4月最初の帯広吃音カフェは南も含めて6人の参加。話題の中心は「辛い時をどう過ごす?どう見守る?」でした。
午後1時からの吃音子どもカフェは親子一組の参加。色々とお手伝いをしていただきながら始めました。「これってなあに? 街中編」では、お子さんの出す問題を南が解けなくて降参しました。南の出した問題を1発回答で当てられもしました。途中、「読めない」、「声が出ない」と訴える場面もありました。吃音のある私たちには時々起きてくる現象です。リズム効果法を使って、そういう時にもやれる事はあるよという体験をしてもらいました。後から到着してきた大人の方々も参加していただいて、クイズをしましたが、お子さんの感は冴えていました。今回は子ども達が集まれませんでしたが、次回以降に期待いたします。
午後3時からは吃音大人カフェ。南も含めて4人の参加。例によって南の編集で、話された内容をまとめてみました。
▢環境の変化と吃音の変化との関係
〇人数の多少は吃音に影響を及ぼすのかも知れない
・大人数の職場から少人数の職場に移りました。大きなところでは、人の名前を呼ぶことが必要で、大変でした。職員間の緊張も、ちゃんと話さなければならないという緊張感があったと思います。
・小さなところに移って、楽になりましたか?
・今のところはそう思っています。大きな職場だと人間関係もちょっとよそよそしいところがあると思います。人数が少ないと(今は7人位かな?)話す時も馴れ馴れしく話せる。そううると吃音も出にくいなと感じています。
・いいですね。
・でも、関連する職場が隣にあって、そこは3人かな?まだあまり親しくないので馴れ馴れしくは慣れないです。そことの電話のやり取りを担当する事がこれから多くなると思います。
・そこの方々と親しくなるにはどうしたらいいでしょうね。お世話になる機会を作るとか、何とかないでしょうか?
・実は職場のボスにも吃音があるんです。就職する際に私の吃音の事を話した際に「自分にも吃音があった。あれは辛かった」と、お話してくださったんです。今は吃音がある事はほとんどわからい。私に吃音があるから気づく程度かも知れません。
・吃音から回復した方という事になるんでしょうね。回復しても吃音に関する記憶はあるし、消えたわけではないので、時々出てくるんでしょうね。隣の職場の人達に「うちのボスと同じ吃音があるんです。電話で上手く話せない時があるかも知れませんがよろしく」って話してみるのはどうでしょうね。
〇時間の経過の中で話しやすくなる場合もある
・大学3年生の子がいます。「自分は吃音が治ったかもしれない」と、最近言っています。
・治ったんでしょうか?
・小さいころから、外では上手に話せるようになって行っても、家の中では結構吃っていました。その外での話し方についても、以前よりはずっと上手に話せるようになったと感じているようです。本人としては「話し始めをゆっくりと話すようにしていたら治った」という事のようです。
・もしかしたら、大学生活を楽しんでいるのではありませんか?サークル活動や大学を中心とした人間関係が良いのではないかと思いますがどうでしょうか?
・楽しいと言っています。
〇子どもが吃音で苦しんでいる時に
・小学1年生になる子に吃音があります。小さい頃から吃音があります。いっぱいしゃべるし、いっぱい吃るタイプかなと思います。去年心理検査を受けました。言葉の知識はたくさんあるけれど、行動の模倣とか、ことばで物事を表現するのが苦手だと言われました。小学校に対して、言語聴覚士さんから文書も出してもらいました。
・行動の模倣が苦手だという事は、物事を覚えるのに、黙ってやることを見て真似をしなさい(平仮名や漢字の書き方、体育などで時々そういう事を言われることがあります)という事が向かないという事かな?説明しながらやって見せて、本人にやらせて見せて、というようなのが向いているのかも知れませんね。
・勉強が上手くいくか心配なんです。ちゃんと漢字なんかを覚える事が出来るでしょうか?周囲の子等はもう平仮名を書いているんです。
・小学校ではこれでもかという位に丁寧に平仮名と漢字を教えてくれます。学び方に注意をしながら見守ってあげれば大丈夫だと思います。
・最近気付いた事がありました。家事をしている時に呼ばれても待ってねという感じで接していました。それを、呼ばれたら返事をして、家事はいったん止めて、子どもの目を見て話を聞くようにしました。そうするといっぱい色んな事を話してくれるようになりました。
〇きょうだい児がいる場合
・4歳になる妹にも吃音のような話し方が出てきました。去年の12月からです。繰り返しています。これは吃音でしょうか?
・もしかしたら、自然な非流暢性(誰もが経験する、一時的な話し方の特徴で、数カ月位で話し方は上手になっていきます)かも知れません。4カ月を過ぎても話し方が変わらないと、吃音に移行していく可能性があります。
・お兄ちゃんの方にばかりかまっていて、妹は放っておいたような感じがします。これが悪かったのでしょうか?よく、下に子どもができると吃音が始まったという話がありますが、それと同じでしょうか?
