいました。

「ひとりじゃないよ  21世紀に生まれてくる子どもたちへ」

2007-02-09 | おはなしの部屋

6年生への読み聞かせ、最後の最後まで選書に迷った1冊です。
ずっと前から、最初で最後の1冊はコレと決めていたのです。
でも、日野原先生の「いのちのおはなし」がこの1月に出て、
決心が一気にぐらついてしまいました。
今日も、なんとか抜粋で2~3編読もうと思っていましたが、
やっぱり15分使い切ってしまったので、あえなくボツ。
(もともと「いのち・・」は何度下読みしても、13分を切れなかったので、
 だめかなあとは思っていましたが。)
ああ、残念!

なので、ここでご紹介だけしたいと思います。
これも、とってもいい本なので。

  「ひとりじゃないよ  21世紀に生まれてくる子どもたちへ」
         アムネスティ・インターナショナル日本・編 
         葉 祥明・絵           (金の星社)     

この本は、アムネスティ・インターナショナル日本が行った
表題のメッセージコンテストに寄せられた、一般の方と
アムネスティの活動に賛同して参加してくださった各界でご活躍の方からのメッセージ集です。
(絵本の収益は、アムネスティの活動資金として、人権侵害で苦しむ
人々の救援のために使われます。)
日本にも、子どもをめぐる多くの問題がありますが、
日本で想像もつかないような深刻な人権侵害が、世界の多くの国々で
大規模に、組織的に行われている現実があります。
この現実を、アムネスティがまとめた資料を読んで知ってもらったうえで、
年齢・性別・職業を超えてたくさんのひとたちが、
メッセージを考えてくださったそうです。

この絵本を通して、そういう世界をほんの少し知ってもらうことが
理想ですが、時間の短い読み聞かせの会ではとてもそこまで望めません。
ですが、ここにあるメッセージはすべて、
その背景を知っていてもいなくても、
読むひとすべての心に響く、大きな力があると思います。
これから、中学生となってより広く厳しい世界に入っていく6年生たちに、
このメッセージを届けたいと思い、選んだ本です。

日野原先生の本読んだあと、なんとか読みたいと思ってできなかった
3編のうち、2編を紹介します。

  20世紀が 物質的に豊かになるための
  100年だったとしたら
  21世紀は 世界中の人たちがやさしくなるための
  100年になるといいなと思っています。
                  (タケカワユキヒデさん・音楽家)

  私が少女だった頃、戦争で悲しい日が続きました。
  その時の先生の言葉を 今でも覚えています。
 「今日という日の中で、なにかひとつ うれしいことをみつけなさい。
  なにもないときは、生きていることをよろこびなさい。」
                      (久仁子さん・主婦)


言葉ってすてきだなあと思いました。
みんなの生きる力となりますように。

「いのちのおはなし」

2007-02-09 | おはなしの部屋

2ヶ月ぶりに、小学校での読み聞かせを再開しました。
(12、1月は毎朝耐寒かけあしがあって、お休みでした。)
今日は6年1組、長男のクラスへ行きました。

実は、彼のクラスは初めてです。昨年も行きませんでした。
母親が読み聞かせに来るのを嫌がる様子なので、外してもらっていたのです。
(二男はいつだって「来て、来て~!」なのですがね。)
でも。
今日だけは、敢えて行きました。
先月「最初で最後だから行ってもいい?」と聞くと、
「え~~?」と、やっぱりだめそうでした。
(最近彼とはちょっとうまくいっているので、いいよ、って言ってくれるかな、
 と内心期待したのですが、そんなに甘くはないです。笑)
でもでも、今回は何が何でも行くぞ、とほんとうは決めていました。
6年生にとって、この2月の読み聞かせが最後だから、です。
毎年最後の月は、どの人もメッセージ性の高いものを持ってきます。
わたしも、この6年生に、どうしても伝えたいメッセージがあります。
この6年生に。ほんとうのところは<息子に>なのかもしれません。
読んでほしい本は、なかなか読んでくれません。
でも、どうしても読んでほしい。
それなら、強制的に耳に入れちゃおう、と(笑)・・見え見えかあ。

