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吃音者(どもる人)でつくるセルフ・ヘルプ・グループ 北海道言友会

3月29日のマンデーナイト吃音カフェ報告~吃音の事を誰にどのように伝えますか?

2021-03-31 15:20:51 | 活動報告

黄砂と雨の予報にビクビクしながらの会場入り。午後5時からは対面の吃音セッション。午後7時少し前からお客様がいらっしゃいました。写真には5人しか映っていません。実は先に帰られた女性のお客様がお一人が写っていませんが全部で。今日の話題も南が編集してご報告いたします。

□「きよしこ」の続きのお話
〇賛否両論?評価は分かれるものなんですね。
・「きよしこ」は吃音のある人にとって、なかなか見るのが辛いんですね。「こんなきれい事ではない」という意見もTwitterに上がっていましたね。
・そうでしょうね。自分と吃音との関係がどうだったかという事も、ドラマの評価には影響するでしょうね。
・私は本を読みましたが、ドラマの方よりもぐっとくるものがありました。読み進むのが大変でした。
・私は映像の方がドキドキしました。

〇嫌だったシーンをもう一回見直してみました。
・私は、「受験勉強の合間に発音の勉強した方がいいんじゃない。環境が変わると、たくさんつっかえるから」と、かつての教材を出してきたお母さんの態度。そして大学生の彼女が太宰府天満宮のお守りを出して、きよしに「でも言わんとあげんよ。大宰府」と迫り、「だっ・だっ・だっ・だ・だざいふ」と言い切ったところで「言える言える、白石君。いえるやん」言う彼女の要求と評価。この二つが私にとってはとても嫌なシーンでした。この場面は見直しました。私は人の気持ちを読んだり、想像するのがとても苦手。それでも、これはきよしに対する二人の愛情表現だと感じました。
・なんでそう思ったんですか?
・二人の女性の立場は、一人は母親。一人は彼女。母親は自分ではどうしようもしてあげられないと思い、今風に言うとアウトソーシングとして、吃音教室に息子を出しました。効果があったかどうかは別として「発音練習」しか方法を知らなかった。それでも「環境が変わると~」吃音の状態が変化する事は知っていたので、かつての教材を出してきた。子どもに対して親ができる事をしてあげたいと思っての事だったんでしょうね。
 彼女は自分こそきよしを愛していて、きよしの言いたい事、したい事を理解している。通訳できるただ一人の女性だと描かれています。だから彼女は自分の手を離れていくきよしに対して惜別の言葉として「言わんとあげんよ」と「試練」を与えたのかもしれない。
 自分が言われたら、どちらも辛いなあと思ってしまいました。どちらもきよしと直接話して、納得ずくで吃音教室に行かせた訳では無いようだし、通訳をする事を決めたのではないから。
・私がクリスマスプレゼントのおもちゃを決める時にお母さんの取った態度が嫌なのも同じ理由。

〇特別扱いと合理的配慮との違い
・皆さんは例えば注文の時に自分が言えない時にどうしていますか?私は言えるものにしたり、メニューを指さしたり。
・子どもの頃に高級レストランに連れて行かれた事がある。コーンポタージュスープを食べたいなと思ったのですが母親が「コンソメスープ」を頼んでしまった。自分では「こ」が言えなくて、訂正できなかった。そういう経験があるから、母親が勝手にプレゼントを選んでしまった場面が嫌なのだと思う。
・私は彼女と食事に行くときは言ってもらうようにしています。これこれを注文してって頼んでいる。
・それは彼女が勝手にやっている事ではなく、契約ですね。私たちが特別扱いをされるのを嫌うのは、自分に何の相談もなく周りが勝手に「あなたはこうでしょ」と、決めつけた対応をされるからですよね。相談して、お互いが納得の上の事だったら、特別扱いではなくて、合理的配慮になると思います。
・私も特別扱いは嫌ですね。
・嫌な事はみんなちがいますもね。ある小学生のお子さんが「日直が嫌だ」と言った事があります。その時は人前で自分の吃音がさらけ出されて、皆に自分の吃っている事を見られるという事が恐怖だったんです。本人に決めてもらいましょうと、先に親御さんと話し合いました。 “本人がどうしたいか”を優先させようという事になったんです。リモートセッションの時に私が本人と話しました。日直の時に言う内容を文章化して、練習もしました。そうしてから、本人は親とことばの教室の先生と話して、「やっぱり一人で話すのは嫌だ」となりました。担任の先生と相談の結果、本人が信頼できる仲の良い子と一緒に日直のセリフを言う事になりました。結果は?「言えた。○○が(と、呼び捨て)一緒に言ってくれたから言えた」との事。これは本人が選んで、助けてくれた子も同意してくれたから実現したこと。
 ※別な例もあります。あるお子さんは、日直のセリフを一人で全部言うのが大変なので、半分は自分が言って、もう半分は別な子に言ってもらうようにと、負担軽減を求めました。担任の先生の協力があって、日直を乗り切りました。負担軽減の方法や、程度は色々あると思います。本人が求めるなら、回避もありだと思います。これは、本人が自分で要求して、周囲と相談して、やり方が決まるというプロセスを学んでいるからです。きっと「自分でやります」と言えるようになる時が来ると、私は信じています。