・そういう場合もありますね。そういう場合は、吃音のある子とは別に、今吃音のような話し方のきょうだい児と特別な時間を過ごすような事をしてもらって、効果が出た例もあります。3~4カ月で吃音のような話し方が消えました。
・兄弟って、年が近い程対抗意識や何かが強くなると思います。だから二人連れて歩いていると、こちらがイライラするくらい二人で競い合うような格好になって、つい叱る事が増えてしまいます。それが一人ずつでいると、叱る事が減るというか、色んなことが気にならなくなります。なんかこちらにも余裕があるんですね。多少の事は許せる感じもします。
・面白いですね。兄弟姉妹は、年が近くても離れていてもどうしても対抗意識のようなことが出てきてしまうんですね。私はそれぞれと別々にデートすることをお勧めしています。・大学3年の子と、中2の子との間にも似たような事がありました。7年も離れているのに、上の子からすると、突然生まれた同朋に親の愛情を奪われたような気になるのでしょうね。上の子も、下の子も何か感じている事があるようです。
▢辛い時をどう過ごす?どう見守る?
・ネットなんかでは、「吃音があるので、生きるのが辛い」、「死にたい」、「吃音のある人と出会った事がない」という事が良く書かれていますね。本当に辛いと感じいるんだろうなと思います。
・私は19歳になるまで、「吃音」っていう事を知りませんでした。思うように話せないのが辛くて、たまらない時期もありました。専門学校に行っている時、苦しくて担任の先生に相談したら、調べてくださって資料をたくさんコピーしてくださいました。それで初めて自分のこの話し方は吃音というだと知りました。その後両親が調べてくれて、言友会に繋がりました。
・そうでしたね。ご両親そろって札幌に来てくださいましたね。
・大学生の子には、東京にも言友会があると伝えていますが、今のところは行くようには考えていないようです。息子にも、吃音で自分の言いたいことが言えない、辛い時期があったようです。
・子どもには本来、自分で成長していく力があると思います。でも、その力を発揮できないようになってしまう時もあります。自分と同じような吃音の悩みを抱えている仲間との出会いが無い人は孤立感を深めると思います。いつでも必要があれば、お住いの地域のSHG(セルフ・ヘルプ・グループ)等をご紹介いたします。そうお伝えください。何かの折に息子さんとお会いできたらと思います。
・小さい子でも、小学校に入ったらどうなるかと心配することもあります。
・現在担当していただいている言語聴覚士さんから何か文書は出ていますか?
・あります。中身の説明も受けました。それでも、親が学校に対してどう説明したら良いのか困る事もあります。文書もいただきました。
・お子さんに吃音が出る事があると思うので、そういう事で笑ったりからかわない様に学級の子ども達に伝えてというは良いですね。さらに必要があれば「笑わない事。わざとにしているのではないから。」という説明をしてあげてというのも良いですね。
・そういう指導は本人がいない時の方が良いのでしょうか?
・学級で話す前に、本人に聞いてみてはどうでしょうか?自分がいないところで話して欲しいと言った子もいます。私は自分のいないところで自分の話をされるのは嫌なので、いるところで話して欲しいという気持ちです。
※子どもには、成長していく力があると信じるのは難しい場合があると思います。それは子ども自身が自分の成長する力を信じるのが難しい時期があるからだと思います。特に吃音の状態が強く出ていて、流暢に話すのが、或いは話せるように装うのが難くなっている時はそうだと思います。自分が吃っている時の状態を人の目にさらしたく無いし、自分が吃っている状態も嫌いだとう感情があるのは自然な事です。でも、吃る事が悪い事だという価値観は自分から持つのではなく、人からの評価や価値観を押し付けられているのだと思います。そういう事から守ってあげられるのは、身近な大人です。保護者だけではなく、学級担任、職場の同僚や上司もその力になれる方々だと思います。
※自分で自分の吃音について説明できて、「私はこうしてもらえると、働きやすい・学びやすい」と言える子を育てるのは、教育(学級担任だけではなく、ことばの教室も含めて)や言語聴覚士さん、研究者、保護者の連係プレーがあって可能な事だと思います。そういう輪の中に、言友会や様々な自助グループが加わってくださると、心強いなと感じます。苦しい時、辛い時こそ、仲間の力、居場所の力が必要だと思います。
※次回の帯広吃音カフェは、6月の第2土曜日、6月12日(土)午後1時から吃音子どもカフェ、午後3時からは吃音大人カフェです。帯広だけではなく、近郊の皆さんもどうぞご参加ください。連絡をお待ちしております。
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