聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

ここは、聴覚障害者制度改革推進中央本部の公式ブログです。
(2010年4月16日付で、名称を変更いたしました)

■10/13 参議院厚生労働委員会記録(その4)

2005年10月13日 | 【速報】10/13参議院厚生労働委員会
島田/少子化対策に、これだけは必要です。育成医療の国庫負担の大幅削減は、地方に対して悪影響を与えるのではないかと危惧しています。
 次、自立支援医療における所帯ついて伺います。厚生労働省からの資料の内容について、ご説明お願い致します。

中谷/自立支援医療については、基本的には医療保険の自己負担分を助成するという機能を持っています。医療保険の自己負担の上限額は、同じ医療保険に加入している者を単位として設定しています。これらの実態から、自立支援医療の世帯の範囲は、医療保険の加入単位、すなわち、自立支援医療を受ける方と同じ医療保険に加入する家族、これを「生計を一(いつ)」にすると取り扱います。つまり、住民票上、家族、同じ世帯であっても違う医療保険に加入していれば、別の世帯とするものです。

島田/厚労省の皆さんはそこまで考えていないかもしれませんが、障害児をもった親には障害児童を出産して離婚し、母子世帯になることも少なくはないのです。母子所帯は、おおむね所得が低く、子どもの養育に負担も多い、かつ、働く機会も制限されるという現状があります。一時的にでも、母親の実家で祖父母と暮らすケースも実際多いのです。その場合、世帯の範囲はどうなるのでしょうか? 例えば祖父が組合保険に入っていて、母親と、育成医療を受けている子どもが国保の場合はどうなりますか? 母親のみが対象となるのでしょうか?

中谷/国保では加入者全員の所得が勘案されます。しかし、お子様には所得はない。ですから、この場合はお母様の分のみとなります。

島田/いろんなケースがあると思いますが、祖父も母親も国保の場合は? 保護者である母親の所得が低くても、祖父母も、また母親の兄弟も全員が国保であり合算になると、母の状況と乖離すると思うがどうでしょうか。また、母が国保、子どもが祖父の健保という場合、保護者の支払う負担は祖父の所得によって決まるケースもあると思います。こういうのも、今後十分検討していただきたいと思います。厚労省は、障害を持つ子どもの医療費負担を引き上げるとの政策判断したが、私はもっともっと負担を軽減すべきではないかと思います。私は歯科医師です。口唇裂・口蓋裂の障害を持って生まれる子どもが育成医療給付を受けながら治療をしています。口唇裂・口外裂は500人に1人の割合で生まれる先天性奇形です。大臣はご存じでしょうか。

尾辻/口唇裂・口蓋裂は上唇や上顎の癒合不全で、手術や矯正治療が必要で、悩んでおられる方、ご苦労している方がいらっしゃることは承知しています。

島田/ありがとうございます。口唇裂・口蓋裂障害をもって生まれてきたお子さんは、最初はほ乳障害があります。ミルクがのめず体重が増えないため、成長が著しく遅れるという障害です。体重が5キロになれば、骨の成長に合わせて2~4回手術をします。これは、本人も大変ですし、親御さんにも大変な疾患です。技術が近年向上して、臨床的評価は高まっています。それでも、親はこういう障害を持って子どもが生まれたということで、罪責感を持ち、子どもの将来に不安を感じ、大変なストレスを抱えます。しかし、同じ障害を持つ母親同士の情報交換や、医師、歯科医師、看護士励まし、家族の支えにより、だんだんと、前向きに育てていく姿勢に変わっていきます。口唇裂・口外裂障害だけでなく、痛みと闘う子どもを見る親は、それ以上の心の痛みと闘っていると察しています。そこに、子どもの通院や保険外医療の負担などで、医療費以外にも重い経済負担がかかることになりますが、そういうことを大臣はどのように認識しておられるでしょうか。

尾辻/口唇裂・口蓋裂を含め病気で入院しているお子さんたちの親御さんは、さまざまな負担があり、苦労もしておられると拝察いたすところでございます。新法案でどうなるか、ということは、再三申しているように、原則医療費1割負担となりますが、低所得の方や継続的に相当額の費用負担が発生している方には、所得に応じた上減額の設定などの配慮を講じたところです。皆さまにはこういう配慮の中でのご負担をお願いしたい、と申し上げているところです。