□就職活動
〇面接で吃音の事を話す?話さない?
・ずっとアルバイトの面接をしていて、でもだめなんです。派遣登録もしていて、面接を受けるんですけど連絡がないんです。吃音の事を言うからかなあって。
・言うか言わないかは自由ですから、ご自分で決められたら良いと思います。言わなければならないという事はありません。
・バイトって、直ぐに使えて、終わったらサヨナラっていう感じがありますよね。バイトを育てて長く働いてもらおうってならないんでしょうね。正社員を狙ってみたらどうでしょうか?
・私は以前正社員で働いていて、吃音が理由でとても苦しくなったんです。それで会社を辞めましたから、しばらくはバイトの経験をしたいんです。でも今は、吃音の事を言うから落ちているんじゃないかと思うんです。
 ※本当に難しい問題です。吃音でも大丈夫って言ってくれる職場ってないでしょうか?

〇吃音のある人が家庭教師になる
・この間からバイトを始めました。
・何のバイトでしたっけ?
・家庭教師です。相手の子にも吃音があるんです。
・家庭教師を雇うくらいですから、勉強は大変なんですか?吃音のある人の中には、学び方が少し違う人もいるので、もしかしたら大変なのかな?
・勉強の内容が分かっているか、分からないかの意思表示を自分からしてくれないので困っています。
・察してくれるのを待っているのかも知れませんね。
・何かいい方法はないでしょうか?
・例えばカードに「わかる」、「わからない」って書いておいて、自分の状態を指さしてもらう。難しいかなあ?
・先生と子どもとの間には一定の緊張感があるものだと思います。子どもに自分には吃音があると話していますか?話すと距離が縮まらないかな?
・いや、話してないです。まだ何回も行っていないので。今日はその日で、バイトの帰り、直で来ました。
・子どもの側には学力の問題があって、分からない事に対する引け目があるかも知れない。さらに吃音があって緊張があるのかも知れませんね。そういう時に先生の方から「自分には吃音があって、今とっても話しにくいんだ」というようなカミングアウトがあっても良いんじゃないかな。子ども達は先生の失敗談とか弱点の話が好きですよ。
・自分は今、言葉が出てこない時には先に説明とかを書いて、それから話すようにしているんです。吃音の事はまだ話していないので、私に吃音があるかどうかは分かってないかも知れません。
・そう直ぐには打ち解けないかも知れないけど、先生の方から話してみるのは良いと思います。自己開示は相手に求めるものではなく、こちらから(特に立場が上の者の方から)すると効果的だと思います。「この先生も私と同じ?」と思ってもらえればラッキーですね。
 ※「人生は自己紹介の連続です」というのは、私が講演なんかでは何時も申し上げている事です。自分では一切話さないつもりでいても、実はその行動や態度自体が自己紹介になっています。それは相手任せの自己紹介になってしまっていると思います。リーダーシップを相手に委ねている事になるだと思います。自分から「私は~」と語りかけると、そのリーダーシップを自分に取り戻している事になると思います。

□次回のマンデーナイト吃音カフェ(4月5日)からコーヒーの提供を試行します。
〇3月8日から飲食基準が変わっていた!
③公共4施設内で飲食する場合、大人数、長時間、飲食中マスクなしでの会話はお控えください。(飲食は「少人数」「短時間」「会話時はマスクの着用」でお願いします。)
・このように、3月8日から変わっていた事に、途中で気づきました。窓口に確認したところ、この基準を守ってくれれば、飲食は可能だとのこと。コーヒーを淹れる事も可能になるとの事。ただし、会話時はマスクを着用してくださることが必要。
・そこで、次回のマンデーナイト吃音カフェでは、お試しにコーヒーを提供してみたいと思います。今まで以上に感染予防対策をしっかりしましょう。
 次回は4月5日(月)の午後7時から9時です。
 ※参加費は100円で、お菓子付。コーヒーは200円。紅茶はティーバッグで、その他の飲料共に100円。飲み物のご注文は自由です。コーヒーは2種類から始めます。味噌汁やスープバーはもう少しお待ちください。
 ※お問い合わせは南まで。電話:090・6216・1156、メール:todosan6☆gmeil.com。FacebookやInstagram、Twitter、北海道言友会公式ブログ等もご覧ください。


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