よくよく考えたら?、ロースクール生活がどんな感じか書いていないことに気づきました。まずは第一弾。
1.大学はどんな雰囲気なの?
これは大学によってかなり雰囲気が違いますが、私の通っている大学は都市部にある大学ということもあり、普通のモダンな建物で日本の都市部の大学と大差がありません。建物は少々古いですが、清潔感は保たれています。
施設は教室、講堂、食堂、フィットネス施設、売店、図書館とやはり日本の大学とだいたい同じような施設がそろっています。違いがあるとすれば、WIFIが完備している、ほぼすべてのドアに自動開閉ボタンがある、外部とのドアはオートロックか警備員常駐なところでしょうか。構内の施設は学生証にデポジットしたお金で買い物をすることができます。ちなみに大学職員はLLMにもかなり親切なほうだと思います。
2.大学はどのような人がいるの?
これも大学によってだいぶ異なると思いますが、私の通っている大学はダイバーシティに力を入れていることもあり、いろいろな人種を見かけます(LLMは出身国は63か国)。ただ、やはりロースクールということもあり?、マジョリティは白人だと思います。男女比率は感覚値では1:1にだいぶ近いと思います。年齢層は20ー30代が幅広くといったところだと思います。ちなみにLLMの場合、平均年齢は29歳です。
LLMの場合、感覚的には70%くらいの方は自国の法曹資格を有しています。ただ、法学部を卒業できれば事実上資格をとれるような国もあるそうですので、これ自体がどうこうというわけではないと思います。また、知識や経験で特に大きなビハインドを感じたことはないです。
LLM学生間では特に競争的な雰囲気もなく、和やかに勉強しています。ちなみにJDの学生によれば、1年次は競争が苛烈なものの、2年次からはそうでもないとのこと。就活が1年次の成績だけで決まってしまうので、逆にいえばそれ以降は消化試合のようでした。
3.授業はどのような雰囲気なの?
教授によって異なりますが、おおむね次のように大別できます。ミックスタイプが多いかと思います。
・ソクラテスメソッド(会社法のような基本法系統など)
・レクチャー(専門的な法律や外国法など)
授業に紙の資料を使う人もいれば、何も配らない人、パワポで投影する人いろいろいます。ちなみに学生の圧倒的多数はノートパソコンでノートをとっています。これはWIFI完備によるところが大きいですが、上記のような授業資料を含め大学とのやり取りはほとんどすべての情報がインターネット経由ですので、PCを持参していないことのデメリットが大きいこともあります。そのほか、判例検索は外部の商用DBを使うわけなので、ネットにつながらないと話にならないです。
かくいう自分もアメリカに来てからウルトラブック(英語OS)を買いました。本が重いし、普通のノートだとバッテリーが持たないので、大学もウルトラブックの使用を推奨しています。
ソクラテスメソッドの場合、教授によって異なりますが、おおむね次のようなパターンがあるようです。
・完全にランダムに指名して答えさせる
・エリアを3分割くらいにして、日によって、特定のエリアにだけ集中的に答えさせる
・事前に指名順を指定しておいて答えさせる
・学生の挙手だけで進める
私は一番目と四番目のパターンしか遭遇していないですが、ランダムに当たるクラスの場合、相当な緊張感があります。
なお、各授業は次のように分かれています。
アメリカ人学生(3年間のJD≒博士)専用、アメリカ人学生向けだけどLLMもOK、LLM向けだけどJDもOK、LLMだけ。
私はLLMだけ、LLM+JDの授業しか秋学期はとっていませんが、JD向けの授業に出ている友人の話によれば、
・JDしか指名されない(LLMは英語が苦手なので、スキップされる)
・発言が評価されるので、内容は二の次のことがあり議論が拡散したりする
・英語の理解(特にJDの発言)が大変
といった難点があるようです。
すべての授業で毎回それなりの宿題がでます。大抵はリーディングアサインメントですが、契約書のドラフト、リーガルオピニオンの起案、ケースブリーフの作成などライティングアサインメントもあります。また、授業によってはプレゼンを実施することもあります。
すべての授業は英語ONLYです。人によっては外国人向けのスピードで話してくれますが、大抵は普通のスピードで話しています。授業の録音は大学の許可を得れば可能なようですが、聞き直す時間なんてないですし、大学もおすすめしていません。
そうすると、聞き逃したところや理解が甘いところは、教授に聞く、友人に聞く、教科書があれば教科書などで復習、ネットや参考文献で補足といった自助努力が必要になります。
4.ぶっちゃけどれくらい勉強しているの?
