皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

三本締めと行田締め

2018-12-11 22:16:53 | 風の習わし時を超え

『ぼーと生きてんじゃねーよー』は今年の流行語大賞のノミネートフレーズ。番組はNHKのチコちゃんにしかられる。今全盛のクイズバラエティー番組だ。好奇心旺盛な5歳のチコチャンが岡村隆史をはじめ大人の解答者に疑問を投げかけるという設定で、わからない大人に例の決め台詞を浴びせるのがうけている。先週土曜日に初めてみたところとても面白く、4年生の長男は食い入るように見ていた。オンタイムは金曜夜だが、翌土曜日の午前に再放送されている。オンタイムより再放送の方が視聴率を稼ぐらしい。土曜の朝に子供と休みの親、うまくすればその祖父母が同時に見るらしい。三世代視聴率が上がれば番組の視聴者層が広がり、反響も大きいという。流行語になるのもうなづける。

かつて民放の人気番組を手掛けたプロデューサーがフリーに転身して制作にかかわっているという。こうした教養バラエティーのはしりは、フジテレビの『たけしの平成教育委員会』の様な気がする。キャラクターの声がどことなく似ている。

前置きが長くなったが、先週のテーマに三本締めの謂れについて取り上げられていた。祭りや株主総会など、催しの最後に参加者が手を叩いてその式典が無事に終わったことを祝う風習のことだ。手締めの音を『シャンシャン』と表現し、質疑応答なしに形式だけの株主総会を『シャンシャン総会』と揶揄することもある。手打ちによって締めるが語源とされ、関西では手打ちともいう。主旨は取り仕切ったものが無事の終了を感謝するため、来賓者に音頭を頼まないことが習わしとなっている。チコちゃんに叱られるでは、ここを間違えと指摘するクイズになっていた。また手締めの始めの掛け声は『せーのっ!』ではなく『いよ~』が習わしという。『祝おう』が転じたものらしい。こうした言葉の変化は日本語らしく知るとことのほかうれしいものだ。更に『お手を拝借』などの表現もつけると尚よい。

 一本締めの意味は『シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャン、シャン』と三回、三回、三回プラス一回と手を打つことにより九に一を加えることで、丸く収まることを表しているという。拍手は喜びの表現で、赤子が手を叩いて笑うのことのように、人間本来に備わった表現ともいわれている。またこの手締めを三回行うことを三本締めと言い、本来は三本締めが祝いの正式の形のようだ。

近江商人の商売理念に『三方よし』があり「売り手良し、買い手良し、世間良し」という。三本締めも同じで、神社の祭祀であれば、年番、氏子、神職(神主)に対して祭の後に手締めを打つ。

この手締めの後に直会となるわけだ。

ところでこの手打ち、手締めには地方性があり、江戸締め、大阪締め、名古屋締め、伊達締めなど様々あるようだが、私の住む町忍藩には行田締めと言う伝統的な手締めがある。勿論三本締めではあるが、一本の手締めの音が十叩きではなく、八叩きである。

「いよー、シャンシャンシャン、シャシャシャンシャン、よ~シャン」のリズムで手が打たれる。末広がりの八叩き。素晴らしいリズムだ。恐らく行田市内の祭りや催しは全てこのリズムで打たれていることだろう。「和装文化を足元から支える、足袋蔵のまち行田」日本遺産の構成要件に加えてみてはどうだろう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新宿総鎮守 花園神社 | トップ | 越すに越されぬ田原坂 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

風の習わし時を超え」カテゴリの最新記事