ゆうべ、もういちど「明日行くからね」と断わると、
「まあ、決まっちゃったことはしようがない」って。
お、クールじゃん。おっとなじゃ~ん?ほんとは来て欲しいんだろ?
・・とは言いませんでしたが、なんか嬉しかったです。

最初で最後の1冊は、
   「いのちのおはなし」(講談社)
       日野原重明・文 村上康成・絵

ご存知のかたも多いと思います。聖路加国際病院の理事長をされている、
95歳、現役のお医者さまです。
以前このブログでも書きましたが、(「いのちの授業
お医者さまのお仕事の傍ら、
全国の小学校をまわり、おもに10歳前後の子どもたちに、
「いのちの授業」をしていらっしゃいます。
この絵本は、全国で先生を待っているたくさんの子どもたち、そして
大人たちのために、できるだけ忠実にその授業を再現したものです。

「いのちは、自分のもっている時間」
「その時間を、自分のためだけではなく、
 ほかのひとのためにも使ってください」

95歳の日野原先生が、子どもたちのために、
先生のいのちの時間を45分、使ってくださいました。
不肖ながらわたしも、せっかくの機会をもっているのだから、
わたしの15分を使って、息子たち6年生に(もうすぐ旅立ちです)
この本を伝えようと思いました。

日野原先生によるあとがきまで読んで、たっぷり15分、使い切りました。
6年生といえど、ちょっとボリュームがあります。
途中「おい、そこ聞いてるか~?」の子もいましたが、
聞いていようがいまいが、とにかく心をこめて読みました。
6年生くらいになると、低学年と違って、なかなか素直に反応を示さないので、
正直なところ、手ごたえは大きくありません。

でも、読み聞かせの水野先生に教わった「心に残る本というのは、
むしろ読んだ直後反応のないことが多い」というのを信じようと思います。
今日彼らが心に受け取った何かは、今はいったん心の底にストックされて、
これからの人生のなかで、「思考力のもと」になり「生きる力」になると、
水野先生には教わりました。
そうあってほしいと、願います。

この絵本は、子どもにとっても大人にとっても、
ほんとうに良い本だと思います。
「いのち」ということばを、これほど納得できたことはありません。
95年もの時間を生きた日野原先生の全身からにじみ出る
やさしさとか強さとか愛情が、
先生のやさしくてわかりやすいことばと、
村上さんのあたたかい絵を通して、心にしみこんでいくようです。
幸いこちらを読んでくださったのなら、
ぜひ一度、この絵本を手にとってごらんになっていただきたいと思います。
たくさんのひとに「いのちを大切にするということはどういうことか」
考えていただけたらいいな、と思います。

この絵本「いのちのおはなし」の内容を、
もう少し詳しくした読みものもあります。
  「十歳のきみへ  九十五歳のわたしから」
      日野原重明・著(冨山房インターナショナル)
この絵本より前に、子どもたちのために書き下ろされた、いのちの本です。
実際10歳前後の子どもにはちょっと大変かもしれませんが、
ことばは平易で読みやすいです。
大人ならあっという間ですが、感じること考えることはより多いと思います。


今日の最初で最後の読み聞かせ、
自己満足だとは思いますが、きっとやっただけのことはあると信じます。
来週は、6年2組に行きます。反応は違うかな?
あ、思い出した~。
1組の担任の先生。本の途中でビデオ録りの移動のため、部屋を出て行って
しまったのが、すごく残念!後半はとくに、先生にも絶対聞いて欲しかった
のになーー!(読み聞かせの時間、先生は子どもたちと一緒に聞いて
欲しいといつも思います。今回は別として、どっかに消えてしまう先生ってどうよ!?)

