貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

蛍石仮晶青玉髄

2022-07-10 11:45:24 | 単品

すごい名前ですねえ。こうやって漢字並べるとものすごくいかつい。
英語風に言うとブルーカルセドニー・アフター・フローライト、もっと正確に言うなら、ブルーカルセドニー・シュードモーフ・アフター・フローライト、かな。(うざい)
ルーマニア産。Happy Gift さん産。(それは産じゃないw) あちきにはほんの少しお高め。こちらの石屋さんはけっこう高級品が多い。(君の標的価格帯が低すぎるのではないかね)

真上から見ると、マット。輝きがない。鉱物のくせに何もそこまでマットにならんでもいいだろうと思うくらい。
しかし斜めから見ると、所々に結晶面の輝きが見える。



けれど面の角度がまちまちのせいか、一斉に光りはしない。あちゃこちゃでゲリラ的に、やる気のなーい感じで光る。
色はシルキーな薄水色でとても美しい。
そして側面の断面を見ると、水色と白の縞がうねっている。



「ブルーレース」というやつですな。ブルーレースアゲート。あれ? 君はカルセドニーなのかアゲートなのか。まあ同じか。

     *     *     *

仮晶というのは、「AがBに変わったけれど、結晶の姿はAのまま。Bはそういう姿を取ることはない」ということ。
こやつは、フローライト結晶の姿をしているのに、中身はカルセドニー。
ええ? そんなことありかよ。
外見は北川景子なのに中身が大久保佳代子に入れ替わっている、なんて異常で気色悪いだろ。(なんだよその譬えはw) あ、あちきは大久保さんってけっこう好きです。(いいよ余計な感想は)

仮晶(pseudomorph)は、えらく広い概念で、かつ難解。どうも大きく分けると三つ。

①元の鉱物が化学変化(構成元素の脱落・置換・追加)を起こして別の鉱物になったけれど元の姿のままのもの。(交代仮晶)――しかし固体である石の中に別の元素が染み込んだり、元ある元素が抜け出したりするのでしょうか。よくわからん。

②組成は変わらず、結晶構造(晶系)だけが変化したけれど元の姿のままのもの。(変質仮晶)――熱とか圧力とかで変化する場合もあるし、アラゴナイト→カルサイトのように自然状態でなることもある。これもよくわからん。三角なんだけど四角になってる、ってそんなことありかい?

③元の鉱物の結晶に別の鉱物が「皮殻」を作り、その後元の鉱物がなくなったけれど、元の姿を保つもの。(皮殻仮晶)――化学変化なしということ。なおさら奇妙。

まあどれも「そんなことありかよ」と思うものばかり。どうやったらそんなことが起こるのでしょう。
けっこういろいろな標本が売られていて、ミネラル・ストリートさんでは「仮晶コーナー」があったりする。エヌズミネラルさんでも「仮晶」で検索を掛けると70点近い標本が出てくる。びっくり。ぜひご覧あれ。

けど、前にも書いたけど、桜石がアイオライト仮晶というのはどうも信じがたい。だって、アイオライトであんな結晶になっているのなんて、ありますか? あったらぜひほしいけど。

さて、こやつ、どうも③タイプではないかと思うのだけど、
①まず蛍石の結晶がありました。
②そこに玉髄が付着して皮殻を作りました。
③中の蛍石が溶けてなくなって、玉髄が空間を充填しました。
ということですかねえ? CaF が SiO2 に化学変化(交代)することなんてないだろうし。
けど、どういう経緯でそんなことになったのか。首をひねるばかり。基底部のブルーレースとの関係もわからないし。
誰かが遊んだ? (誰だよ)

しかし、等軸系の鉱物はいくらもあるのに、これが確かにフローライトの結晶外形だという証拠はあるのでしょうかね。(疑り深いねw)

まあ素人の難癖は置いておいて。
これを購入したのはフローライト結晶形だったり、ブルーレースだったりと、なんとも奇妙奇天烈な石だからということもあるけれど、やはり一番はシルキー薄水色が美しいから。こういう色はあまりないような。パステルカラーとも言えるかな。
要するに白濁している淡い色ということだけど、それもまた味わいがある。

まあ、不思議で味わいのある石です。


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