NY BARを受ける場合、最低24単位の取得が必要になりました。卒業だけであれば、私の大学は20単位でOKです。そのほか、GPAが一定値を超えていないといる必要があります。
私の通っている大学では、半期では最大13単位まで登録が可能です。基本的には週1の授業は1-2単位相当で、一コマは2時間になります。
授業外でも、予復習は必須だと思います。たぶん、すくない日でも3時間くらいは授業外で勉強することになるんじゃないでしょうか。日本の大学では試験前にだけ教科書を読んでおけば、たとえ授業に出なくとも(評価はともかく)単位は取れるのかと思いますが、こちらだと確実にアウトです。
大学としては学生にアウトラインとよばれる講義の概要をまとめたノートの作成をおすすめしています。
(ちなみに自分で作れない人、作りたくない人には、無料で取得できるもの、有料で売買されているもの、市販品が巷にあります。)
基本的にはみんな時間をかけて勉強しているほうだと思いますが、イベントもかなり盛んです。
あとは授業中にFBをやっていたりする人もそれなりにいます。そういう人も指名されても普通に答えているので、退屈しているだけなのかもですが。
テスト対策という観点では、事例分析ができるように、法的効果の構成要件をおさえるのが肝要と思います。この点、結構、授業では曖昧なので、復習するのがベターです。
5.試験はどんな感じなの?
まだ試験自体は受けていませんが、過去の資料と大学側の説明によれば、次のようなパターンがあります。
・教室で受ける試験(だいたい3時間。LLMもJDもごちゃまぜで匿名採点されるので同じ審査基準、制限時間。)
・自宅で受ける試験(試験問題のDLから所定時間内に提出する。数時間ー48時間程度)
・試験なし(実技。授業で課題を提出してそれが審査される)
また、教科書などの参照がOKなタイプとNGなタイプがあります。試験答案自体は紙でもワードファイルでも提出がOKです。
当然といえば当然ですが、制限時間が長いほど、教科書などの参照が許されるほど、問題が難しくなります。
問題はたいてい事案分析問題でして、それもとても複雑です…、簡単な穴埋め問題は選択問題は見たことないです。
(ロースクールは教育理念が”いかにローヤーにするか”なので当然ですが)
事案の説明だけで1-3ページ書いてあったりしますので読むだけで大変です。また、大抵は授業で習った判例そのままはでないので、応用力を試されるようです(授業内容を理解していることは期待されているが、記憶力自体を試す試験ではない)。
肝は実務と同じでイシューの発見とそのアナリシスです。比較して、結論自体はそれほど重視されないとのこと。これはグレーな事案設定ばかりが扱われるので、きれいに白黒どちらかに回答が固まることがあり得ないからだと思います。
6.英語力はどれくらい必要なの?
とりあえず客観的指標としてTOEFL(IBT)のスコアで100/120程度がどの大学でも入学に必要とされてます。典型的な日本人の場合、スピーキングはスコア取得に苦しみます。
幸いなことに?、ロースクールでサバイバルに必要な能力は、リーディング力、リスニング力、ライティング力、スピーキング力の順だと思います。
リーディングについては、やはり英文で数十ページの課題を毎回読むことになるので、英文自体に抵抗感があると辛いと思いますし、それなりに早く読むスキルが必要と思います。専門用語はアメリカ人でも普通は知らないので、そこは不利になるものではないですが、仮定法、倒置構文、やたらと長い文章には判例だと日常的に遭遇するので、それなりの文法力は必要と思います。
リスニングについては、授業が英語なので、まったく歯が立たないと辛いです。しかし、完全に理解できなくとも、キーワードやトピックさえ抑えられれば、あとから何らかの方法で同じ情報を調べることができると思います。ここで重要なのが日本で培ったリーガル知識でして、これがあれば、大抵はどのようなことを話しているかは想像して補完することができます。
ライティング力は、テストや課題が英文ですので、まったくできないとアウトです。ただ、サンプルの答案などを見たりすることもできますので、これは練習でどうにでもなると思います。たぶん。
スピーキング力は、究極的にいえば、発言しなければ不要です。が、とてもみじめな思いをすることになるかと思いますので、簡単に意見を言えるくらいは練習しておいたほうがいいかと思います。
「ーについては」「私はーだと思う」「なぜならばーだからだ。」「たとえばーがある。」「もしーだとすれば」「ーだと思う」が基本的なフレームワークです。
1.大学はどんな雰囲気なの?