島田/大臣も察しておられる通り、障害をもったケースだけでなく手術を受ける場合、家から遠方の病院にいくこともある。その場合、付き添いとか家族の宿泊が必要になってきます。交通費や付き添いの家族の宿泊費など、個人負担は大きな額になります。家族の宿泊施設等や、弟・妹を預かるショートステイなどの整備が必要であろうと思います。その対策、これまでどう取り組んでこられたか、ご説明ください。

北井雇用均等・児童家庭局長/慢性疾患児童を抱えるご家族の負担は相当であると認識しています。慢性疾患児の家族宿泊施設と、いわゆるショートステイ事業の目的と実績について説明します。
慢性疾患児家族宿泊施設は、医療機関にあります。小児ガン等l、長期入院児の家族のための宿泊施設です。親が身近にいることで、入院児童の情緒安定をはかり、滞在費の軽減をはかることを目的としています。民間団体にも同様の趣旨の施設がありますが、国としては、平成10年度の補正予算で18億8000万円の定額補助、および平成13年度の補正予算で、4億5000万円の定額補助による施設整備の補助を39施設で行ないました。
次、家族の宿泊で児童の養育が困難になった児童を短期預かるショートステイ事業は、平成16年度末で286市町村、569か所で取り組んでいます。

島田/ありがとうございました。さらなる整備をお願いします。時間ですが最後の質問です。自閉症の子どものお母さん方がおっしゃっていたことです。いつも家族が行なっているスクールバスまでの送迎ですが、家族が病気のときは移動支援サービスを受けられるか? 新しい基準では対象から外れてしまうのではないか? また、親がいなくなった後も子どもだけで負担できるのか? など大きな不安をお持ちの方がたいへん多いのです。発達障害・難病のこどもたちがたくさんいます。日本では存在さえ知られていなくて親が個人輸入して薬を求めなければならないような病気の方たちもいます。このような社会に支援を求めている人たちが安心する社会を築くために、すべての国民が納得して支え合う真の社会保障制度が必要と考えます。
これで質問おわります。

津田/民主党・津田弥太郎です。8月3日本委員会でアスベストの審議で差しかえ質問しました。今国会から本委員会に正式に仲間入りです。どうぞよろしくお願いします。
今、資料を配られております。10月の本委員会で辻委員から要求があったものです。
障害者自立支援法案は通常国会・衆議院で野党の反対の中、与党の賛成多数で可決されました。参議院審議の途中で、衆議院解散のため廃案になりました。そこで大臣に伺います。衆議院において民主党がなぜ障害者自立支援法案に反対したと思いますか。野党第一党の民主党が反対した理由を、大臣はどう認識しておられるか、お聞きします。
尾辻/前国会でのご質疑、それからまた、そのさなかといいますか、6月に民主党がお出しになりましたところの障害者自立支援法案、この法案への主要な論点と修正協議項目というものをお出しになりました。そうしたものから、今の、どういう反対理由があるのかということを私なりに理解をいたしておるところでございますけれども、例えて言いますと、障害福祉サービスや自立支援医療にかかる利用者負担への見直しにあたり、定率負担を導入することへの懸念、要するに利用者負担の問題。それから、新たに導入することにしておる障害程度区分市町村審査会、国庫負担金へのあり方など、地域で暮らす障害者に対するサービス水準に対する懸念、サービス水準の問題。それからもう1つは、移動介護やグループホームなどの新たなサービスのあり方に対する懸念、サービスのあり方に対する問題。こうしたことをお取り上げになって反対をされたというふうに認識をいたしております。

