はれっとの旅路具

(はれっとのたびろぐ)田舎暮らしと旅日記
金沢・能登発 きまぐれ便

一箇月

2007-05-04 19:50:17 | 能登半島地震
1日は、奥能登で仕事でした。

能登有料道路の横断幕能登有料道路を走ると
「がんばっています 能登半島」の横断幕が…

気持ちは判りますが、
来てくれた方に知っていただくより
もっと遠方の方に告知すべきなのでは?

と素朴な疑問(^^;ゞ

能登有料道路の迂回路8箇所迂回路がありました。

どの箇所も、それ程無理なく通行できるようになっていました。

これを機会に全線4車線化されるような気もします。

外部の方で時々
「田舎に4車線など無駄」
「能登島なんかに2本も橋は無駄」
と仰る方がいますが
(後者は朝日新聞で大々的に
 キャンペーン記事を張られたことがあります)
災害に強いインフラとは
多少の冗長性が必要な事が
今回の大地震でも証明されました。

(かと言って、本当に無駄な道路は必要無いと僕も思います)

輪島ふらっと訪夢の幟能登鉄道の旧輪島駅跡は、「ふらっと訪夢(ほーむ)」という施設になっています。

広域バス・観光バスのターミナルと
観光案内所を兼ねたものです。

ここに、
「元気です!能登半島 輪島」の幟

ハマちゃんら役者さんからの応援メッセージそして映画「釣りバカ日誌17」の
出演者の方々からの
応援色紙も張り出されていました。

ハマちゃん、スーさんが大写しになった
「元気宣言・能登」のポスターも


稲忠漆芸会館実は、私の車には
同乗者が…

稲忠さんの漆器会館で
「復興祈念 輪島総ざらえ市」と銘打って
震災に遭って、傷がついてしまった
在庫品の展示即売があると
今朝TVのローカルニュースで
偶然、知りました。