読み聞かせ講座 第3・4回

2006-11-22 | おはなしの部屋

11月の講座2回は「読みの実践」
受講生25人、それぞれが選書した1冊をみんなの前で読み、
逐一先生からアドバイスを受ける。

読む順番は自由。我こそは、という人から・・。
トップを切った人、経験者らしく、なかなか上手かったのに、
次から次へと指摘を受け(それも難しい!)いきなりビビる・・。

少しして気づいたが、
読む人のレベルに応じて、先生の要求(アドバイス)も難易度も違う。
当たり前といえば当たり前。
さすが先生!
ほんの少し聞いただけで、その人のクセ、難点をみごとに捉える。
そして、その人がちょっと努力すれば、数段よく聞こえるようになるような、
「なるほど~~!」な、的確なアドバイスをくれる。

しかし、これもだんだんわかるようになるものだ。
要は、「いかに子どもの興味を本に集中させ、耳にやさしく自然に正確に
その物語を届けるか」なのである。
いろいろな人の読みを、その気で聞いていると、
わたしなどでもけっこう、その人のクセとか、ここはこうしたらいいのに、
などと思える箇所に気がついた。
誰でも、実際聞いてみるとよくわかると思うのだが、
ちょっとしたことで「聞きにくいなあ」と感じるものである。
「聞きにくい」という微妙な感覚は、聞くことの集中を大いに疎外する。
それが重なってくると、たしかに、ストーリー世界に没頭できなくなって、
飽きてくるのである!
子どもの場合、そのあたりが非常に敏感なのだと思う。オロソシイ。

全員の読みの実践を通じて、よく指摘されたことは次の通り。
1.表紙をしっかり見せる。裏表紙とつながっているものは広げて。
    本の持ち方にも注意。ぐらつかせない。照明で光らない角度。
2.見返しの色にも作家の意図があるので、しっかり見せる。
3.ページをめくるタイミングを考える。
    読んでからめくるか、読みながらめくるか、あるいはめくってから
    前ページの最後の文を読んだ方がいいのか。ケースバイケース。
4.文節の切りかたは、自分次第。(表記にこだわらなくていい。)
   <どの文節を立てるか>を考えれば、容易に決まる!
   (文節を立てる=その文章のなかで「伝えたい部分」を明確にすること)
5.読みが単調にならない工夫をする。=メリハリをつける、ということ。
  (1)文と文の間のとり方に、変化をつける。
  (2)テンポアップする部分とスローダウンする部分をつくる。 
  (3)音の幅を広くとる。
       音の幅で言葉を躍動させる=表現
6.エネルギー配分を考える。
    特に長い物語は、途中で疲れておざなりにならないように、自分なりの
    ペース配分をつかんでおく。
    聞く姿勢になっていない子に惑って、自分の集中を切らさない。
7.比較的多く見られるクセ。すぐにでも直すこと。
  (1)語尾あげ。
  (2)最初(文の出だし)の音が低い。
  (3)細かい文節に切りすぎ。文がブチブチ切れる。
  (4)声色を変えるような演出。
      (→淡々と読むこと。「淡々と」は「単調な」読みとは違う!) 
  (5)「~~と、いいました」のような文で、「と」の音が強すぎる。
  
非常に難しく聞こえるけれども、
1冊をとにかく読み込む、声に出して何度も読むことで、
かなりの部分は、自分でも問題点に気づき修正ができると思う。
仲間で読み合う、批評しあうとさらにいい。

ちなみに、わたしは『ずーっとずっとだいすきだよ』を選んだ。
これはいちばんのお気に入りの1冊であり、自分なりにかなり読み込んである
つもり。「しろう」が死んだことは、実体験として大きく影響したと思う。
傲慢にも、これには多少自信がある。
(選書の時点で、自信のあるこれを使うか、敢えて苦手な本を選ぶか迷ったが、
 大切な本を「よりよく読みたい」と思い、こちらを選択した。)
読み進むうち、先生がなかなか止めないことが妙に不安になり、
だんだん震えがきた。(笑)
上記1~7あたりのポイントは、どうもクリアできていたらしい。
おおかた、そのままでいいとのこと。(やった~~♪)
しかし、ひとこと。
「滑舌がよくないねえ。一字一字はっきり発音して。」
!!!!!
滑舌、かつぜつ、カツゼツ・・・ひょえ~~!もしかして、初歩の初歩・・。
「滑舌の練習をしてください。いつでもどこでもできるから。」
先生のありがた~いご指導、承りました(大汗)

これってかなり難題。克服に時間がかかる~。
ああ、マジで『外郎売り』でもやるか・・?
目指せ~~かの君!(爆)