サンストーンという名称も、ムーンストーンと同様、わけがわからない状況になっているようで。
正統なものは、赤いオリゴクレース(灰曹長石)にラメ(アベンチュレッセンス)が入ったもの。インド産。ラメはゲーサイトないしヘマタイト。
けど、長石の種類が違ったり、アベンチュレッセンスの出方が違ったり、アベンチュレッセンスがなかったり、果ては色が違っていたりしてもサンストーンと呼ばれる。は?
ホシノカケラ著者さんいわく、
《サンストーンは特定の鉱物の名前ではなく、斜長石の中でも光り輝く「アベンチュリン効果」を持ったものを指す名称です。もっとも一般的なものは、南インド産のオリゴクレース(灰曹長石)にゲーサイトが入り込んだ写真のようなものです。
近年では、オレゴンから産出する透明度が高いラブラドライト種のサンストーンや、コンゴで産出したアンデシン種のものも出てきて、サンストーンの定義的にどうなの?論争が巻き起こっているそうですが。とりあえず宣伝するための名称と鉱物名を曖昧にするのは良くないと思います。》こちら。
まあねえ、オリゴクレースかラブラドライトかアンデシンかというのは、成分の微妙な比率差なので、区別は難しいかもしれませんけどねえ。
これはインド産の一応正統的なサンストーン。内部に七色に輝く点々が散りばめられている。
しかし、このサンストーンというやつ、写真にはラメの輝きが写らない。あちきの腕や機材のせいもあるけど、石屋さんのサイト写真でもなかなかきれいに写ったものはない。何なんですかね。
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このアベンチュレッセンスというのもちょっとわからないところがある。もし、鱗のような欠片がばらばらに散りばめられているなら、いろいろな角度でばらばらに光るはず。けど、多くのサンストーンは一定の角度でしか光らない。成分の異なる長石層の界面に金属成分が挟まっているということなのだろうか。
これは「イリュージョン・サンストーン」という名前で売られていたもの。
中に鉄鉱物鱗片が散りばめられているのではなく、表面に虹色を発する構造がある。
写真では写せないけど、鮮やかな虹色が煌めく。(しかし全然撮れてないねw)
これはいったい何なのだろう。成分差のある層での発光、つまり「構造色」? それとも鉄分? 層の界面に鉄分が入っている?
ルーペで観察してみても、どうもよくわからない。どっちかというとラブラドライトに近い感じがする。
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最近出会ったのがこれ。
角度に関係なくばらばらに光るアベンチュレッセンスもあれば、キャッツアイのように石表面に光点を結ぶ層構造の光もある。何ですかね、これ。
透明度が高くて美しい。ムーンストーンと同様、透明度が高いと、印象が全然変わるものですねえ。
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さらに混乱を深めさせるのが、「オレゴン・サンストーン」。わりと最近発見された石。
Vec Stone さんの解説を引用させていただきます。
《オレゴン州のサンストーンが世界の注目を浴びたのは1980年夏、オレゴン州中央部のポンデローサで国有林の伐採のための道路建設中に大規模な鉱床が発見されたのがきっかけでした。……従来のサンストーンは灰曹長石に赤鉄鉱を含むものですが、それは曹灰長石「ラブラドライト」種のもので、その煌めきの原因は「自然銅」の結晶を含む影響で、真紅からピンク、グリーン、シャンパンのような色合いから透明なものまでカラーバリエーションが豊富なため、従来のサンストーンのイメージを覆しました。》
この一派、姿がてんでんばらばらで、ほんとにわけわかめ状態。人気があるのか値段も高め。
これはミネラルフェアでわりと安く出ていたので買ったもの。
実に微妙な色合いで、赤や青や紫や黄がころころと交代する。ちょっとコーネルピンの「プレオクロイズム」に似ている。
動画はこちら。
あちきはこういうの大好きですけど、「あれ? ラメないじゃん」。
どうも黄色というか黄金色に光るのがインクルージョンの銅らしい。けどよくわからない。
安いからアベンチュレッセンスがないのかと思ったら、科学博物館の宝石展に飾られていたオレゴンサンストーンも、ほぼこれと同じ姿でラメは見えない。
おいおい、ラメのないサンストーンなんてありかよ。まあこれはこれで美しいからいいのですけど、釈然としない。
ちなみに宝石展では「鉱物名:アノーサイト」と書かれていた。ラブラドライトじゃないのかよ。
オレゴンで出た透明ないし半透明の長石はみんなオレゴンサンストーンなのですかね。
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さらには、前にも書いたけど、「アイオライト・サンストーン」なんてのもある。アイオライトは長石ではないのに、アベンチュレッセンスを見せるからって「サンストーン」と呼ぶのはひどい。
ということで、わけのわからないことだらけ。
長石のやつ、仲間が多いことを武器に人間を混乱させて楽しんでいるんじゃないか。
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