津田/私は国会議員になってまだ2年目でありますが、民主党はこれまで反対のための反対はしてこなかったと、そう理解をしておりますし、現に過去5年間の厚生労働委員会で審議をされました政府提出法案については、民主党は71本中54本の賛成、8割に迫る高率で賛成しているんです。雇用労働問題や社会保障など、国民の生活の根幹に位置する制度改革については、まあ、半歩前進であれば党派を超えて進めていこうという、そういう思いを政府与党とも共有をしてきたと思っております。例えば、さきの通常国会でも、法案に大きな問題があるとして激論が交わされました、介護保険法の一部改正案、これにつきましても、我々は最終的に与党と協議をして、修正の上、賛成に回ったんです。そのような対応をとってきた我々民主党が、本法案では障害者の命と尊厳、家族の生活などを考えたとき、かえって大きな問題が生じることになるとして反対したということは、大変大きな意味を持っていると私は考えます。大臣にも、民主党が法案に反対したという、その重みをかみしめていただきたいと思うわけであります。そこで、確認のためお尋ねします。8月8日の解散により廃案となった法案、すなわち衆議院段階における与党修正の盛り込まれた法案と、今回、特別国会で改めて提出された法案とはどこがどう違っておりますか。

尾辻/さきの通常国会において衆議院で修正された後、今、お話しいただきましたように参議院で廃案となりました障害者自立支援法案と、今回お出しをいたしております障害者自立支援法案とでは、障害福祉サービスの利用者負担と、自立支援医療の施行日について、平成18年1月1日から平成18年4月1日に変更した点が異なります。逆に言いますと、その他は同じでございます。

津田/今、大臣が答弁されましたように、通常国会で廃案となった法案と、今回提出され、今日も審議を行っている法案とでは、わずかに施行期日の変更のみしか違いがありません。さきの通常国会における審議の中で、法案の数多くの問題点が、先ほども大臣がおっしゃっていたように明らかになり、民主党は障害を持たれる当事者にかわって、9項目の修正要求を出しましたが、与党からは、実質ゼロ回答でありました。障害者自身も、5月12日には6,600人の方々が、この法案をめぐって全国からお集まりになり、また、7月5日には1万1,000人を超える方が東京に集まり、2時間に及ぶ国会への請願を行いました。そのときのスローガンは「このままの障害者自立支援法案では自立できません」というものでした。連日、多数のメディアファックスによる抗議の声や要望が法案にかかわる関係議員に届けられていたこともご承知のとおりです。そのような事情もあり、通常国会で障害者自立支援法案は当初の会期内で成立できなかったばかりでなく、8月8日の解散時点で、参議院における実質的な委員会審議はわずか1日、こういうことであったというならば、延長国会、8月13日の会期末までに法案の成立は不可能だったのではないかと私は考えます。そう思われませんか。国民の怒りの声により、そこまで厚生労働省は追い込まれていたんです。ですから、総選挙後のこの特別国会で、8月8日時点と比べて、施行期日以外は何も改善していない法案を出してきたことについては、障害者団体は信じられない思いで、再び反対運動を連日展開されております。そこで、大臣にお尋ねをいたします。通常国会における委員会質疑や、障害を持たれている当事者などの声を踏まえ、なぜ真に自立支援が可能となる法案への見直しをこの間、行わなかったのか。また一方で、衆議院段階で与党が行った修正内容を、今回、政府提出法案に盛り込んだ理由は何ですか。

尾辻/これは改めて申し上げますけれども、今回の障害者自立支援法案は精神障害を含めまして3障害の福祉サービスを一元化する。さらにサービス体系を再編し、地域生活支援や就労支援の充実を図る。また、支給決定を透明化、明確化する。さらに利用者負担の見直しでありますとか、国の負担を義務的経費にすることにより、制度を安定的で持続可能なものにするなどの改革を図りまして、サービスの量の拡充を図り、障害者の自立した生活に対する支援を一層充実するものでございます。このように、どうしても必要な、お認めをいただきたいという法律案でございますから、再度、私どもはお願いをしておる次第でございます。そこで、今、与党の修正をなぜこの中に入れたかということでございますけれども、これは当然、国会のご意思でございますから、私どもとしてはそれは尊重しなければいけない。また、私どもの考え方と相いれないものでもございませんから、当然、そうさせていただきました。その修正いただいた部分の中には、これは先ほど申し上げました民主党がお出しになりましたところの、障害者自立支援法案の主要な論点と修正協議項目の中でお述べになっておられるものも、その中には入っておったというふうに、一部、その修正の中には組み入れられたものと私は理解をいたしております。それから、この間私どもが何もせずに手をこまねいてきたわけでは全くございませんで、法案そのもの、条文の変更はいたしておりませんけれども、政省令で定めるべき点で前国会でご指摘いただいたこと、私どもも考え直さなければいけないというご指摘については、これは真剣にまた検討し、それに対する答えも今回は申し上げておるところでございます。

