9月24日。火曜日。日経新聞にレッドバロンがアメリカの投資ファンド(べインキャピタル)に買収される記事がのった。レッドバロンは国内最大の中古二輪車販売会社だが、2023年に創業者がなくなり、事業承継が課題になっていたそうだ。べインキャピタルはレッドバロンの過半数の株を取得するが、創業家も一部出資をつづけるとのこと。将来的にはレッドバロンの上場も視野にいれているとのことだ。当面は現在の経営陣が続投するとのことだから、運営に変化はないもようだ。でも上場企業になるなら、働いている人たちは待遇がよくなるのではなかろうか。そうなれば経営もよくなり、ユーザーも恩恵をうけるのではないか。レッドバロンでバイクを買ったことはないのだが、応援はしている。
つまごいパノラマライン北に入ってゆくと愛妻の丘がある。展望台があるので立ち寄ってゆくことにした。
駐車場にバイクをとめて丘にのぼってゆく。
南には田代湖がみえる。
東ではトラクターの人がキャベツを収穫中だ。
展望台の前のベンチでやすむ。
ここで長袖シャツをぬいだ。足の先には田代湖が見えていた。
つまごいパノラマラインをすすむとロング・ストレートがある。
高原をゆく気持ちの良い道を時速55キロほどで走行する。セローはローギヤードなのでこのくらいがちょうどよい。後ろからやってくるバイクや車は先にゆかせた。
県道59号線にはいり、国道292号線号線にぶつかった。ここを左にゆくと草津でヒルクライムのため通行止めとなるから、右の長野原にくだった。
万座鹿沢口から浅間白根火山ルートをゆこうとすると、ここは有料道路だ。通行料金をはらうのは嫌いなので、国道と県道で湯の丸高原にもどることにする。
県道94号線沿いの河原で休憩する。もう湯の丸高原はちかい。
車にもどれば今回のツーリングはおわりである。
湯の丸高原にもどってきた。セローをハイエースにつみこむ。
GМOアスリーツパークでは小学生のマラソン大会をやっていた。山をおりたら持久走などできない気温だが、ここならできる。指導者が登坂で、ここからあげてゆけ、とペースアップの指示をだしている。小学生にこんなこと言うかなとおもうが、彼らは長野県のエリート選手なのかもしれない。いや群馬県かも。なにしろここは県境なので。
小学生の健闘をいのりつつ湯の丸高原をあとにする。
山を下ると暑い。気温は33℃か。ナナーズ東御店で弁当を買って昼食にしようとおもったが、気に入るものがなくて、イートインで豚焼肉定食のご飯大盛りを注文した。590円+50円の640円。これでご飯が大盛りなのかというのが第一印象。普通とかわらない。
豚焼肉は豚バラを甘辛いタレで焼いた一品だ。味は見たとおりにチープだが、クイックで提供されたのはよかった。
車中泊の世界で道の駅みまきの評価が非常にたかいので見にいってみた。みまきは御牧乃湯が隣接しているだけの道の駅だ。売店や食堂は充実していないし、駐車場もせまい。ここは風呂に入って寝るにはよい場所なのだとわかった。
道の駅ヘルシーテラス佐久南に移動する。こちらは野菜や果物が豊富で、レストランもいいし、弁当の種類もおおいところだ。しかし日差しがつよい。痛いほどだ。35℃をこえているのではなかろうか。
売店でスイカや野菜を買う。ここも弁当を買ってイートイン・スペースでたべられるのだが、この日はほとんど売れ切れてしまっていた。レストランも行列だったから、ナナーズで食事をしておいてよかった。
長野県から群馬県にはいった。富岡で群馬県民のソウルフードとよばれる登利平の鳥めしを買う。
前回は竹弁当しかなかったが、今回は松と竹があったので松にした。
竹は胸肉だけだが、松はもも肉と胸肉となり、肉もおおくなる。松のほうが断然いいとは家内の弁だ。
買ってきたスイカを切ると黄色だった。味はメロンの気配のするスイカだ。酷暑のなかでもトランポでの移動は快適だった。35℃以上になるような季節は、トランポ高原ツーリングにかぎるとおもう。
9月8日。日曜日。湯の丸高原の朝。昨夜は毛布を1枚かけて寝たが、未明に寒さで目がさめた。毛布をもう1枚とシュラフもかけてようやくまた眠ることができたの。6時に起床する。登山者の車はまだほとんどやってきていない。セローのシートには夜露がおりていた。
