聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

ここは、聴覚障害者制度改革推進中央本部の公式ブログです。
(2010年4月16日付で、名称を変更いたしました)

■10/11 参議院厚生労働委員会記録(その9)

2005年10月11日 | 【速報】10/11参議院厚生労働委員会
【中村社会援護局長】95条関連の事項について。指摘があったように、地域支援事業の国の補助を決めているところ。50/100以内と、条文上なっている。しかし、めいっぱいの50/100で、今概算要求を出しているところ。ここは、手話通訳派遣など、コミュニケーション支援や移動支援など、大変重要な事業の予算になっている。18年度は10月実施で6か月分なので200億円。19年度以降も増額できるようがんばってやっていきたい。
あと、事務費の話もあった。150億円要求している中に組み込んでいる。

【中原(自民)】今回の法案に関係なく、衆議院の付帯決議項目の7について。ここに、「精神病院における72,000人の社会的入院患者のカイソウを図ると共に、地域における生活が円滑に行われるよう必要な措置を講ずること」と書かれている。これは、別に精神保健福祉対策本部というところが平成15年の時点で、「精神保健医療福祉の改革に向けた今後の対策の方向の中間報告」というのをまとめている。平成16年9月には「精神医療福祉の改革ビジョン」というのを出している。その中で、平成17年度における精神保健福祉法の改正をはじめとする施策の分の実施につなげると書いてある。そのひとつが、今回の障害者自立支援法案である、と。この改革ビジョンで言っているのは、5年ごとに見直して、10年後には、精神保健医療福祉の体系の達成を目標とする、ということ。付帯決議に書いてある72,000人については、常時入院している数ではない。3年くらいで半数が退院する。入院の残存率と退院率を割り出して計算されているが、障害者自立支援法案との兼ね合いで、今後どのような見通しを持っているのか?

【中谷部長】入院医療中心から、地域社会での治療という方向になっている。改革ビジョンにおいては、精神医療の改革、地域生活支援の強化、国民の理解の進化ということを考えている。指摘があったとおり、今後5年ごとに1期、2期として、1期における改革の成果を評価しつつ、第2期の施策を決めていきたいと考えている。障害者自立支援法案においては、この改革の基本方針に基づいて、精神障害を含め、障害の種別を超えて市町村が中心となって福祉サービスを一元的に提供する仕組みに改めると共に、精神障害を含め、必要な福祉サービスの見込み量を定めた、障害福祉計画の策定を義務付け、計画的な福祉サービスの提供ができるよう、抜本的な改革を考えている。このように障害者自立支援法案の中でも、特に地域生活での支援を推進するものである。

【中原(自民)】先ほど森委員が訪ねたヘルパーについて。これは、付帯決議の8に入っている。「グループホームの事業者の責任において、ホームヘルパーの利用について、必要な措置を講ずること」と書いてある。介護保険制度の介護要員、支援費制度の居宅介護従事者があり、ホームヘルパー二級の人間と同じ、130時間の講習を受ける。ただ、カリキュラムは違う。両方の二級資格について、付帯決議を「グループホームの責任者において、必要な措置としておこなう」と理解をし、介護保険のホームヘルプ、居宅介護従事者としてのヘルパー、この二つが行ったり来たりできる、という説明があったかと思うが、それでよいか?

【中村社会援護局長】従来の介護保険、支援費制度、どちらでもヘルパーの研修をおこなっている。個々の差はもちろんあるが、高齢者と障害者という違いもあり、研修をわけていた。ただ、必要な知識等共通する部分もあるので、乗り入れるような制度にした。
ヘルパーの今後のあり方については、見直しがおこなわれることになる。それにより、支援費制度のヘルパーにも何らかの波及があると考えられる。

【中原(自民)】ヘルパー三級の人間が、二級の資格を取ろうとする。その時、この二つの制度のバランスをどうするのかということを、受験者自身が考えている。
質問は以上。

【鰐淵(公明)】鰐淵です。障害者自立支援法案について質問する。
この法案の目的に「障害者の有無にかかわらず、地域生活ができるように…」とある。この目的について、党としても意見交換などおこなってきた。審議の中で改正されてきた部分もあるかと思うが、障害者から不安の声もあがっている。そういった声を元に、今日は質問したいと思う。
この法案の必要性、利用者側にとって、何がどのように良くなるのかという点について教えてほしい。

【尾辻】支援費制度ができたことで、障害者の地域生活を支援することができるようになってきた。ただ、精神障害者が対象外だったこともあり、障害種別によって制度やサービスの格差があった。施設サービス体系についても障害種別によって差があった。就労支援など、ニーズに応えられていないというような、支援費制度の課題は感じていた。
支援費制度の自己決定、自己選択、利用者本位は大切なこと。すばらしい理念。これを継承したまま、障害者の福祉サービスの一元化をはかり、こうした課題を解消し、障害者施策を抜本的に見直そうと提案をしている。
具体的には、障害の種別にかかわらずサービスが提供できるようになる。サービスにかかる規制緩和などにより、どの地域でも、支援の必要度に応じて、支援がおこなわれるようになる。さらに、利用者本位のサービス体系の改変により、地域で暮らしたい、もっと働きたい、というような個々のニーズに対応できるようになるではないかと思う。

【鰐淵(公明)】利用者負担を見直すことで、サービスの充実が図られ、全国どの地域でも生活できるようになるものだと理解している。
厚生労働省として、利用者負担導入ということについてどのように考えているのか?