津田/確認であります。今、お答えのように、通常国会における与党修正を、今回各法に盛り込んだということは、今回の法案に関する審議は、この特別国会からゼロベースで始まるということではなく、通常国会での衆議院における審議からの継続という流れの中で大臣は受けとめているということでよろしいですね。イエスかノーでお答えください。

尾辻/一言で言いますと、そのとおりでございます。

津田/それでは、お尋ねします。衆議院段階での与党修正案の筆頭提出者は7月13日の衆議院厚生労働委員会における法案の採決にあたり、自民・公明両党を代表して法案に対する賛成討論もされております。この方の名前を教えてください。

尾辻/突然のお尋ねでございますから、私、どなたであったか記憶いたしておりません。後ほど調べてお答え申し上げます。

津田/そうですか。障害者自立支援法案の、さきの国会における与党修正案の筆頭提出者であり、自民・公明両党を代表して法案への賛成討論を行ったのは八代英太議員です。前議員と呼ばなければいけなくなりました。先ほど大臣は、本法案の審議は実質的に通常国会から継続しているということを確認をいただきました。にもかかわらず、本法案において与党内でこのように中心的役割を担った議員、また、障害を持たれている当事者でもある議員を自民党はさきの総選挙で公認しませんでした。私は、他党の公認の是非を論ずるつもりはありません。しかし、少なくとも、法案が継続して審議されているという流れの中で、こうした議員を候補者として公認しなかったこと自体が、自民党内において障害者自立支援法がいかに低い位置づけであるかを示すものであると私は指摘をしておきたいと思います。同様に、さきの通常国会において、本法案の審議のさなかの7月5日に、後任を用意することもなく、副大臣と政務官を罷免したこと自体が、政府内における本法案がいかに低い位置づけであるかを示すものであるかをあわせて指摘しておきたいと思います。そこで、法案の各問題点について質問をいたします。私自身、この法案を初めて説明されたときに、果たして全体として障害者自立支援法の名前に値するかどうか、非常に疑いを持ちました。衆議院の委員会における議論でも、この法案は「障害者自立支援法」ではなく、「障害者自立阻害法」ではないか、さらには「障害者自殺支援法」ではないか、そういった強い怒りが委員から表明をされました。今回の法案については客観的に内容で審査したならば、せいぜい「障害福祉サービス等に関する法律」といった名称に落ち着くのではないかと私は判断をしております。「名は体をあらわす」というように、法案の名称というのはほんとうに大事な意味を持つものであります。この法律案の具体的にどこを、どのように審査をして、障害者自立支援法という名称をお認めになったのか、内閣法制局の納得のいく説明をいただきたい。

トヤマ/ただいまの法案の題名についてのお尋ねでございます。法案の題名につきましては、一般的に法案の目的、あるいは法案の全体の内容をできるだけ端的にあらわしたものであることが望ましく、したがって、題名が適切であるかどうかという点につきましては、法案の目的や全体的な規定の内容に照らして判断されるべきものというふうに考えられるところでございます。こうした観点から現在、ご審議いただいております法案を見ますと、その目的が障害者の自立の支援であるという旨、第1条に規定されておりまして、また、全体的に自立支援給付や、地域生活支援事業など、障害者の自立の支援を図るための諸措置が規定された内容のものとなっていると理解しております。このようなことから、本法案におきます障害者自立支援法という題名は法案の目的や、あるいは法案の全体的な規定に内容に即した適切なものであると考えているところでございます。
津田/午前中もこれで終わると思うが、一言内閣法制局に申しあげたい。この法案のように施策の前進と後退を並存する内容を持っております。あなたは前進の部分しか言わなかった。後退も入っている。当事者にとって賛成、反対が並存する内容を持った法案である。法制局は努めて価値中立であることに徹していただきたい。このことを申しあげまして、午前の質疑を終わります。

委員長/午前の質疑はこの程度とし、午後1時から再開することを述べ、休憩いたします。

最新の画像もっと見る