この広い世界を。

可愛い歳月。
思ったことの記録。

中秋の名月。

2015-09-27 18:28:37 | ひとしずく。
(過去記事より。宮沢賢治っぽく書いたもの)


帰り道ぽくぽく歩いていると、
おい、そこの、と十五夜お月さまから呼ばれます。


今宵は雲に覆われて、そのまんまるのお顔は見られないとおもっていたのに、
雲の透き間からちらりとそのお顔をのそがせています。


わたしは、はい、と返事をして、
秋のまん中のお空にぷかりと浮かぶお月さまを見上げます。



やさしい金色。



はい、と返事をしてみたけれど、
お月さまはなにも言わず、くるくるまわったり、
ぺかぺかお顔を光らせてみたり、ぶぅぶぅと膨らんでみたりして、ひとりで遊んでいます。



まんまるお月さま、なんてかわいいんだろう。



性格もやさしいまんまるお月さま、
わたしはゆっくりとながめ好きだなとおもうのです。



ただそれだけでよいのです。


今宵の空には中秋の名月とよばれる、
やさしい金色をしたまんまるお月さまがぷかりと浮かぶ。



ただそれだけでよいのです。



意味なんて、わたしには必要ないのです。

金もくせいの匂いがする。

2015-09-16 20:15:33 | ひとりごと。
ああ、もう一年たつのね。

今年も金もくせいの匂いのする、
優しい金色をした季節になりました。

学生のころ「olive」という大好きな雑誌があって、
その雑誌の最後のほうに山田詠美さんの小説が載っていました。

その小説に書かれていた言葉。

その小説に思い出もなにもないのだけれど20年以上経った今も、
毎年金もくせいの匂いがすると自動的に思い出すのです。



金もくせいの匂いがする

甘くて歯が痛くなりそう

秋には恋に落ちないって決めていたけど もう先に歯が痛い

金もくせいを食べたの

金もくせいも食べたの

だから歯の痛みにはキス



いい大人になったかなんてのはわからないけれど、
金もくせいの匂いがするたびにいちいちこの言葉を口のなかで諳んじるわたしは、
わたしの感覚が大好きな大人のわたしになることができました。

愛おしいわたし。

金もくせいの匂い。甘くて歯が痛くなりそうだね。