これは大学によってかなり雰囲気が違いますが、私の通っている大学は都市部にある大学ということもあり、普通のモダンな建物で日本の都市部の大学と大差がありません。建物は少々古いですが、清潔感は保たれています。
施設は教室、講堂、食堂、フィットネス施設、売店、図書館とやはり日本の大学とだいたい同じような施設がそろっています。違いがあるとすれば、WIFIが完備している、ほぼすべてのドアに自動開閉ボタンがある、外部とのドアはオートロックか警備員常駐なところでしょうか。構内の施設は学生証にデポジットしたお金で買い物をすることができます。ちなみに大学職員はLLMにもかなり親切なほうだと思います。
2.大学はどのような人がいるの?
これも大学によってだいぶ異なると思いますが、私の通っている大学はダイバーシティに力を入れていることもあり、いろいろな人種を見かけます(LLMは出身国は63か国)。ただ、やはりロースクールということもあり?、マジョリティは白人だと思います。男女比率は感覚値では1:1にだいぶ近いと思います。年齢層は20ー30代が幅広くといったところだと思います。ちなみにLLMの場合、平均年齢は29歳です。
LLMの場合、感覚的には70%くらいの方は自国の法曹資格を有しています。ただ、法学部を卒業できれば事実上資格をとれるような国もあるそうですので、これ自体がどうこうというわけではないと思います。また、知識や経験で特に大きなビハインドを感じたことはないです。
LLM学生間では特に競争的な雰囲気もなく、和やかに勉強しています。ちなみにJDの学生によれば、1年次は競争が苛烈なものの、2年次からはそうでもないとのこと。就活が1年次の成績だけで決まってしまうので、逆にいえばそれ以降は消化試合のようでした。
3.授業はどのような雰囲気なの?
教授によって異なりますが、おおむね次のように大別できます。ミックスタイプが多いかと思います。
・ソクラテスメソッド(会社法のような基本法系統など)
・レクチャー(専門的な法律や外国法など)
授業に紙の資料を使う人もいれば、何も配らない人、パワポで投影する人いろいろいます。ちなみに学生の圧倒的多数はノートパソコンでノートをとっています。これはWIFI完備によるところが大きいですが、上記のような授業資料を含め大学とのやり取りはほとんどすべての情報がインターネット経由ですので、PCを持参していないことのデメリットが大きいこともあります。そのほか、判例検索は外部の商用DBを使うわけなので、ネットにつながらないと話にならないです。
かくいう自分もアメリカに来てからウルトラブック(英語OS)を買いました。本が重いし、普通のノートだとバッテリーが持たないので、大学もウルトラブックの使用を推奨しています。
ソクラテスメソッドの場合、教授によって異なりますが、おおむね次のようなパターンがあるようです。
・完全にランダムに指名して答えさせる
・エリアを3分割くらいにして、日によって、特定のエリアにだけ集中的に答えさせる
・事前に指名順を指定しておいて答えさせる
・学生の挙手だけで進める
私は一番目と四番目のパターンしか遭遇していないですが、ランダムに当たるクラスの場合、相当な緊張感があります。
なお、各授業は次のように分かれています。
アメリカ人学生(3年間のJD≒博士)専用、アメリカ人学生向けだけどLLMもOK、LLM向けだけどJDもOK、LLMだけ。
私はLLMだけ、LLM+JDの授業しか秋学期はとっていませんが、JD向けの授業に出ている友人の話によれば、
・JDしか指名されない(LLMは英語が苦手なので、スキップされる)
・発言が評価されるので、内容は二の次のことがあり議論が拡散したりする
・英語の理解(特にJDの発言)が大変
といった難点があるようです。
すべての授業で毎回それなりの宿題がでます。大抵はリーディングアサインメントですが、契約書のドラフト、リーガルオピニオンの起案、ケースブリーフの作成などライティングアサインメントもあります。また、授業によってはプレゼンを実施することもあります。
すべての授業は英語ONLYです。人によっては外国人向けのスピードで話してくれますが、大抵は普通のスピードで話しています。授業の録音は大学の許可を得れば可能なようですが、聞き直す時間なんてないですし、大学もおすすめしていません。
そうすると、聞き逃したところや理解が甘いところは、教授に聞く、友人に聞く、教科書があれば教科書などで復習、ネットや参考文献で補足といった自助努力が必要になります。
4.ぶっちゃけどれくらい勉強しているの?