【西副大臣】現状は、障害別にサービス格差がある。在宅と施設にも格差がある。市町村間の格差もある。また、現在の施策が就労ということにつながっていないという問題もある。そのため、障害種別にかかわらずサービスを提供する、障害者自立支援法案を提案した。サービス量を確保し、また、働く意欲のある人については、支援をする。NPO法人を認めるなど、実施主体の規制緩和をおこなう。また、今まで予算補助でやっていた在宅福祉サービスを国等の負担を義務とする。
利用者負担をお願いしているが、障害基礎年金のみで生活する人、資産の少ない人については、負担の軽減を考えている。こうすることで、制度の安定、サービスの充実が図られる。障害者自身は必要なサービスを選択し、能力と適正に合わせて力を発揮するようにしたい。障害者の自立につなげていきたいと思っている。

【鰐淵(公明)】冒頭でも、法案の意義について説明があった。利用者負担についても説明があったが、現場の方々に説明が行き渡っていないという声もある。目的、利用者負担をなぜお願いするのか、ということについて、障害者や現場の方々に周知を図るひつようがある。

【中村社会援護局長】障害者の自立支援法案なので、なによりも当事者の皆さん、それと行政、制度を実際に担う事業者の方々に理解をしていただきたいと思っている。改革の全体像、利用者負担について分かりやすい資料を作り、審議会にも出して、当事者団体の方々に意見をもらいたい。
先週課長会議があり、現場の方々、への周知をお願いした。

【鰐淵(公明)】今後も、丁寧に説明をしていってほしい。
次に就労しえんについて。障害者の就労支援は大切なことだと思っている。就労移行支援の対象者、具体的な内容について聞きたい。

【中村社会援護局長】一般企業での雇用を見込まれている人を対象としたいと考えている。例えば、一番見込んでいるのは養護学校を卒業した人。最初の就業訓練から実際の就職まで、一貫した支援をしたい。施設内でのトレーニングもあるが、これが実際の就労につながるようにしたい。企業内での訓練についても、体験型の訓練とし、ハローワークと連携し、就職がスムーズにいくように支援したい。就労後も、相談支援や助言をおこなうことで、職場の定着がのぞめるのではないかと考えている。個別性があるので、それぞれにプログラムを作って、2年を目安にやっていきたい。一般就労に結び付けたい。
【鰐淵(公明)】就労支援の実効性をあげるために、ハローワーク等地域の雇用関係団体との連携、事業者との連携が大切だと思う。例えば
委託訓練事業について平成16年度の実施報告ある。対象者数が6000人ほど。実際におこなったのが3,110人ほど。さらなる拡充、強化が必要だと思う。今後についてどう考えるか?

【鳥生】 障害者雇用施策を進めるためには、福祉施策との連携が大切だと思う。就業面、生活面での相談事業もおこなっていきたい。障害者就労支援センターの増設、ハローワークとの連携で、一貫して支援ができるようにしたい。
委託訓練事業については、平成17年度に対象を拡大しておこなった。福祉施設の職員等の理解も大切だと思っている。有機的な連携をもって、施策を進めたい。

【鰐淵(公明)】法定雇用率について。
現在法定雇用率が定められている。しかし、事業者によっては、「納付金を納めれば障害者を雇用しなくてもいい」と思っているところもある。事業者の意識改革も必要なのでは?
障害者の方からこんな声があった。「がんばって就職活動をして、一社決まり、入社した。しかし、今『自分はここにいて意味があるのか?数あわせで雇われただけでは?』と感じる」…障害者の能力が生かされる職場でなくてはいけないと思う。さまざまな状況を見ると、地域社会や職場で普通に働ける、生活できる環境を作ることが大切だと感じる。
事業者の意識改革について、どのように考えているのか?

【尾辻】事業者に対しては、ハローワークが指導している。7月には各労働局に指示をし、未達成の事業者については厳正な指導をするようにと通達したところ。
企業トップの理解が肝要。
さらに、障害者と共に働く現場の人間についての意識改革も大切。好事例の提示により、企業への働きかけを務めていきたい。

最新の画像もっと見る