このニュースを見ていた義母が
輪島に連れて行って欲しいと言い出しました。

まぁ、公私混同なんですが…(^^;ゞ
私の打ち合わせ中に、ここで待ってもらい
後は一切仕事優先ということで


打ち合わせ時間が、先方の都合で待機となっている間
僕も中に伺いましたが、
稲忠さんの奥様もいらっしゃいました。

数年前、一度だけお会いしたのですが、
あちらも覚えて頂いていて、感激

やはり商売をされる方は違うのですねぇ~


能登空港ターミナルさて、打ち合わせも終わり、お昼です。

先日、勤め先まで訪ねてくれた夢一輪館でお蕎麦を頂くことに

途中、能登空港のターミナルを覗いてみました。

能登の木材を使った空港ビルを提案していたのですが
実際にできたのは、これ

木造のターミナルビルは、
北海道の中標津空港に唯一つあります。

乗客からの応援メッセージ搭乗待合には、
利用客のみなさんからの震災復興応援メッセージが

多くの方からご声援を頂いています。




珠洲キャンペーン同じフロアでは、
能登半島先端の珠洲市の産品が
展示されていました。

今でも古来からの製法を頑なに守って作られた
珠洲の塩田の塩は、東京の有名シェフからも
一流レストランで使われるフランスの岩塩と
比べられるほどの質

他にも、珪藻土の切り出しコンロなど
知る人ぞ知る逸品があります。

ターミナル内キャンペーン今の時期は
能登キリシマつつじの花の季節でもあります。

震災復興イベントとして、
3~5日に掛けて
このキリシマつつじが展示されるようです。


夢一輪館は、道の駅桜峠を越えて直ぐ
少しだけ里山に入ったところにあります。

この日は平日でしたが
ゴールデンウィークの中日だけあって
結構なお客さんがありました。

とりあえず、ほっと一安心

でも、途中すれ違う車の量や
ナンバーを観察していたのですが
決定的に数が少なく、県外ナンバーもチラホラ程度

定期観光バスには人影がありませんでした。

優しい顔になった見附島その後急遽、珠洲に向かうことに

震災で一部崩れたと耳にした見附島

空海大師が新潟方面から能登に船で来られた時、
最初に見つけた島であることが由来と聞きました。

また、その形から別名軍艦島とも
明治時代の軍艦に似ていると言えば似ています(いました)。

ところが、船の舳先の上部に当たる部分が
今回の震災で崩れ
なんだか、とぼけた顔のようにも見えます。

戦舟から、平穏な船になったとしたら
それも時代の流れを象徴する(してほしい)ものと
なりそうな気がしました。

珠洲での用務を終えて戻り。

曽々木海岸方面の様子が気になり、
仕事も終えたことなので
少し遠回りですが、寄ってみることにしました。

ところが、海岸線を結ぶ国道249号線は
曽々木トンネルで通行止め

途中の案内看板に従って迂回路を進みました。

上時国家そして曽々木海岸近くの上時国家

平家の末裔とのことで立派なお屋敷です。

時間も遅くなっているので中には入らず、
駐車場にあるお土産店を覗きます。

義母がここで、花刺しを求めている間に
店員さんに伺うと
このGW前半はとても、黄金週間とは思えないほど
閑散としているそうです。

やはり、ただ一箇所とは言え、
観光スポットを結ぶ国道が通行止めで
遠く迂回をしなければならないのが
響いているようです。


曽々木から西方面曽々木から輪島へ向かう
西方向へは、道路は通じています。

途中数箇所、復旧工事のため
交互通行になっていましたが、
眼下の渚には何事も無かったかのように
波が寄せては返しています。

千枚田全景奥能登の観光名所のひとつ千枚田

ここは、被災していないようです。

複雑に入り組んだ畦は
見事に草が刈られていました。


千枚田の代掻き良く見ると人影が…

カメラのレンズを最大望遠にして
漸く田んぼの代掻きをしていることが判りました。

複雑な形の小さな田んぼ
絶対に機械ではできません。

一枚一枚を鍬で耕し均してゆく作業
根気以外の何者でもありません。

しかも天気は小雨
重い雨合羽を着ての作業は
重労働です。

観光客が気楽にパチャリと
美しい棚田の光景を
カメラに収められる背後には
このような地道な活動があるのです。


このルートを進むと東側から再び輪島市内に入ります。
その手前に午前中訪れた稲忠さんがあります。

すると乗っていた義母が
どうしても気になるものがある
そうで、再び立ち寄りました。

「復興祈念 輪島総ざらえ市」は
漆器会館2階奥のスペースで開催されていました。

立派なお重などが地震で崩れ、
やはり傷があります。

店員さんは何処にどのような傷があるか
丁寧に説明してくれました。

輪島塗は、購入後も直してくれることが
セールスポイントの一つになっています。

いくつかの塗師屋(ぬしや)さんとも
交流させていただいた経験から
この程度なら直せば判らなくなるなぁ
というものも中にはありました。

直せるとは言え折角の秀作でも
一旦傷がつけば半額以下

勿体無い限りです


義母が総漆塗りの衝立の前から動きません。

気になっていたのは、これのようです。

幸い4箇所ある傷は、すべて周囲の角
加飾されている真ん中の図柄部分は無傷です。

無傷なら正札は決して高くないお値段。

それが6割引の価格に

義母は普段は、コツコツしていますが、
いざとなったら本物をドンと買う豪気な処があります。

僕が嫁いで((^^;ゞ)来た頃から
玄関に素敵な衝立がほしいと
岳父と話していたことを
思い出しました。

お店の方も柔軟に対応していただき、
三ヶ月間を掛けて修復した上で
特別価格で決着しました。


微細とはいえ、二階の屋根を
全面的に直さなければならない我が家

怖くて蔵の中がどうなっているのか
一ヶ月経っても誰も入ろうとしていません。

それなのにこの買い物

被災者が被災した漆器店から被災した作品を買う

ん~と思うような光景でした。


成約御礼にと、
水菓子を頂き、手土産まで頂戴して
お店を後にしました。

車中で
「なぁ~ん。
 自分ちで傷つけたと思やぁ~ そんなもんやわいね~
 安い買い物やった」と笑う義母。
「その代わり、記念やさかい『玄関の邪魔や』と言わんといてね」と…
(^^;ゞ

とんでもない大地震に見舞われたのに
我が家を置いてでも営業再開を次々と果たして
前に進もうとする能登人の底力を
垣間見たような気がしました。


この市は、5/14までだそうです。