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ロースクール留学(していた)日記

米国ロースクールLLM卒業生の日常→アメリカ駐在員の日常

全授業終了

2014-04-29 14:17:52 | NY BAR
こんにちは。

LLM生活もすべての授業が終了しまして、残りは期末試験(本日からスタート)と卒業式(と関連イベント)を残すだけになりました。短いような、長いような、でもやっぱり短いようなあっという間の9か月でした。とはいえ、ここで油断せず、最後までしっかり気を引き締めていきたいと思います。全体の振り返りはまたどこかで。

さて、Gooブログはたまにアクセス解析機能が期間限定で使えるようになるのですが、どうやらこのブログはNYBAR、LLM留学、法務、DCの治安といった内容で検索をかけられていることが多いようです。このあたりの情報もおいおい更新していきたいと思います。



最後に、いつぞやの日記で受験を報告したMPREなのですが、本日結果が出ましてきちんと合格していました。NY州の場合は150点満点で85点取れれば良いのですが、中央値として設定される100点を超えて、かなり余裕をもってクリアできました。

とりあえず前哨戦には勝利ということで良かったです。

価値観のぶつかり合い

2014-04-24 09:43:14 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連


満開の花が咲いていた木を粉砕してしまった写真です。これはたまに行くピザ屋の近くに生えていまして、きれいになったなーと思っていたところ、こんなことになっていました。

これはこの地域ではじまった道路の整備事業の一環で伐採されたようでして、この木は中央分離帯的な位置に生えていましたので、工事に邪魔かといえば邪魔なのでしょうが、まさに満開のときに粉砕しなくても…と直感的に思ってしまいました。

他方、、、
・この木が一本あるからといって工事を中止するのか
・伐採しないけれども工事をするとして、例えば、この木をどこかへ植え替えるコストはどうするのか
・自分が知らないだけで、実はこの木は病気にかかっていて伐採する必要があったのではないか
・そもそもこの木だけを気にする必要があるのか(他にもっとひどいことはいくらでもあるのではないか)
・満開でなかったら気にしないのか
・仮に事前にこの計画を知っていたとして何らかの行動を起こしたのか
・いまこの事実を知ったとして何らかの行動を起こすのか
と冷静になって考えてみると、はたしてどうなんでしょう。何を基準として判断するのがいいんでしょうね。


さて、今学期は憲法を受講していますが、最高裁まで来るような憲法問題は価値観のぶつかり合いが特に顕著です。
(アメリカの最高裁は原則としてそもそも裁量的にしか案件を受諾しないですし)

たとえば、つい先日も、大学入試の人種に関するアファーマティブアクション関連で、
Supreme Court upholds Michigan’s ban on racial preferences in university admissions
というニュースが流れていました。

>The decision further illustrates the court’s skepticism about race-conscious government programs. In effect, the ruling says that universities may still employ the limited consideration of race authorized in previous Supreme Court rulings. But it also said that voters and legislators also have the right to curtail such plans. That it took five separate opinions totaling 102 pages written over six months to reach that result is a sign of how divided the court remains on the issue.

時間がないのでまだ判決を読んでいませんけども、裁判官のなかでも完全に一つの意見にはまとまらず様々な意見(説明)が出ています。特に反対意見(判決にならなかったマイナー意見)を書いたSotomayor裁判官(最高裁初のヒスパニック系裁判官かつ史上3人目の女性裁判官)は50ページ超にわたり、統計図も駆使しつつ熱弁をふるっているようです。

ちなみに大学(院)入試の人種優遇については過去に次のようなケースもあります。
・Regents of the University of California v. Bakke (白人男性の学生が、マイノリティの入学数確保政策(人種別の人数割り当て)がために、UCデービス医学部に不合格となった事例)⇒人種は考慮しても良いが、人数割り当て自体は違憲
・Grutter v. Bollinger(白人のロースクール受験生が、入学選考プロセスで人種を考慮要素の一つにすることは違憲だと訴えた事例)⇒合憲


なお、人種に関する違憲審査基準はもっとも厳しいものとして設定されていまして、"Strict Scrutiny"の基準でもって政府の(立法)行為が審査されます。この審査は大抵とおらないので、この基準で審査されるとなると十中八九違憲になります。(例外:Korematsu v. U.S.:WW2中の日系米人強制抑留関連)

・概要はこちら:コーネル大学の用語説明(英語)

懲罰的損害賠償

2014-04-21 23:28:04 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。こちらはイースターが終わりまして、授業も残すところ約1週間になりました。