空いている一段下の駐車場に移動してカップ麺の朝食をとる。車内の気温は19℃だ。この時間からランナーは走っている。ものすごい向上心だ。還暦をすぎて、枯れてきた私はとうの昔にわすれてしまっている気持ちである。がんばっている彼らにエールをおくった。
7時すぎに出発する。Tシャツの上に長袖のシャツをかさね、スリー・シーズンのジャケットに革のグローブだ。
今日は菅平の周辺の林道をはしるつもりだった。しかし昨日志賀高原でクマを見たから、菅平のダートはやめにして、動物の気配のしない、きのうも走った池の平湿原から高峰高原、嬬恋村へとつづくダートをゆくことにする。
池の平湿原からの4キロのジャリ道にはいる。見通しのきかないカーブではクラクションを鳴らしていった。
道の途中には補修用のジャリが山にして積んである。
やがて高峰マウンテンパークのゲレンデにでた。
ここは気持ちよく風景のひらけた場所である。
今日はスキー場のセンターハウスまでいってみた。ゲレンデではメンテナンスの人たちが作業をはじめるところだ。冬になったらまたここにスキーにきたいとおもう。スキー場からでてゆくとカワサキ・シェルパがやってきた。今回のツーリングで、山奥で会ったのはこのバイクだけだった。
高峰マウンテンパークの先のダート7キロにはいる。
この道には溝が掘られていて、雨の水をながすようになっていた。こうしておけば路面にクレバスができないから、ほかもそうすればよいのにとおもう。ただこの処理ははじめて見たから、何か問題があるのかもしれない。
ヘアピンカーブもあるが走りやすい林道である。
途中にしゃくなげ園への分岐がある。しゃくなげ園はここから4キロほど奥のようだ。花の季節はにぎわうのだろうか。
ダートをぬけてキャベツ畑にでた。
今日もトラックがきてキャベツを積み込んでいる。収穫の時期は土日も関係なしだ。
つまごいパノラマライン南で長野原方向に走り、国道144号線で田代湖の南をかすめて、つまごいパノラマライン北の入口についた。
ここには看板がたち、ヒルクライム(自転車の山登り大会)のため、草津にちかい国道292号線から先は通行止めとある。それでもパノラマラインはかなり走れるので、ゆけるところまで上ることにした。
県道471号線をもどり、国道292号線で湯田中方向にくだると、すぐに丸池だ。
丸池は30年以上前に草レースにでたスキー場なのだ。回転と大回転に出場したのだが、ゲレンデを見上げても、コースをおもいだせない。傍らにはモニュメントがあり、長野オリンピックの際に聖火ランナーが出発した地点とあった。ここから大回転のおこなわれた焼額山にランナーはむかったとのこと。ここは長野オリンピックの舞台にもなっていたのだ。感慨にふけっていると足元に動物の糞がある。馬糞のようだ。
振りかえると馬とポニーがいた。観光用でもないような感じだが、誰かの趣味なのだろうか。
草レースのときは丸池のホテルにとまったのだが、奥の建物だっただろうか。30年以上も前のことなので判然としなかった。
湯田中までくだると気温は29℃となった。和菓子や美術館で人気のある小布施は観光客でにぎわっていたが、暑いし、おっさんひとりで散策するようなところではないので通過する。中野は31℃だ。直射日光もつよいので、高原の菅平ににげることにする。途中にあった湧き水でかわいた喉をうるおした。水は沸かしてからのむようにと市の看板がでていたが、私は気にしない。自然の水をそのまま口にしたいのだ。もちろん自己責任である。冷たくて清々しい味わいだった。
菅平はつかみどころがないほど広かった。菅平は丸池と同様に30年以上ぶりだが、記憶にのこっているものはない。サッカーやラグビーの合宿がおこなわれているのが、菅平らしかった。
15時半に湯の丸高原にもどってきた。湯の丸温泉ホテルで風呂にはいる。料金は700円だ。大きくはないが、内湯に露天風呂、サウナもある気持ちの良い施設だった。立ち寄り湯は17時までなのでご注意を。
風呂からあがってバイクで買い出しにでかける。地蔵峠をくだって東御方向にゆくと、10キロで地場スーパーの安楽屋があった。ここは魚につよい。品揃えも独特でおもしろい店だった。
つづいて川上村にゆくとかならずたちよるナナーズ東御店にもゆく。ここは大きい店舗だが、内容はうすかった。明日にそなえてセローに給油をする。燃費は驚異の52、0K/L。単価は177円とやはり長野県はガスがたかかった。
