(野球、サッカーに続き、ハンドボールも「大輔」か!)
ものすごく面白かった! 魅了された!! 取りつかれてしまった!!!
昨日のハンドボール男子「やり直し」北京五輪アジア最終予選。必死の追い上げ及ばず、惜しくも北京行きの切符は5月の世界選手権の結果次第になった。しかし、日本代表だけでなく、相手の韓国チームも含め、改めてハンドボールという競技の面白さにひきつけられたのは、おそらく私だけではないだろう。
スポーツにとってフェアプレーとは空気のようなものだ。あることが当たり前。なければスポーツそのものが、窒息してしまう。
これは、おとといの女子予選について「赤旗」のスポーツ記者が戦評のなかで書いていたひとことだが、下手すると青臭いと受け取られかねない文章を堂々と書けるのがまあこの政党機関紙スポーツ面のいいところだろう(自分が保守や右翼だからって理由でこのフレーズに異論を唱えたり、拒絶反応を示すヤツがいるのかね。オレだったら右翼のヤツが同じこと書いても賛同するけど=笑)。映画『カサブランカ』でポール・ヘンリード演じたレジスタンスの闘士ヴィクター・ラズロが、ハンフリー・ボガート扮する酒場の店主リックに、反ナチス闘争を続ける理由を問われて、「闘争をやめるのは息を止めるのと同じこと。レジスタンスという名の呼吸をやめれば世界が死ぬ」と答えた名セリフにも通じるものがあるが。
実際。、今回のやり直し予選は、会場の代々木体育館のコートにも観客席にも「フェアプレー」という清冽な空気が満ち満ちていて、久々にスポーツのすがすがしさを堪能した試合だった。
女子の対戦は残念ながら韓国との実力差がありすぎたが、男子は本当に白熱した試合だった。男子も通算、あるいは近年の対戦成績を見れば、日韓の間にかなりのレベルの違いが存在するはずなのだが、日本代表チームはやり直しが決まってからの短期間で劇的に格差を縮めて、敗れたとはいえ今日の結果につなげたと思う。
また、私が以前からこのblogなどで主張していることだが、改めて「格差は試合をつまらなくする」、そして「高いレベルでの実力接近はゲームを面白くする最高の調味料」という持論が実証された試合だったと思う。
「やり直し予選」が日韓の連携で実現したこともあり、最近の国際試合につきまとい、野球やバレーボールの五輪予選やサッカーのアジアチャンピオンズリーグ中継でもうんざりさせられた偏狭なナショナリズムが払拭され、韓国選手の高度かつダイナミックなプレーを堪能できたのも、私には収穫だった。「国籍」「不正」という色眼鏡を外すと、なんとスポーツは面白く、楽しいものなのだろうか。
もうひとつ、今日の試合を見ていて思ったのは、これから地上波の完全デジタル化によってさらに普及するハイビジョン、ワイド画面テレビ時代のコンテンツとして、ハンドボールはアイスホッケーとともにきわめて魅力的であるということだ。ワイド画面はゲームの流れに関連するコートやリンク上の動きをほとんどカバーできるうえに、サッカーやラグビーのピッチよりもはるかに小さいため、選手個々のプレーや表情がよりクローズアップされる。ハンドボールじたいの中継経験が少なかったためか、NHKの中継画面には不必要なアングルやリプレーも目立ったが、今後ハンドボール中継が増えていけば、さらに中継の面白さが増すだろう。もちろん、テレビ中継が魅力的であれば、アリーナに足を運ぶ観客の数も増えるはずだ。
競技を特別扱いするのは好きではないが、少なくともハンドボールは今後、大いに振興させるべきスポーツである。国内リーグがバレーボール並み、いやそれ以上にクローズアップされてもいいし、ヨーロッパのプロリーグの試合もJスポーツやスカパー!で流されるようになれば、さらに競技人口が増え、常に五輪出場やその上を狙えるレベルへの到達も夢ではなくなるだろう。
願わくば、これが一過性のブームに終わらないよう、ファンは温かい目で、そしてあまりにも偏狭なナショナリズムと商業主義に毒され、しかも五輪に手が届かなくなったバレーボールと同じ轍を踏まないよう、純粋に競技としての普及・発展に手を差し伸べる姿勢を持ちながら、見守っていきたいものである。
日本の男女ハンドボール代表チームの皆さん。残された世界最終予選、そしてその先にもし北京五輪が待っているならば、まずあなた方が愛してやまない競技の大いなる未来のため、さらに偉大なパフォーマンスを披露して下さい。あなた方のフェアで高度なプレーは多くの人々の幸せに貢献するのですから。
ダイナミック・ハンドボール "宮崎大輔MODEL" 松井幸嗣、齊藤慎太郎、川上整司 スポーツイベント このアイテムの詳細を見る |