さて、例によって、日本のニュースを見ていたところこんなニュースを見つけました。
武田薬品、衝撃の「懲罰賠償6100億円」はわずか45分で評決されただそうです。

だいたい懲罰賠償ときたらマックの話が紹介されますけども、やっぱり書いてありましたね (Liebeck v. McDonald)。記事のトーンも典型的な感じです。

懲罰賠償についてはアメリカでも是非が議論(例:懲罰による抑止効果に疑問がある、結局のところ儲かるのは弁護士だけ、企業の経済活動を妨害しているデメリットが大きい、懲罰賠償が認められやすい特定地域で訴えるフォーラムショッピングが著しい)されているようですけども、とりあえず、裁判官や陪審員の裁量でもってなんでもかんでも認められるというわけではないです。

たとえば2007年の連邦最高裁の判例(Philip Morris USA v. Williams)では、懲罰賠償について憲法上のDue Processの観点から一定の制限があることを判示しています。
(原文はこちら。)

花見とか

2014-04-15 18:02:10 | アメリカ生活関連
こんにちは。少し遅れてこちらにも春がやってきました。

こちらの桜は日本のものに比べるとかなり一本あたりの花の密度が濃いような気がします。ゴージャスというのがぴったりです。

日本で花見というと宴会を思い浮かべるかもしれませんが、こちらの花見は本当に花を見るだけです。
屋外での飲酒が禁じられていることもあるかもしれませんが、たいていは花が咲いているところをウォークスルーするだけで、座っていたとしても殆ど飲食をしていません。

このあたりも文化の違いなのかもしれませんね。

文化といえば、そのほかSakura Matsuriという名称で日本文化を紹介する趣旨のお祭りも開催されていました。
(参考:さくらまつりの公式サイト)

弓道、書道、着物…といったいわゆる伝統物のほかに、おそらく、一番おおきなウェイトを占めていたのがアニメだとかそういったカルチャー系の出し物です。実際のところ、会場内ではコスプレをしたアメリカ人が闊歩していまして、コミケ会場ばりの気合いの入ったコスプレーヤーがぞろぞろいました。そのほか”恋するフォーチュンクッキー”が舞台で流れると、歓声を挙げて、曲に合わせて踊っているようなひとまでいました。

いわゆるCool Japan戦略の一環かと思いますが、この手のポップカルチャーは意外と馬鹿に出来ないようです。たとえばアジア出身の友人と話してみると、日本のポップカルチャーが好きであるがために移住や留学を考えているひとは稀ではないとか。

時流の影響からか、DCにいても他州にでかけていっても、学生と話していてもその辺の見ず知らずの人に話かけられても、センシティブな国際情勢に関する質問や反日的な言動に遭遇する機会が何度かありまして、それなりに複雑な感情を感じることがあるわけですが(もっとも、日本人だと思われて困ることは基本的にないんですが)、こういう自国振興のイベントはやはりうれしいものです。

幽霊は存在するか?

2014-04-07 14:34:54 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。

期末試験対策の勉強の休憩がてら日本のニュースを見ていたら、いわゆる”事故物件”に住む人が増えていると書いてありました。

さて、私は幽霊だとかホラーだとかの話が大の苦手なのですが、皆さんは幽霊を信じますか。ここアメリカではどうやら存在するということになっているようです…。

ニューヨークの1991年の判例(Stambovsky v. Ackley)をご覧ください。

この裁判は住宅の売買案件において、売主が買主に家が"haunted"されていることを告知しなかったため、買主が契約の解除を求めたという案件です。

判示は次の書き出しから始まります。(強調は私が追加)
> Plaintiff, to his horror, discovered that the house he had recently contracted to purchase was widely reputed to be possessed by poltergeists, reportedly seen by defendant seller and members of her family on numerous occasions over the last nine years. Plaintiff promptly commenced this action seeking rescission of the contract of sale.


そして核心へ…
> The unusual facts of this case, as disclosed by the record, clearly warrant a grant of equitable relief to the buyer who, as a resident of New York City, cannot be expected to have any familiarity with the folklore of the Village of Nyack. Not being a “local,” plaintiff could not readily learn that the home he had contracted to purchase is haunted. Whether the source of the spectral apparitions seen by defendant seller are parapsychic or psychogenic, having reported their presence in both a national publication (“Readers' Digest”) and the local press (in 1977 and 1982, respectively), defendant is estopped to deny their existence and, as a matter of law, the house is haunted.


さらに判示が続きます。(ここでいう"caveat emptor"はラテン語でして、意味は”買主をして注意せしめよ(let the buyer beware)”になります。ざっくりいえば買主の危険負担です。)
> From the perspective of a person in the position of plaintiff herein, a very practical problem arises with respect to the discovery of a paranormal phenomenon: “Who you gonna' call?” as the title song to the movie “Ghostbusters” asks. Applying the strict rule of caveat emptor to a contract involving a house possessed by poltergeists conjures up visions of a psychic or medium routinely accompanying the structural engineer and Terminix man on an inspection of every home subject to a contract of sale.

こういうジョークを織り交ぜるのはアメリカ人らしい気がします。


興味がある方はthe Ghost of Nyackとか入力するといろいろ詳しい情報が出てくるようです。