湯の丸高原にもどってきた。登山者が車をとめていたトイレのある駐車場はガラガラになったので、こちらにハイエースを移動した。トイレは24時間利用可だ。ランナーはまだ走っている。ものすごい情熱と努力だ。彼ら彼女らはバネがすごく、体もきたえあげられているから、一流選手なのかもしれない。
セローをハイエースの横にとめて、車内でひとり宴会を開始する。ラダーがテーブル替わりだ。安楽屋で買ってきた半額のカツオとイサキの刺身、ナナーズでゲットした、やはり50パーセントオフの冷し中華で一杯である。私は半額シールによわいのだ。
安楽屋のイサキには刻み生姜がまぶされていて、味にアクセントがつけられており、そのセンスに感心した。もちろん生姜など不要の鮮度のよさである。カツオもおいしかった。冷し中華は元々270円の安物だ。値引きシールにまけて失敗した。2024年シーズン23日目の車中泊。
7キロのダートをぬけて舗装路にでると、キャベツ畑がひろがっていた。こんな山の中まで開拓しているのかと、驚くような高地、寒冷地にである。そしてこの先に何キロにもわたって農地がつづいていた。
畑には大型トラックが多数きていて、段ボールにつめたキャベツを積み込んでいる。東京方面にはこぶのだろう。キャベツをつくって、朝早くから収穫する農家の方々と、それをはこぶ運送業の人たちが、精一杯はたらいている。段ボールにつめるまでが農家の仕事で、車につみこむのはドライバーの役目のようだ。日本人はつくづく骨惜しみをしない、真面目な民族だなとおもう。
この地域は北海道のような広大な耕作地がひろがっていた。
つつじの湯で国道144号線にぶつかると右折して東にすすむ。草津で昼食をとるつもりだったが、まだ早いので、その手前の長野原のセブンイレブンで弁当を買っておいた。この先は高山帯となるので、レストランがあるのかわからないからである。気温は長野原で27℃、草津に上ると24℃だ。草津の天狗スキー場で休憩する。スキー場ではマレット・ゴルフとインライン・スキーをたのしんでいる人たちがいた。
草津から白根山にむかって上ってゆくと森林限界をこえ、草原状の風景がひろがるようになった。殺生河原とよばれる火山地帯もあり、有害ガスの硫化水素が発生している付近は駐車禁止の看板もでている。危険地帯をぬけた先でバイクをとめた。
まわりにはめったに目にすることのできない高山の風景がひろがる。
灌木と岩石のちらばる荒涼としたところだが、こんな高地にロードバイクの人たちがたくさんいるから、おどろいてしまう。この後で知ったが、翌日にヒルクライム(自転車の山登り競技)の大会があるので、その練習のようだった。
さらに上ってゆくと左手に弓池がみえた。
池のまわりに木道があるが、周囲の駐車場は閉鎖されていたから、立ち入り禁止になっているのかもしれない。
やがて国道最高地点についた。
標高2172メートルとある。この付近の気温は17℃で、すこし下った横手山は20℃だった。まさに下界とは別世界である。
山をくだってゆき、熊の湯のひろい駐車場にスペースをみつけて昼食をとった。セブンイレブンで買ってきた、とみ田のつけめんと鮭おにぎりである。とみ田のつけめんはレベルのたかい一品で、まちがいのないおいしさだった。
県道471号線で高天ヶ原、焼額山、奥志賀高原とぬけて、丸山林道の入口にやってきた。志賀高原の北にある、2本の林道のうちの1本で、奥志賀牧場をかすめて、中津雑魚川林道に接続する16キロのダートだ。
丸山林道にはいってゆくと200メートルでダートになった。このさきはブランド・コーナーがつづく。先が見通せないので、獣よけにホーンを鳴らしたほうがよいなとおもいつつも、ならさずにカーブをぬけると、真っ黒い動物が茂みに逃げこむのが見えた。20メートルほど先だ。おもわずバイクをとめる。黒い奴は頭から草のなかに入っていったので、私が見たのは後ろ足と尻だけだった。大きさは1メートルほどの、クマである。
クマは林の奥にいってしまったのではないかと考えたが、林道をはしるのはやめて、Uターンすることにした。林道でクマを見たのははじめてである。こんなときは無理に山にはいらないほうがよいと感じたのだ。今日は山の神様のご機嫌がわるいのだろう。志賀高原の2本のダートを走るつもりだったが、両方ともやめることにした。