NY BARを受ける場合、最低24単位の取得が必要になりました。卒業だけであれば、私の大学は20単位でOKです。そのほか、GPAが一定値を超えていないといる必要があります。
私の通っている大学では、半期では最大13単位まで登録が可能です。基本的には週1の授業は1-2単位相当で、一コマは2時間になります。
授業外でも、予復習は必須だと思います。たぶん、すくない日でも3時間くらいは授業外で勉強することになるんじゃないでしょうか。日本の大学では試験前にだけ教科書を読んでおけば、たとえ授業に出なくとも(評価はともかく)単位は取れるのかと思いますが、こちらだと確実にアウトです。
大学としては学生にアウトラインとよばれる講義の概要をまとめたノートの作成をおすすめしています。
(ちなみに自分で作れない人、作りたくない人には、無料で取得できるもの、有料で売買されているもの、市販品が巷にあります。)
基本的にはみんな時間をかけて勉強しているほうだと思いますが、イベントもかなり盛んです。
あとは授業中にFBをやっていたりする人もそれなりにいます。そういう人も指名されても普通に答えているので、退屈しているだけなのかもですが。
テスト対策という観点では、事例分析ができるように、法的効果の構成要件をおさえるのが肝要と思います。この点、結構、授業では曖昧なので、復習するのがベターです。
5.試験はどんな感じなの?
まだ試験自体は受けていませんが、過去の資料と大学側の説明によれば、次のようなパターンがあります。
・教室で受ける試験(だいたい3時間。LLMもJDもごちゃまぜで匿名採点されるので同じ審査基準、制限時間。)
・自宅で受ける試験(試験問題のDLから所定時間内に提出する。数時間ー48時間程度)
・試験なし(実技。授業で課題を提出してそれが審査される)
また、教科書などの参照がOKなタイプとNGなタイプがあります。試験答案自体は紙でもワードファイルでも提出がOKです。
当然といえば当然ですが、制限時間が長いほど、教科書などの参照が許されるほど、問題が難しくなります。
問題はたいてい事案分析問題でして、それもとても複雑です…、簡単な穴埋め問題は選択問題は見たことないです。
(ロースクールは教育理念が”いかにローヤーにするか”なので当然ですが)
事案の説明だけで1-3ページ書いてあったりしますので読むだけで大変です。また、大抵は授業で習った判例そのままはでないので、応用力を試されるようです(授業内容を理解していることは期待されているが、記憶力自体を試す試験ではない)。
肝は実務と同じでイシューの発見とそのアナリシスです。比較して、結論自体はそれほど重視されないとのこと。これはグレーな事案設定ばかりが扱われるので、きれいに白黒どちらかに回答が固まることがあり得ないからだと思います。
6.英語力はどれくらい必要なの?
とりあえず客観的指標としてTOEFL(IBT)のスコアで100/120程度がどの大学でも入学に必要とされてます。典型的な日本人の場合、スピーキングはスコア取得に苦しみます。
幸いなことに?、ロースクールでサバイバルに必要な能力は、リーディング力、リスニング力、ライティング力、スピーキング力の順だと思います。
リーディングについては、やはり英文で数十ページの課題を毎回読むことになるので、英文自体に抵抗感があると辛いと思いますし、それなりに早く読むスキルが必要と思います。専門用語はアメリカ人でも普通は知らないので、そこは不利になるものではないですが、仮定法、倒置構文、やたらと長い文章には判例だと日常的に遭遇するので、それなりの文法力は必要と思います。
リスニングについては、授業が英語なので、まったく歯が立たないと辛いです。しかし、完全に理解できなくとも、キーワードやトピックさえ抑えられれば、あとから何らかの方法で同じ情報を調べることができると思います。ここで重要なのが日本で培ったリーガル知識でして、これがあれば、大抵はどのようなことを話しているかは想像して補完することができます。
ライティング力は、テストや課題が英文ですので、まったくできないとアウトです。ただ、サンプルの答案などを見たりすることもできますので、これは練習でどうにでもなると思います。たぶん。
スピーキング力は、究極的にいえば、発言しなければ不要です。が、とてもみじめな思いをすることになるかと思いますので、簡単に意見を言えるくらいは練習しておいたほうがいいかと思います。
「ーについては」「私はーだと思う」「なぜならばーだからだ。」「たとえばーがある。」「もしーだとすれば」「ーだと思う」が基本的なフレームワークです。